MEDTEC Online

神戸医療産業都市、実験用オペ室等を活用し顔の見える開発支援を

神戸医療産業都市、実験用オペ室等を活用し顔の見える開発支援を

ByMedtec Japan編集部

神戸ポートアイランドに医療機関や研究機関、先端技術企業を集める神戸医療産業都市では、公益財団法人先端医療振興財団が中核機関となり、基礎研究を臨床につなげる研究開発、研究支援、さらに一般市民の健康支援といった活動を推進している。

医療機器に関しては、公的施設としては国内随一の実験・トレーニング用オペ室やウエットラボを備える神戸医療機器開発センター“MEDDEC”(上写真)を有し、新たな医療機器の事業化を支援する体制を整えている。今回、MEDDECを訪問し設備の概要や利用状況、医療機器開発支援の現状や課題について伺った。


施設の目玉は何といっても最新医療機器を備えたオペ室だ(下写真)。3室を備え、各室の利用者が出会わないよう秘匿性に配慮した導線設計となっている。学会や大学病院による手技トレーニング、医療機器メーカーがプロモーションなどのため医師を集めて開催する手技トレーニング、医療機器の設計・開発目的で行う機器の評価などで利用されている。実験にブタを用いる場合には、長期的な観察に用いる飼育観察スペースも併設している。

トレーニング目的で行われる手技では、カテーテルや内視鏡、腹腔鏡を使った低侵襲手術が増えている。X線CT装置で透視を行いながらのトレーニングも可能。またMRI室を備えており1.5T(テスラ)のMRIで動物の撮像ができるほか、MRI用電子機器の実証実験やファントムを用いたノイズ試験等も行える。

学会による手技トレーニングでは、脳血管や心臓血管のカテーテル手技、整形外科の脊椎内視鏡手技、呼吸器内視鏡手技、消化器内視鏡では内視鏡的粘膜下層剥離(ESD)手技、肝移植手技などの実績がある。42名を収容するセミナー室(左写真)も併設し、オペ室とライブ画像・音声で双方向通信が可能で、効果的な研修が行える。

2006年の設立以来11年が経ったが、西日本に手技トレーニング施設が少ないこともあり、近年では医師が集まりやすい土日にはいずれかのオペ室が利用されている状態だという。医療機器の開発のための機器の評価目的の利用も徐々に増えている。低侵襲手術のための手術ロボットに関する技術や、最近手術件数が増えている人工関節に関する技術に関心が高まっている。

オペ室やMRI室、観察棟、研修室のある1階のほか、2、3階では研究や実験が可能なレンタルラボ、オフィスとなっている。全室ウエット仕様(P2レベル)で、排水設備、中和処理設備、非常用電源、緊急シャワーを完備。また、MEDDECに常駐するインキュベーションマネージャー(IM)と呼ばれる専門スタッフによる支援や神戸市からの賃料補助等が受けられる。

先端医療振興財団が提供する医療機器等事業化促進プラットフォームでは、MEDDECを医療機器開発の拠点とし、医工連携のマッチングから販売まで切れ目のない支援システムを用意している。MEDDECの入居企業にはMEDDECの利用料の割引や優先利用といった特典がある。

同プラットフォーム事務局で専任コーディネーターをつとめる黒木俊博氏は医療機器メーカーの営業出身として、ビジネス視点を重視した開発支援を行っている。これまでの経験では、医療機器に新たに参入を目指す企業は技術志向が強く、ものづくりに集中しすぎてしまい、ものを売る視点が弱いと感じている。

「ドクターのニーズを受けてよいものを作っても、ものがよいだけでは売れません。手術時間が早くなる、人件費を抑えられるといった病院経営上のメリットや患者へのメリットを考えて、それを提案することが重要です」と黒木氏。企業側がマーケティングにも力を入れ、提案力やプレゼン能力を発揮し主導権を握って事業化を進めていく意識が必要とアドバイスをしている。

神戸医療産業都市には現在までに300を超える企業・団体が進出。神戸市立医療センター中央市民病院をはじめとする医療機関、再生医療で世界をリードする理化学研究所多細胞システム形成研究センター(CDB)、スーパーコンピューター「京」といった最先端の研究機関も近隣にある。進出企業に顔が見える個者支援を提供できる体制を強みとしており、さらなる進出企業・団体の集積を目指している。

カテゴリー: