メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー 2017(海外情報)

2017年メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー(米MD+DI誌選出)の最終選考が行われた。王冠を手にしたのはどの企業だろうか?

ByJamie Hartford(オリジナルの英文記事はこちら

毎年MD+DI編集部では医療機器メーカー、診断機器メーカーについて1年を通じて綿密な吟味を行っている。注目するのはすぐれた事業戦略、革新的な製品、経営上の一貫性などだ。以下に紹介するのはメドテック・オブ・ザ・イヤー2017の最終選考に残った企業である。

1.アボット

(Image courtesy of ABBOTT)

アボットは2017年、FDAの施設への査察や買収交渉といった問題に直面したが、成人の糖尿病患者の血糖測定の代替としてFreeStyle Libreフラッシュグルコースモニタリング・システム(関連記事)がFDAの承認を得、20もの新製品を発売するなど、いくつかの重要な規制面での前進があった。さらに重要なのはAlere社の買収を完了したことかもしれない。

「今年は第3四半期や第4四半期に後回しになった多くのことでアナリストや投資家の方々には懸念が広がりました」とCEOのMiles White氏は第3四半期の決算発表で述べている。「しかし、私たちは当初の計画にしっかりと取り組み、予定通りすべての承認を取得したという点で第3四半期は非常に満足のいく結果となりました」。

White氏によるとアボットの新製品やその他の事業計画が2018年に強力な勢いになると付け加えた。

2Abiomed(アビオメッド)

(Image courtesy of ABIOMED)

Abiomedは2005年にImpella社の心臓ポンプ技術を取得して以来、このプラットフォームの開発に取り組んできた。

2017年同社は最新のImpella RPについてPMA(市販前承認)申請を行い9月に当局より承認を取得した。Impella 2.5、Impella CP、Impella 5.0/LDに加わった新製品の適応は、急性の右心室不全、あるいは左心補助循環装置の植込み、心筋梗塞、心臓移植、開心手術後の代償不全を発症した患者に対する最大2週間までの一時的な右心補助である。

同社は当局との折衝によりImpellaを用いる特定の手技に対するCMS(メディケア・メディケイド・サービス・センター)の保険償還の大幅削減を回避し、最終的な削減幅を想定より大幅に抑えた(35%から19%)。さらに、Leerink社のアナリストによると、CMSが両心補助に対する保険償還コードを割り当てた決定からImpella RPの採用の拡大が予想され、同社に利益をもたらすと期待される。

Impellaは米国外の市場でも好調で2017年の最終四半期の米国外の売上は58%伸びている。

3.バクスター

(Image courtesy of BAXTER)

バクスターはCEOのJoe Almeida氏のリーダーシップにより2017年は捲土重来の年となった。前のコヴィディエンCEOであるAlmeida氏はバクスター史上最悪の状況を持ち直し、期待を大きく超える成長をもたらした。この変化は2016年に起こったが2017年にも継続した。

2017年の同社の主な実績の1つが7月のClaris Injectables Limitedの買収であり、これにより製薬事業を獲得した。第3四半期の業績発表でAlmeida氏は、Claris社の買収のようなM&Aは引き続き成長領域やその隣接領域でバクスターの製品パイプラインを構築していく重要な手段となると述べている。

9月には同社はSigma Spectrum注入システムを利用する病院に販売するDeviceVueによって、タグレスでエンド・トゥ・エンドのトラッキング・ソリューションを提供するはじめての注入ポンプ業者となった。DeviceVueは、医師や臨床工学士がPCやiPad、iPhoneでポンプの位置を見られるようにすることで機器運用の効率性を高めることができるようにするアプリケーションだ。

4Bigfoot Biomedical

(Image courtesy of BIGFOOT BIOMEDICAL)

2014年設立でカリフォルニア州ミルピタスに本社を置くスタートアップのBigfoot Biomedicalは、1型糖尿病の人工膵臓開発レースにおいて、メドトロニック、Tandem Diabetes社、Insulet社といった企業と並んで重要な地位を得ている。同社のアプローチは、他社のハードウェアと自社のアルゴリズムやソフトウェアを組み合わせてクロード・ループ・ソリューションを開発するというものだ。

2016年の半ば、1型糖尿病患者を親族にもつ創業者らが率いる同社は、同社が開発したインスリン自動注入システムのIDE(治験用医療機器に対する適用免除)承認を得て最初の臨床試験の患者登録を行った。さらに2016年後半にはシリーズAの資金調達で3,550万ドルを獲得した。

同社は2017年前半も前進を続け、2つの1型糖尿病関連の非営利団体から投資を受け、Bluetoothによるペン型インスリンの用量検知技術を開発するPatients Pending社を買収した。また2017年後半には、同社の技術をアボットのFreeStyle Libreの血糖センサ技術に統合するという大型の連携と、Ypsomed社の注入ポンプのカスタムバージョンに接続する連携を発表した。

同社の自動インスリン注入システムのピボタル治験は2018年に開始される予定だ。

5iCAD Inc.

(Image courtesy of iCAD INC.)

トモシンセシスは医師による乳房の高濃度組織の読影を支援する3D画像生成技術だ。「トモシンセシスにより通常のマンモグラフィーでは重なって見えない乳房の部位を見ることができる」とFDAは2014年に書いている。その際FDAの専門家は、トモシンセシスやその他の画像技術によって生成される大量の画像の管理を支援する技術が求められると示唆した。

2017年FDAはこのような技術の1つを承認した。それがiCAD Inc.の“iCAD PowerLook Tomo Detection Software”である。同社はこのシステムを、「FDAが承認した初めてで唯一の」デジタル胸部トモシンセシス検査(DBT)の同時読影がん検知ソリューションだとしている。同社いわく人工知能(AI)を用いて、このソフトウェアは「各トモシンセシス画像を深層学習により自動で解析する熟練アルゴリズム」を採用している。

同社は北米放射線学会(RSNA 2017)においても採用が拡大していると報告した。「最新の深層学習技術に基づくiCADのマンモグラフィーAIソリューションは、DBTのリード・タイムを平均29.2%減少することにより、放射線科医の読影と解釈を最適化すると臨床的に証明されています」とCEOのKen Ferry氏はニュースリリースで述べている。「2017年3月のFDAの承認以降、PowerLook Tomo Detectionは全米で有数の胸部の医療機関の多くで採用されています」。

iCADはがん治療に注力しており、子会社のXoft社は、周囲の健常組織の被ばくを最小化しながらがん組織にターゲットを絞った“Xoft Axxent Electronic Brachytherapy System”と呼ばれる高線量低エネルギー放射線技術を提供している。同社の報告によると、2017年3月時点で、同システムにより3,000名を超える早期乳癌患者が術中放射線療法で治療を受けたという。

6Innovative Health Solutions

(Image courtesy of INNOVATAVE HEALTH SOLUTIONS)

米国疾患管理センター(CDC)によると、2016年から2017年にかけて米国における薬物過剰摂取による死者は21%増加したが、主に増加したのはオキシコドンやフェンタニルといった合成オピオイドによる死亡だった。これらの薬物は全米のコミュニティに深刻な影響をもたらしていることから、政府はオピオイド危機を公衆衛生上の緊急事態と宣言した。

ナロキソンのような薬物は適切に投与されれば過剰摂取を防ぐのに役立ち、メタドンのような薬物は薬物依存患者の治療に使うことができる。しかし、オピオイド依存に苦しむ人々にとって新たな治療ツールが登場した。2017年11月、FDAはもともと2014年に鍼灸治療で認可したInnovative Health Solutions社(インディアナ州ベルサイユ)のNSS-2 Bridgeの適応追加を認めた。

NSS-2 Bridgeは耳の後ろに付けてオピオイドの離脱症状を緩和するよう神経を調整する神経刺激装置である。本機器は当局よりde novo申請で審査を受け、臨床試験では装着30分以内で少なくとも離脱症状が31%軽減することが示された。

7.インテュイティブ・サージカル

(Image courtesy of INTUITIVE SURGICAL)

市場リーダーであるインテュイティブ・サージカルに挑戦すべく手術ロボット市場に多くの競合が参入しているなかで、2017年の投資家たちの疑問はインテュイティブ・サージカル社がどのようにリードを広げるかであった。その答えは同社の自信と長年の経験に裏打ちされた“da Vinci X”の発表だった。

第3四半期の業績発表でCEOのGary Guthart氏は、TransEnterix社のSenhanceシステム(関連記事)を含む新しい手術ロボット・システムが米国市場に参入しインテュイティブ・サージカルの販売サイクルが若干遅れる可能性があることを認めたが、最終的には同社の豊富な経験が来たる競争に打ち勝つだろうと述べた。

インテュイティブ社は長い経験で獲得してきた豊富な知財と結果として開発したソリューションを強みとする。「これが私たちが前進する上での財産になります」とGuthart氏。

2017年、同社は欧州と米国でda Vinci Xを発売し、これにより市場で求められていた廉価版手術ロボットを提供することになった(ただし必要に応じて性能を追加するアップデートも可能)。コストはこれまでロボット手術の普及のもっとも大きな障壁だった。

「手術ロボットの競争が激化しますが、インテュイティブ・サージカルは市場を拡大するために必要な投資を行っています。引き続き最強のプレイヤーであり続けるでしょう」とRBC社のアナリストは書いている。

8Pentax Medical

(Image courtesy of PENTAX MEDICAL)

過去数年、HOYAグループの一部門であるPentax Medical社は、スーパー耐性菌の感染に関係があるとされた十二指腸内視鏡の製造業者のうちの1社としてプレッシャーを受け続けてきた。

同社の内視鏡はロサンゼルスのロナルド・レーガンUCLAメディカルセンターにおいて179人が耐性菌に感染した2015年の事例に関係はなかったが、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)を行う内視鏡に関して、富士フイルムやオリンパスと並んでFDAのSafety Communicationで名指しされた。当局は、それらの内視鏡は「可動式『エレベーター』機構」のために細菌が残存しやすく滅菌が難しいと指摘し、Pentaxの内視鏡に関しては単独でのSafety Communicationを発表した。

同社は内視鏡のマニュアルの処理指示書を更新したが、さらによいことに、この問題の解決となり得るディスポーザブル・キャップを発売した最初の会社となった。2017年9月にFDAは同社のディスポーザブル・キャップED34-i10Tモデルを認可し、FDAのCDRH内のOffice of Device Evaluationのディレクター代理であるWilliam Maisel氏はこれについて「これらの機器の将来の感染リスクを下げるための大きな一歩」と言及した。

9ResMed

(Image courtesy of RESMED)

最近、睡眠時無呼吸の患者はResMed社のおかげでよく眠れるようになったかもしれない。2017年、この睡眠時無呼吸の治療機器メーカーは、患者の治療アドヒアランスを高め、簡単に治療成果をトラッキングできる機能により大きな飛躍を見せた。

同社は、遠隔患者モニタリング・プラットフォームAirViewを使って10億件分の睡眠データがダウンロードされたと発表して2017年をスタートした。MD&M West 2017において、同社のヘルスケア・インフォマティクスのディレクターであるAmy Cook氏はユーザー・エクスペリエンスを改善することを目指して機器、周辺機器、患者用アプリケーションを提供する取り組みを発表した。この取り組みの1つが、患者がスマホやタブレットで個人に合わせた治療を管理できるアプリケーション、myAirである。CHEST誌に発表された研究によると、ResMedのAirViewとmyAirを使用した患者は、遠隔モニタリングだけを使用した患者に比べて、平均して1時間長く気道陽圧治療を行うことができた(5.9時間 vs 4.9時間/1夜)。この結果は、myAirを使用する患者は他の患者より平均して46分間長く治療できるという以前の研究とも一致したものだった。

同社では快適性を向上するための取り組みも行っている。2017年には、患者個人の顔面にフィットする形状記憶素材を用いたフルフェイス・マスクAirTouch F20を発表した。このマスクは皮膚刺激を減らす工夫もしており、世界最小のCPAPとしている同社の新製品AirMiniにも使うことができる。AirMiniは重量が1ポンド未満で以前のものより携帯しやすく、旅行中も使用しやすい。また、AirViewや自己管理アプリにより遠隔でのモニタリングも可能だ。

さらに、ResMedは2017年、テレビ番組の司会であるMehmet Oz医師、投資会社のPegasus Capital Avisors L.P.と合弁でSleepScore Labsを立ち上げた。このベンチャーでは、夜間の睡眠スコアを計測し睡眠改善のヒントを提供する非接触システムSleepScore Maxを開発している。

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