東北大など、走査型プローブ顕微鏡像シミュレーションソフトの実用化に成功

株式会社アドバンストアルゴリズムアンドシステムズ東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)が、走査型プローブ顕微鏡(SPM)で得られる画像を理論的に計算できるソフトウェアの実用化に成功した。
SPMは、特に半導体やナノ材料の分野で多く利用されてきた技術で、試料の表面を探針で走査し、表面の形状や硬さ、また電荷や磁気の分布など、表面上のさまざま な物性を高い解像度で画像化する計測方法の総称。

近年は新たな探針や装置の開発が進み、応用化学や生物学など、より広い分野への応用が拡大しつつある。しかし、SPMで得られる観測データは複雑であり、従来法では解析が困難だった。

例えば、SPM画像に影響を与えるミクロな物性を正確に評価することが重要な高分子材料の開発において、従来法では、高分子材料を観測した ときに得られるSPM画像の濃淡が表面の凹凸を表すのか、柔らかさの分布を表すのかを区別できず、材料の本質へ迫ることができなかった。

今回、先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として、アドバンストアルゴリズムアンドシステムズの柿沼良輔社長と東北大AIMRの塚田捷特任教授らが開発したソフトウェアは、SPMで観測される実験画像から、どのような相互作用が試料表面に働いているのかを理論的に計算できる。

本ソフトウェアを利用すると、探針先端の構造データや実験画像に隠された試料表面の物性を知ることができるため、分子デバイスや新規触媒、燃料電池、先端医療などの研究・開発に役立つことが期待される。開発したソフトウェアは市販パソコン上で動作し、簡単なマウス操作で出入力や画像解析が可能という。

本開発成果は、SPMシミュレーターとして2012年6月にアドバンストアルゴリズムアンドシステムズから発売される。


株式会社アドバンストアルゴリズムアンドシステムズ

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