マーケット分析

富士経済、メディカルIoT・AI関連の国内市場を調査

ByMEDTEC Japan編集部

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済は、医療ビッグデータの整備や、生体センサをはじめとした関連技術の発展により、普及が本格化しつつあり今後大幅な拡大が期待される医療分野におけるIoT・AI関連の国内市場について調査した。その結果を報告書「2017年 メディカルIoT・AI関連市場の最新動向と将来展望」にまとめた。

この報告書では、通信機能搭載型人工臓器5品目、治療・モニタリング機器・システム10品目、その他医療関連IoTシステム3品目、また、医療分野におけるAI関連市場(AI技術活用システム3品目)について、現状の市場を調査し、将来を予測した。

政府は第4次産業革命における変革のコア技術としてIoT、ビッグデータ、AI、ロボット・センサーに重点を置いており、また、経済の成長ドライバーの1つとなる医療・介護・健康関連産業の育成を図る方針を打ち出している。特に「日本再興戦略」ではIoT・AIの研究開発の推進や医療・健康分野への応用および産業化が目標に掲げられており、それに伴い、医薬品、医療機器、医療ITなどの医療ビジネスに携わる様々な事業者がIoT・AIに関連した事業展開を進めている。

<調査結果の概要>

医療分野におけるIoT関連機器・システムの国内市場

※2017年は見込、2018年以降は予測。四捨五入して億円単位にしている(出典:株式会社富士経済)

2014年11月の薬機法(医薬品医療機器等法)の施行により、スマートデバイスやスマートフォンのアプリケーションなどが医療機器として承認されるようになったこともありIoT関連機器・システム市場拡大の環境が整った。在宅医療や遠隔医療の拡大、医師不足への対応などにより、IoT技術を活用した医療機器・システムの需要は増加しており、今後の市場拡大が予想される。2016年時点では、IoT化が進んでいる医療機器・システムは限られているが、今後は様々な機器でIoT対応が進むとみられ、2025年の市場は2016年比2.2倍の1,685億円が予測される。

・通信機能搭載型人工臓器

通信機能が埋め込まれた人工臓器、ウェアラブル型機器を対象とする。IoT化によるリアルタイムモニタリングを活かした在宅治療や、遠隔からでも機器の不具合や病態の急変などに即座に対応することが可能となるため、需要が増加している。

品目別では、不整脈治療で必要不可欠な医療機器であるペースメーカー/植込み型除細動装置の占めるウェイトが高い。後期高齢者の増加に伴い大きく伸び、2025年の市場は2016年比55.8%増の1,058億円が予測される。特に植込み型除細動装置は市場開拓の余地が大きい。

人工心臓は、2011年の改正臓器移植法の施行以降、対象となる患者数が増えたことにより需要が増加している。心臓移植登録患者の増加や、海外製品を中心に小型化や小児向け製品などの開発が進んでいることも今後の伸びを後押しするとみられる。

デジタル補聴器は、Bluetoothなどの通信機能を持ちスマートフォンなどと連携できるが、市場規模はまだ小さく、補聴器全体に占めるウェイトも低い。高齢者の利用が多いため機能の簡便化などが課題であるが、スマートフォンの扱いに慣れた世代の高齢化に伴う需要増加が期待される。

・治療・モニタリング機器・システム

IoT化によりモニタリングが可能になる機能検査装置、治療機器や治療薬を対象とした。IoT化により実現される遠隔モニタリングや在宅医療は、医師不足や公共交通廃止などの過疎地区の問題、大都市圏で深刻化する高齢者増加の問題への対応策として期待されており、対応する装置・機器の市場も徐々に拡大しつつある。

2016年時点ではカプセル内視鏡とCGM(持続血糖測定)/CGM機能搭載型インスリンポンプ(人工膵臓)のウェイトが大きい。カプセル内視鏡は、2014年に大腸用の製品が保険適用となったことで市場が拡大した。従来の内視鏡と比べて患者の負担が軽減されるため需要は増加しており、患者への啓発や、カプセル内視鏡を取り扱える医師や読影技師の増加により、今後の伸びが予想される。

CGM(持続血糖測定装置)/CGM機能搭載型インスリンポンプは日本では欧米に比べ1型糖尿病患者自体が少ないことやその他の検査機器との競合から普及が遅れている。しかし、2016年末に発売されたCGMの「FreeStyle リブレPro」(アボット ジャパン)(関連記事)は幅広い用途が想定できるため市場拡大に寄与するとみられる。

・その他医療関連IoTシステム

その他医療関連IoTシステムは、遠隔医療支援IoTシステム/サービス、服薬管理支援システム、遠隔看視システム(在宅患者見守りシステム)を対象とする。在宅医療関係者や介護関係者の人手不足解消や、患者家族の体力的・精神的負担軽減に対応できるため、今後の需要増加が期待される。

遠隔医療支援IoTシステム/サービスは、2015年8月に厚労省より遠隔診療の活用を一定の条件で認める方針が打ち出されたことで、参入企業が増加している。過疎地域での公共交通の廃止への対応や医師不足の解消のためには必要なシステム/サービスであるため需要は大きいとみられ、システムを導入した医療施設による遠隔医療サービスの提供や、高齢者でも使用できる操作性の簡略化の進展により、普及拡大が期待される。

遠隔看視システム(在宅患者見守りシステム)は、現状、介護施設やサービス付高齢者住宅などを中心に、ナースコールなどの機能が付いたシステムの普及が進んでいる。今後は新規採用や従来システムから生体センサやAI機能が付加された高機能システムへの切り替えが進むとみられる。

服薬管理支援システムは、システム関連の企業だけでなく医薬品企業や調剤薬局が参入や開発を進めており、認知度やコストパフォーマンスの向上により、普及拡大が期待される。

医療分野におけるAI関連の国内市場

※△は僅少。2017年は見込、2018年以降は予測。四捨五入して億円単位にしている(出典:株式会社富士経済)

AI創薬システム、製薬企業向け営業支援AIシステム、診断支援システム/類似症例検索システムを対象とした。

AI創薬システムは、製薬企業内の実験結果に加えレセプトデータやDPCデータ、論文データなどを含めたビッグデータを、AIを活用した分析により新たな創薬に結びつけるシステムである。化合物選定などスクリーニング作業の効率化だけでなく、開発の効率化や副作用の予測など様々な応用が試みられている。医薬品企業やバイオベンチャーを中心に普及が始まった段階であるが、創薬技術向上による競争力の維持は製薬企業の共通課題であるため、その対応策として今後需要が拡大し2025年の市場は70億円が予測される。

製薬企業向け営業支援AIシステムは、製薬企業内の営業データや顧客データおよび、医療施設の動向や地域情報などのビッグデータをAIにより複合的に分析し、MRの営業活動の最適化などを図るシステムである。MR向けに、医師に合わせた情報提供の内容や方法、提案などを行うシステムが中心である。

病院の訪問規制などにより、MRの医師への訪問時間が短くなっているため、MRの人数を減らした場合でも医師への効率的な情報提供が可能な同システムの需要は高まっている。現状は一部の大手医薬品企業による先行採用に留まるが、先行企業による成功事例が浸透すれば一気に普及が進む可能性もある。また、同システムが医療情報のプラットフォームの役割を担うことで、AI精度の向上や用途の広がりも想定され、今後の伸びに寄与するとみられる。

診断支援システム/類似症例検索システムは、症例データや電子カルテデータ、その他論文データや添付文書などのデータに基づき、AI分析により医師の診断や治療方針決定の支援を行うシステムである。現状、需要は限定的であるが、今後、システム用途の広がりや精度の改善に加え、AIによる診断や治療の支援についても診療報酬の対象となるとみられ、それに伴う新製品の発売などにより、市場の活性化が期待される。

<調査対象>

分野 品目
通信機能搭載型人工臓器 ・人工腎臓(透析装置) ・人工心臓 ・ペースメーカ/植込み型除細動器 ・デジタル補聴器 ・人工眼システム
治療・モニタリング機器・システム ・CGM(持続血糖測定装置)/CGM機能搭載型インスリンポンプ(人工膵臓) ・リアルタイム血圧モニタリング ・医療用スマートコンタクトレンズ ・カプセル内視鏡 ・デジタルセンサ搭載型薬剤 ・モバイル遠隔/ウェアラブル型超音波診断装置 ・モバイル遠隔/ウェアラブル型心電図システム ・ウェアラブル型脳波計 ・ウェアラブル型慢性疼痛治療装置 ・睡眠障害治療・モニタリングシステム
その他医療関連IoTシステム ・服薬管理支援システム ・遠隔看視システム(在宅患者見守りシステム) ・遠隔医療支援IoTシステム/サービス
AI技術活用システム ・AI創薬システム ・製薬企業向け営業支援AIシステム ・診断支援システム/類似症例検索システム

<調査方法>

富士経済の専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

<調査期間>

2017年1月~3月

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