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キュア・アップ、国内初の「治療アプリ」治験開始へ

キュア・アップ、国内初の「治療アプリ」治験開始へ

10月2日、治療効果をもつ医療機器アプリの開発を目指している株式会社キュア・アップ(関連記事)は、ニコチン依存症治療アプリについて、10月末から治験を開始すると発表し、日本橋ライフサイエンスビルディングでプレスセミナーを開催した(右写真)。

By:Medtec Japan編集部

同社のニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」は慶應義塾大学医学部呼吸器内科学教室とともに共同開発・臨床研究を行っているもので、既に多施設臨床研究では有望な結果が得られている。今回、薬機法での医療機器ソフトウェアとしての承認を目指し、10月末に治験として無作為化比較対照試験を開始する。

まず、呼吸器内科医で同社代表取締役社長の佐竹晃太氏が、同社の創業や治療アプリの開発経緯や国内外の治療アプリの開発状況、禁煙治療の課題と同社治療アプリの概要などについて解説。海外の先行事例では、糖尿病に対する治療アプリ「BlueStar」(Welldoc社)がFDA承認され保険償還も行われていることや、薬物依存に対する治療アプリ「reSET」(Pear Therapeutics社)が最近FDAより承認を取得したことなどを紹介した。また、「CureApp禁煙」の特徴として、患者と医師がクラウドシステムを共有し、医学的エビデンスに基づいた個別化治療ガイダンスをリアルタイムで配信するものであり、暗黙知や医師の思考回路をアルゴリズム化するという独自技術を含むことを説明した。

治験については治験調整委員会で委員長をつとめる舘野博喜氏(さいたま市立病院呼吸器内科科長、慶應義塾大学病院禁煙外来)が解説。31の医療機関で実施され、ニコチン依存症患者に対して、薬物を含む標準禁煙治療プログラムに治療アプリを併用した場合の増分効果を検証する試験となっている。試験期間は1年間のエントリー期間とその後の追跡期間を合わせ2019年3月まで、症例数は介入群290名、対照群290名の計580名を予定している。

その後、禁煙治療や遠隔医療に関する識者よりコメントが寄せられた。藤原久義氏(兵庫県立尼崎総合医療センター院長、禁煙推進学術ネットワーク理事長)は「日本では喫煙で毎年15万人、受動喫煙で1万5千人が死亡と推計されている。治療が難しいニコチン依存症に新しいアプローチが増えるのは大変ありがたいことでサポートしたい」とコメント。

また、長谷川高志氏(日本遠隔医療学会常務理事、群馬大学医学部附属病院)より「ICTを生かした遠隔医療が期待されているものの臨床的エビデンスが圧倒的に不足している。エビデンスの蓄積に資する大規模臨床試験の意義は大きい」、望月友美子氏(日本禁煙学会理事、日本対がん協会参事、医学博士)より「禁煙外来の受診者は年間25万人ほどであり禁煙外来1件あたりの効率が悪い。さらに受診者の7割が失敗となると医療者側もモチベーションが上がらない状況で、治療アプリは患者と医療者双方のモチベーションを上げられる適切なソリューションとして期待している」、福永興壱氏(慶應義塾大学医学部呼吸器内科専任講師)より「肺癌や喘息、COPDはもちろん、最近では睡眠時無呼吸症候群も喫煙との関係が指摘されており、呼吸器内科医が診る疾患のほとんどは喫煙と関係がある。禁煙治療について医師も課題と感じている診療空白期に、医学的知見に基づいて患者サポートを担ってくれるアプリへの期待は大きい」と、遠隔医療、公衆衛生、臨床医の立場から治験の成果とその後の製品化に期待を寄せるコメントがあった。

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