新技術

米国の新たな透析システムは130億ドル市場の革新となるか?

Outset Medical社の新技術とセルフサービスモデルによって、透析治療がコンシューマ製品になる時代が来るかもしれない。

By:Amanda Pedersen(オリジナルの英文記事はこちら。※ 編集部注:本記事は米国の状況に基づき書かれており、日本の状況にあてはまらない情報、あるいは日本で未承認の医療機器の情報が含まれます)

毎年数十億ドルが透析治療に費やされているが、透析治療を提供するための技術は過去30年間でほとんど変わっていない。

「透析は、新技術やサービスモデルの革新がもっとも少ない分野の1つです」とOutset Medical社 CEOのLeslie Trigg氏はQmedに語る。「患者はクリニックで1980年代とほぼ同じサービスを受けています」。

Outset Medicalはこのような状況を、医療供給者にとってコスト削減となり、患者にとってよりよい治療体験をもたらすような新しい透析の技術・サービスモデルを導入する好機ととらえている。新たな透析機器は、透析を一度で済ませるオンデマンド・アプローチであるという点で、キューリングのコーヒーメーカーになぞらえることができる。

「それは透析のKカップのようなものです」とTrigg氏は語る。

米カリフォルニア州サンノゼを本社とするOutset Medicalは、同社のTablo血液透析システム(右写真)の米国市場への導入を拡大するにあたり、シリーズCのエクイティ・ファンディングで7,650万ドルを調達したばかりだ。T. Rowe Price Associates Inc.に助言を受けた新たな投資家がラウンドをリードし、Fidelity Management & Research Company、Partner Fund Management LP、Warburg Pincus、Perceptive Advisors、The Vertical Groupがラウンドに加わった。

新たなコンシューマ技術は、医療機器開発者が製品を設計する方法に影響を与えつつあり、設計者はますますユーザー中心のアプローチと取りつつある。Outset Medicalでもこのトレンドをとらえ、Tabloシステムを医療機器というよりコンシューマ製品と感じられるように設計することを目指した。

「歴史的に非常に複雑であるもののコンシューマ製品バージョンを作ることにチャンスがあります」とTrigg氏はいう。

従来の透析機器は耐久性や信頼性が非常に高いが、基本的にプロの医療従事者のために設計されている。

「私たちは一般人である透析患者向けに設計しています。受け入れやすく、威圧的でなく、記憶や暗算の必要がないものを設計したいと考えました」と彼女はいう。「私たちが目指したのは、自動化され、技術を超えて体験を与えてくれるようなものです」。

Tabloシステムの2つ目の差異化ポイントは、必要とするのは電源のコンセントと水道水だけという点である。現在クリニックで使用されている透析機器は、大がかりな水処理設備と接続される必要がある。これは通常1,000フィート平方サイズの施設であり、水道水を純化し、透析液を大量に調製し、配管を通して透析機器に送っている。

Tabloシステムは水道水に直接接続することができ、治療中に透析液をリアルタイムで作るように設計されている。

「Tabloシステムにより、医療施設はどこで透析を供給するかという点について多くの選択肢を考慮することができます。水を浄化する1,000平方フィートのスペースが必要なく、クリニックを設置する場所についてより自由に考えることができます」とTrigg氏は語った。

例えば、大規模で従来型の透析クリニックではなく、店舗の中など、患者にとってより利便性が高く、小規模な環境に透析クリニックを開くことができるかもしれない。

また、Trigg氏によるとTabloシステムはFDAから双方向のデータ伝送の認可を受けた初めての透析システムだという。つまり、Tabloシステムは治療の後に無線で治療データをクラウドに送り、クラウドでデータは直接、医療施設の電子医療記録(EMR)プラットフォームに入れることができる。ソフトウェア・アップデートを送信できるようTabloシステムはデータを受け取ることも可能になっており、将来的にはEMRから処方データを送ることも可能になるという。

「Tabloシステムには非常に洗練されたデータ分析プラットフォームがあり、私たちはシステムの遠隔モニタリングが可能であり、遠隔診断も可能です。これにより、サービスや修理機能を効率化できます」とTrigg氏。

Tabloシステムは、急性および慢性の治療環境でCEマークを取得しFDA認可を受けている。また、同社では自宅での透析への適用拡大についてIDE(治験医療機器に対する一部規則の適用免除)治験に出資を行っている。

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