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島津製作所、ホログラフィーを用いる新たな細胞培養解析装置を発売

島津製作所、ホログラフィーを用いる新たな細胞培養解析装置を発売

9月5日、株式会社島津製作所は細胞培養解析装置「CultureScanner CS-1」を発売すると発表した。

ByMedtec Japan編集部

本製品はホログラフィーを活用した光学系であるIHM(In-line Holographic Microscopy)方式を採用し、培養工程における細胞の光学情報を記録・蓄積し、そのデータを基に培養工程を管理できるシステム。本装置を用いることで、細胞製造の現場で必須の日常的な細胞の観察や記録が簡便かつ再現性よく行え、作業者の負担を大きく低減する。

細胞培養解析装置「CultureScanner CS-1」(上はシステム全体、下は利用イメージ)

2015年11月に施行された再生医療等安全性確保法(再生医療新法)により、従来は医療機関にしか認められていなかった細胞培養加工の企業への外部委託が可能となった。細胞を大規模に製造する機会が増える一方、その品質保証に関しては多くの課題がある。例えば、細胞製品は最終検査だけではなく「正しい工程を経て作られたか」が重要と考えられている。従って、日々の培養工程の観察・記録が求められ、作業者にとっては大きな負担となっている。島津製作所は、この課題を解決するために「CultureScanner CS-1」の開発を進めてきた。

今回発売する「CultureScanner CS-1」は光学調整が不要なため、作業者間、装置間で差の生じないデータが取得でき、細胞培養の履歴管理に最適だ。またIHM方式により取得できる「光学厚み」という定量情報は、細胞培養工程において新たな指標となる可能性を持っている。島津製作所は、将来的にこうした工程情報を統合・管理することで、細胞製品の品質を担保するシステムの開発を目指すという。本製品の評価には細胞製造研究の第一人者である大阪大学大学院工学研究科の紀ノ岡正博教授の協力を受けた。

製品の特長

1. 細胞培養に有用な定量情報
空間に立体を映し出す光学技術のホログラフィーを用いることで、位相と強度というデータの取得が可能。IHM位相像は細胞のような透明な物体の観察に適している。位相データからは「光学厚み」という定量情報も得られ、iPS細胞の分化/未分化の識別に活用できる可能性がある。また、IHM強度像は、チリやホコリなど不透明な異物の検出に適しており、細胞培養時の品質管理に有用である。

※ 細胞透過光は細胞内外での屈折率差によって周辺光より位相が遅れるが、その遅れの値が「光学厚み」である。島津製作所では、「CultureScanner CS-1」を用いて、iPS細胞の未分化維持コロニーと未分化逸脱細胞の「光学厚み」を比較したところ、有意な差が認められた。また、iPS細胞由来神経細胞についても分化誘導開始3日後までの細胞と未分化iPS細胞コロニー間で比べたところ、有意な差が認められた。「光学厚み」は、細胞の識別だけでなく、細胞製造の工程管理指標として活用できる可能性がある。

2. 再現性の高いデータを大量にかつ簡便に取得
ピント合わせのような光学調整が不要なため、作業者間によるデータの差異が生じない。本装置に培養プレートをセットしてから数分でデータ取得が完了する。

3. 細胞培養の履歴を管理
ホログラフィーデータを保存することで、過去にさかのぼって注目するプレート内の任意の高さ、場所の画像を作成し、解析できる。各データは培養条件やプレート情報に基づいて保存されているので、トレーサビリティの確保も容易だ。

名称 「CultureScanner CS-1」
価格 2,650万円(ソフトウェア込み、税別、PC別売り)
販売計画 発売から1年間で国内10台
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