BASFの医療・福祉向け高機能材料

ByMedtec Japan編集部

世界的な総合化学メーカーであるBASF(本社:ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェン)では、製品や技術ごとの縦割りの事業部門を横断し、業界ごとのニーズに対応する「インダストリアル・チーム」を設けている。2015年4月には「自動車」「建設」「包装材」「医薬」「電気・電子」に加え、「ヘルス&メディカル」を新設し、医療機器や介護用品分野への原料の提案を強化している。

BASFジャパン「インダストリアル・チーム ヘルス&メディカル」のリーダーである岸潤一郎氏によると、まずはプロダクトアウトで医療機器、ヘルスケア、介護・福祉分野に提案を行っているという。

既に定評を得ているのが、ポリアリルスルホン(PSU)やポリエーテルスルホン(PESU)によるUltrason®樹脂で、高い耐熱性や耐薬品性等を特長とする。代表的な製品例としては、中空糸用分散剤であるポリビニルピロリドン(PVP)のLuvitec®、Kollidon®と組み合わせて透析膜に用いられている。

最近では透析時間をいかに短くできるかなど、医療機器メーカーとの議論を深めて、原料メーカーの立場からエンドユーザーにおける価値を高める努力も行っている。

また、最近提案に力を入れているのが、信頼性の高い非フタル酸系可塑剤であるHexamoll® DINCH®だ。近年欧州を中心にフタル酸構造をもつ可塑剤の安全性への懸念が高まっていることを受け、フタル酸を水素化した構造をもつ可塑剤を開発した。生殖障害性、発がん性、環境への危険性の点での懸念を解決し、欧米や日本、中国において医療用途での各種承認と認可を取得している。カテーテルチューブなどの医療用チューブ(右写真)や輸液バックでの応用を提案している。可塑剤の安全性の議論が盛んになった欧州から波及して、国内でもかなり関心が高まっているという。

さらに、同社の強みは医療グレードのエンジニアリングプラスチックである。特に医療グレードのポリブチレンテレフタレート(PBT)であるUltradur® Proは、射出成形用で高い寸法安定性と最適化した成形収縮挙動、耐薬品性を特長とし、生物学的毒性や安定性、原料に対して各種規制が求めるデータを取得している。ペン型インスリンや吸入器などのバネや摺動部品やインプランテーション用補助器具に使われている。

医療グレードのエンプラについては、付加価値を非常に高めているため、どのような分野でそれに見合うニーズがあるかを探っていきたいと岸氏。

その他、非極性粘着ポリマーのポリイソブチレン、Oppanol®は、高い粘着性とガスバリア性、安全性(皮膚への刺激が低く、FDAや食品接触規制の要件に適合するグレードあり)、電気絶縁性、化学的安定性を特長とする。

開発の基本スタンスは、方向性も含め顧客と議論を深めていくこと。岸氏によると、ライフサイエンス関係の企業と議論する機会はここ数年で明らかに増えているという。傾向としては、ユーザーの使いやすさを追求するなど、テーラーメード的なニーズが多くなっていると感じている。

他業種の顧客が医療分野への参入を考えるケースも多く、医療用ではどのような材料が求められるかといった相談を社内外で受けることも増えてきている。例えば、医薬品の開発では培養技術を用いることが多くなっており、ウェルプレートや培地などに進出を狙っている企業が多いという。

新たに参入する企業としてハードルの高さも感じているが、そこを越えられればチャンスは大きい。今後も提案を行いつつ業界内での議論を深めて、化学メーカーとして医療・福祉への貢献を目指していく。

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