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ティッシュエンジニアリング関連国内市場は2030年に1,500億円超に

ティッシュエンジニアリング関連国内市場は2030年に1,500億円超に

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済は、研究だけでなく治療での活用も広がりをみせるティッシュエンジニアリング関連市場を調査し、結果を報告書「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2017」にまとめた。

ByMedtec Japan編集部

この報告書では、再生医療等製品5品目、細胞2品目、細胞培養施設/サービス5品目、セルカルチャーウェア/試薬10品目、細胞培養/イメージング機器17品目、人工生体材料用補填材2品目、計41品目の市場の現状を調査・分析し、将来を予測した。

<注目市場>

(出典:株式会社富士経済)

iPS細胞

民間企業が販売するヒトiPS細胞を対象とし、培養受託サービスや公的機関が有償提供する細胞は対象外である。

iPS細胞を活用した研究は活発に行われており、市場は拡大を続けている。需要が大きいのはiPS細胞由来の心筋細胞や神経細胞で、毒性試験や創薬・スクリーニングなどで採用される。

また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー病の患者から作製した疾患特異的iPS細胞も展開されており、希少難病疾患の病態解明や新規治療用の開発を目的とした採用も期待される。

大学や研究機関は予算が限られ、現状では必要となる数が少ないことや、未分化のiPS細胞を自身で分化して培養するケースも多く、市場のマイナス要因として懸念されるが、市場は2030年に15億円が予測され、大きく拡大するとみられる。

細胞製造プラント/細胞培養受託

2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」により、病院が企業へ細胞の培養を委託することが可能となった。これにより、細胞を製造するプラントの需要が急速に高まり、細胞培養受託サービスが立ち上がった。

細胞製造プラントは、再生医療向け治療用細胞の製造プラントを対象とする。

再生医療関連の法律を契機に新たに細胞製造プラントの建設を進めた企業が多く、直近でのピークを迎えた2016年の市場は前年比2.3倍の34億円となった。間葉系幹細胞を用いた細胞性医薬品の治験が徐々に増えていることやiPS細胞を用いた臨床応用が進んでいることもあり、幹細胞系の細胞製造プラントが多くなっている。

各企業のプラント建設が落ち着くことから2017年には縮小が見込まれるものの、細胞培養ビジネスの本格化や細胞性医薬品の増加による大量培養や安全性の強化といった観点から、長期的にはプラントの需要も増加し、拡大が予想される。

細胞培養受託は、企業による治療用細胞の受託サービスを対象とし、美容目的の細胞培養は対象外である。

2015年に市場が立ち上がり、2017年に10億円突破が見込まれる。現状ではがん免疫細胞療法向けの免疫細胞の培養が中心である。

病院で細胞培養センター(CPC)を保有する場合、細胞培養を病院内で行うことも多く、保有しない病院での細胞を用いた治療は普及が進んでいないこともあり、市場は緩やかに拡大している。

がん免疫細胞療法向けの増加に加え、それ以外の細胞受託が増えることで拡大が予想され、今後は脂肪由来幹細胞や線維芽細胞の培養、歯槽骨再生などの受託が期待される。

自動培養装置

細胞培養工程を自動化、もしくは培地交換を自動化した自動培養装置を対象とする。

低価格帯タイプが需要の中心であることや、基礎研究では手作業による細胞培養が主流なこともあり、2014年以降市場は縮小が続いている。

しかし、大学病院を中心に細胞治療の治験が進み、企業でも細胞治療の臨床応用を進める動きが加速しており、今後は治療用細胞向けの自動培養装置の拡大が予想され、市場は2030年に2016年比3.7倍が予測される。

一方で、現在展開される自動培養装置は基礎研究向けが多く、バリデーションを考慮した装置設計が行われていないため、苦戦も懸念される。

三次元培養製品

次元培養用製品は、細胞培養用のシャーレ、プレート、フラスコ、ゲル、スキャホールドといったセルカルチャーウェア、三次元バイオプリンターなどを対象とする。

従来の平面培養だけでなく、立体的に培養する研究が活発化しており、市場は拡大している。三次元にすることで生体内により近い環境を模した実験が可能となり、創薬分野では三次元培養によって作製した細胞を用いて肝炎、肝臓病、がんなどに関する研究が行われている。

再生医療の産業化が進み、骨や血管、神経などを立体的に作製するニーズの増加によって、市場は更に拡大するとみられる。

三次元バイオプリンターは、細胞凝縮塊を積層することで立体的な細胞構造体を作製する装置であり、市場としては装置以外の各種消耗品も含む。

大学や研究機関での導入は一巡しており、今後は企業での導入が進むと予想される。特に製薬会社の創薬・スクリーニングでは細胞の使用量が多くなるため、プリンターの需要が高いとみられる。

また、海外では立体的にヒトの皮膚を培養し化粧品のサンプルテストへの応用、医師の手術用練習ツールとしての人工臓器の作製などが行われており、日本でも医薬以外の分野の需要開拓も期待される。

<調査結果の概要>

ティッシュエンジニアリング関連市場

(出典:株式会社富士経済)

2016年のティッシュエンジニアリング関連市場は752億円であり、心筋シートや細胞性医薬品などの立ち上がりによる再生医療等製品の急拡大、細胞製造プラントの建設ラッシュなどから、前年比6.7%増と拡大した。

再生医療等製品は、培養軟骨、培養皮膚、心筋シート、今後発売が期待される細胞シートの各品目とも拡大するとみられるが、けん引するのは細胞性医薬品である。細胞性医薬品は治験段階の製品も多く、脳梗塞や脊髄損傷などの、既存の治療法では不可能であった難病の根本治療が可能になると期待されており、2030年には500億円と急拡大する。それにともない、再生医療等製品市場も2016年比32.2倍の611億円が予測される。

細胞培養施設/サービスは細胞製造プラントや細胞培養受託がけん引するとみられる。今後細胞培養受託ビジネスの普及が進むことにより、プラントの増設や新たな装置の購入などが必要となることから、細胞培養/イメージング機器やセルカルチャーウェア/試薬なども拡大が予想される。

今後、細胞治療や再生医療の普及、細胞培養受託ビジネスの成長、三次元培養ニーズの増加などに伴い、ティッシュエンジニアリング関連市場は拡大し、2030年には1,500億円超が予想される。

<調査対象>

再生医療等製品市場
・培養軟骨    ・培養皮膚    ・心筋シート
・細胞性医薬品    ・細胞シート(未発売領域)
細胞市場
・ヒト細胞    ・iPS細胞/ES細胞   
細胞培養施設/サービス
・細胞培養センター(CPC)    ・細胞製造プラント ・細胞培養受託
・細胞/組織バンク ・細胞搬送サービス
セルカルチャーウェア/試薬市場
・細胞培養用シャーレ    ・細胞培養用プレート    ・細胞培養用フラスコ
・細胞培養用培地    ・細胞培養用血清    ・細胞凍結保存液
・細胞外マトリクス ・細胞培養用バッグ    ・細胞培養用スキャホールド
・トランスフェクション試薬
細胞培養/イメージング機器市場
・遠心分離機    ・CO2インキュベータ    ・自動培養装置
・アイソレータ    ・安全キャビネット/クリーンベンチ    ・凍結保存容器
・超低温フリーザー/メディカルフリーザー    ・フローサイトメーター    ・細胞計数分析装置    
・セルイメージングシステム ・細胞観察用顕微鏡    ・三次元バイオプリンター   
・滅菌器 ・薬用冷蔵ショーケース/薬用保冷庫 ・細胞破砕装置/ティッシュスライサー
・超純水製造装置 ・細胞搬送容器/ドライシッパー        
人工生体材料用補填材市場
・骨補填材    ・真皮欠損用グラフト

<調査方法>

富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

<調査期間>

2017年7月~9月

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