フランス発、多数の機器をつなぐ遠隔・在宅医療プラットフォーム

By:Medtec Japan編集部

フランスのVisiomed(ビジオメッド)社は、赤外線非接触型瞬間体温計“ThermoFlash®”を代表とする次世代医療用電子機器を開発している。

技術とデザインを融合させ、シンプルかつユーザーの使いやすさを重視した製品群に加え、近年ではインターネットで製品をつなぎ、各種医療機器の計測データをクラウドで管理し健康管理や治療に役立てる包括的なヘルスケアサービス “BewellConnect®” を主に欧米で展開をはじめている。

今回、在日フランス大使館貿易投資庁主催による“FRENCH CARE TOUR”で来日し、日本でのビジネス展開を視野にパートナー探しなどを行った。この機会に国際開発部長のFabienne Ostermeyer氏に製品群について話を聞いた。


同社が2007年に開発したThermoFlash®は、エボラ出血熱の世界的な流行の際に各国の空港や病院、軍隊などで採用されるヒットとなった。大規模なNGOや国連にも注目され、これまで38カ国ほどで使用されているという。

ThermoFlash®はこめかみの動脈に0.28秒近づけるだけで体温を測定する。機器周囲の環境の影響を調整して安定的に測定するアルゴリズムを内蔵するなど、特許技術をもとに約20年かけて改良を重ねてきた(右写真)。

そして3年ほど前から、同社の電子医療機器をインターネットでつなぎユーザーがソフトウェア(アプリ)で利用する医療サービス・プラットフォーム“BewellConnect®”を開発している。ハードウェアとしては、体温計、血圧計に加え、血糖モニター、活動量計、体組成・体脂肪計、EMS(筋肉電気刺激装置)、心電計、オキシメーターを開発しており、多くでCEマーキングやFDA認可を取得。さらに、“BewellConnect®”自体の医療機器としての認証を目指している。上記すべての機器を利用すれば世界でもっとも幅広い医療サービスをたった1つのアプリで実現できることになる(下写真)。

コンシューマ向けでは機能・価格別に3種類のアプリを用意した。無料アプリの“MYBEWELL”では健康管理目的に様々な機能がある。まず利用者(家族)のプロフィールを作成し、それぞれの機器の計測データをクラウドに収集しグラフ化、WHOの基準に照らし合わせることができる。

有償のサービスには、バーチャル・ドクターである“BEWELLCHECK-UP”と実際の医師との通話で診察を受けられる“MYDOC”がある。前者では、ユーザーがガイドに沿って身体の不調をあげていくと、AIが診断の推測やアドバイスを行う。操作は客観的な質問に答えていく形で、非常に直感的でわかりやすい。

各機器が採取したデータはユーザーの端末には保管されず、暗号化された通信でクラウドにデータ保管されることでセキュリティも確保している。

一般向けや保険会社向けに販売しており、ユーザーの健康に関する不安の解消、慢性疾患患者の自己管理のサポート、それを通じて医療費の削減に貢献できる。多くの患者が殺到し医師や看護師が対応できないような救急医療の場面での使い道も検討されているという。

さらに、医療施設向けにプロ仕様のBewellConnect®も用意している。遠隔医療や在宅医療を想定しており、例えば病院が患者に合わせて上記の機器をキット化して渡し、在宅の患者データをモニタリングし、データを病院の電子カルテに統合する。必要であればアラートを出すことも可能だ。患者が通信に使うゲートウェイとして、スマホやタブレットのほか、ポケットベルタイプ、テレビに接続するタイプを用意し、スマホやタブレットを使い慣れない高齢者に配慮している。高齢者だけでなく外来手術後のケア、慢性疾患のケアなどを視野に入れる。また、看護師がキットを持ち運んで患者の自宅を回る形の在宅医療での用途も想定している。

同社がソフトウェア開発のポイントとして改良を重ねている点は、患者データをモニターして、どこまでが許容され、どこからが危険で医療機関の対応が必要かという基準を決めることだとOstermeyer氏はいう。

既に治験も行われ、心臓病患者の健康状態の改善、死亡率の改善、入院率の減少などの結果が得られた。欧米でこのソリューション自体の医療機器としての認証を得ることを目指している。

国内外の侵襲度の低い診断機器の分野では、機器どうしをつなげるIoTにより、ときには通信企業も巻き込んで医療・健康ソリューションを開発しようという動きが活発化している。医療費の削減が期待できることから国家経済の視点からも注目されており、政府が推進している国も多い。同社のソリューションは、医師、看護師をはじめとする医療従事者、また患者の目的や関心、使いやすさに基づいて開発が行われおり、AIドクターを入れるなど、多機能で包括的な開発という点でIoTによる遠隔・在宅医療の具体的な実現に向けて一歩進んでいる印象をもった。

■ 問い合わせ先:
Ms Fabienne Ostermeyer, International Development Director
E-mail: fostermeyer@visiomed-lab.fr
Tel: 33 (0) 1 40 67 06 51

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