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カテーテル室にロボットを

カテーテル室にロボットを

ロボット支援の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)により医師の放射線被ばくから守ることができる。

Corindus Vascular RoboticsのCorPath GRXは
2016年にFDA認可を取得した
(Copyright @ Corindus Inc. All rights reserved.)

ByHeather R. Johnson(オリジナルの英文記事はこちら

経皮的冠動脈インターベンション(PCI、あるいはステントを用いた血管形成術)は、閉塞性冠動脈疾患の患者を治療するために使用される一般的な治療であり、米国では毎年60万回の処置が行われる。PCIは患者にとって合併症のリスクが低いが、医療従事者にとってはそうではない。

患者はPCI処置中に被ばくするが、それは30分~数時間である。一方、インターベンションを行う循環器医や心臓カテーテル室のスタッフは毎日のように一日中電離放射線に曝されるのだ。防護キャップ、ゴーグル、服、遮蔽のような方法は被ばく線量を減少させるが、完全な防護方法とはならない。

「防護服は全身を覆っていません」とヒューストンメソジスト病院心臓血管外科部長のAlan Lumsden氏はいう。「放射線メガネを装着していても顔に散乱放射線を浴びます」。

散乱放射線やその他の被ばくにより、医療従事者の白内障、甲状腺疾患、脳腫瘍、心臓異常、脱毛のリスクが増加する。また、重い鉛の服を毎日何時間も着用すると、腰痛やその他の整形外科疾患を引き起こす可能性がある。

ロボット支援PCIは、放射線被ばくを大幅に減少するとともに、手術中の精度を向上させると期待される。「カテーテルとワイヤーの制御が非常に精密にできます」とLumsden氏。

ヒューストンメソジスト病院は、FDAに承認された唯一のロボット支援PCIであるCorindus Vascular Robotics社のCorPathシステムを導入した医療施設(世界で約50施設)のうちの1つである。同社の最新バージョンであるCorPath GRXは2016年にFDAに認可され、旧バージョンのCorPath 200は2015年の“Medical Design Excellence Awards”を受賞した。

最近ヒューストンメソジスト病院で開催された、テキサスの石油・ガス、航空、循環器医療などのリーダーが集まる会合Pumps & Pipesにおいて、同院のColin M. Barker医師はいかにロボット支援PCIによって治療が改善するかを示す事例を発表した。左右の冠動脈に閉塞のある83歳の男性に対して、左冠状動脈のマニュアルのPCIがうまくいかなかった。2度目のPCIでも医師は2時間半も試行錯誤したものの、病変の治療に必要なカテーテルの180°の転回ができなかった。

CorPathシステムはこの転回を5分で行ったのだ。「1mm単位で通したい部位を描き出すことができ、そこにワイヤーを通すことができます」とBarker医師はいう。

CorPathのActive Guide Managementにより、ガイドワイヤー、バルーンカテーテル、ステントとともにガイドカテーテルをロボットで制御することが可能になる。微細な制御とガイドワイヤーの回転により、術者はより正確にステントを設置することができ、「患者の動脈中の金属をより少なく」(Corindus会長 兼 CEOのMark Toland氏)する治療につながる。

しかし、最大のベネフィットは放射線被ばくを大幅に低減させることだ。Cardiovascular Revascularization Medicine誌に発表された研究によると、米ミシガン州グランド・ラピッズのSpectrum Health's Meijer Heart Centerの研究者たちは、ロボット支援PCIにより頭部被ばくが99%減少したと示した。対して、マニュアルPCIで大型の防護服を用いると頭部被ばくは97%減少した。

Corindusがスポンサーとなった臨床試験PRECISEでは、マニュアルに対してロボットPCIでは循環器医の全身の被ばく量は平均して95.2%減少することが示されている。「鉛に囲まれたコックピットで施術するため医師は放射線から防護されます。加えて、腰痛や疲労も少なくなります。ロボットシステムに守られてインターベンションができるのです」とToland氏は述べている。

病院での導入を進めるために、CorindusではCorpathシステムをすべてのカテーテル装置やイメージング機器と適合するものに設計した。Toland氏によると、多数のメーカーの仕様に合わせることは競合の挑戦を受けやすくするが、大きなチャンスも生まれる。

「これにより導入のプロセスが容易になります」とLumsden氏はいう。「使い慣れたカテーテルでも使うことのできるフレキシビリティにより長期的に病院のコスト削減につながるからです」。

Toland氏によると、CorindusはCorPathの機能を拡張して、例えば脳血管障害のような他の血管領域の治療にも進出する予定である。さらに同社は、遠隔での施術も可能にするような、CorPathのある程度の自動化も計画しているという。これがうまくいけば、エキスパート医師の施術を受けられない地方の患者が治療を受けられる遠隔治療が可能になるかもしれない。

スペシャリスト・ロボットの開発は未だ揺籃期である。しかし、CorPathシステムのような機器は、超精密機器により患者と医療従事者の双方にベネフィットがあることを明らかにしてくれる。

「ロボットは既にここで私たちの日常の一部になっています」とBaker氏は上述の会合(Pumps & Pipes)で述べている。「心臓分野にかかわることには大きなリスクが伴いますが、このようなシステムのおかげで、治療の成功率を高めることができるのです。私たちはゲームチェンジャーを手にしているのだと思います」。

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