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SUD(単回使用医療機器)再製造の展望と課題

SUD(単回使用医療機器)再製造の展望と課題

ByMedtec Japan編集部

今年4月に厚労省は、使用済みの単回使用医療機器(single-use device:SUD)を再利用するための「再製造」を認める方針を発表した。6月からのパブリックコメント募集を経て7月には省令改正等で制度が施行される予定だ。

これまで単回使用品である医療機器(医療材料)が一部の医療機関で院内滅菌などの処理が行われ再利用されていることは問題視されてきた。今回対象となる医療材料はかなり多品目に及ぶと考えられ、業界への影響力は小さくない。

制度化の背景と予想されるインパクトについて、アカデミアの立場から国内の動きに携わってきた国際医療福祉大学大学院教授の武藤正樹氏に話を聞いた。


──今回の制度化の背景は?

高価な医療材料は使い回せばコストを抑えられますから、一部で単回使用品が再利用されている実態があり問題視されてきました。

状況は海外でも同様であり、再製造の制度化は海外ではるかに先行しています。米国では2000年から、ドイツは2002年から、その他欧州各国、カナダ、オーストラリア、イスラエルなどでSUD再製造の制度ができています。

国内でもSUD再製造の法的整備を望む声が大きくなっていました。私たちは業界や行政の方々とともに2015年から厚生労働科学研究などで国内の医療機関のニーズ調査や海外の事例研究を進めてきました。

──海外ではどのように再製造が行われているのでしょう?

研究班では米国やドイツなどを視察し実態を見てきました。米国では再製造SUDをオリジナル品(新品)とは別の新たな医療機器としてFDAが承認します。承認には再製造工程や洗浄方法などの新たな情報が求められます。再製造業者によって新たな表示(再製造製品名やシリアルナンバー、バーコードなど)を行う必要があり、市販後安全対策も再製造業者の責任で行います。

ドイツでは、院内滅菌の延長のような形で、病院が再製造業者と契約し再製造されたSUDは元の病院に納入されています。米国は回収元の病院以外にも再製造SUDを販売するオープン・モデルであるのに対して、ドイツはクローズド・モデルだといえます。日本の制度は米国のモデルを参考に、国内で利用できるのは国内で回収され再製造された機器に制限する「ジャパン・クローズド・モデル」を想定しています。

──国内の制度の概要は?

使用済SUDを医療機器製造販売業者がその責任で適切に収集し、分解、洗浄、部品交換、再組立て、滅菌等の処理を行い、再び使用できるようにするものです。

再製造SUDを製造販売するには薬機法に基づく製造販売許可が必要でQMSも要求されます。再製造品はオリジナル品とは別の品目としてPMDAの承認が必要となり、安全対策、改修等の責任も再製造を行った製造販売業者が担うことになります。また、再製造SUDの製造工程などが、承認内容、基準を満たしているかどうかをPMDAが定期的に確認します。

対象の製品は海外事例を参考に検討されましたが、神経生理電極カテーテルや超音波メス、腹腔鏡用機器(血管シーリング装置やトロッカーなど)、低侵襲の治療・モニタリング機器〔深部静脈血栓(DVT)予防用のスリーブ、パルスオキシメータプローブなど〕が含まれます。植込み型医療機器、脳や脊髄に触れたもの、感染症法に定める感染症治療に使われたものは対象になりません。

──期待されることは?

医薬品については後発(ジェネリック)医薬品が制度化されましたが、再製造SUDは医療機器版のジェネリック(“デバイス・ジェネリック”)と考えていただけると、メリットやデメリットが考えやすいと思います。

再製造SUDの価格がどうなるかは7月以降に決まっていくことになりますが、市場に競争原理が働くようになるのは確実です。オリジナル品にとっては強力な競争相手が現れることになります。

例えば、日本でも米国のように病院がGPO(共同購買組織)を組織して医療材料費を組織的に価格コントロールしようという動きが出てきています。再製造SUDがGPOを通じて多くの病院に納入されるようになるかもしれません。医療材料メーカーにとって影響は大きく、オリジナル品の競争力を高めなくてはなりません。単回使用を複数回使用に変更する医療材料も出てくるかもれません。

──課題は?

医療費の問題に確実に一石を投じることになりますが、今後保険償還も含めどのように価格が決まるようになるかが重要になるでしょう。また、再製造に関するビジネスが生まれるわけですが、海外のようにオリジナルの医療機器メーカーがそれを担うようになるのか、滅菌や洗浄、包装関連の業者が参入してくるのかは不透明です。

米国で制度導入当初そうであったように、再製造SUDを使うことに医療現場で反発やとまどいがあるかもしれません。米国では制度の導入当初、患者さんのインフォームド・コンセントを得て再製造SUDを使う病院もあったようです。

さらに再製造に関して特許侵害の問題も出てくるかもしれません。様々なインパクトがありそうですので、関係する方々は先行する海外事例の調査や今後の動向のフォローが必要だと思います。

──ありがとうございました。

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