MEDTEC Online

21世紀の治療法:医療機器メーカーが知っておくべきこと

21世紀の治療法:医療機器メーカーが知っておくべきこと

米国「21世紀の治療法(21st Century Cures Act)」が成立し、医療機器メーカーは、少なくとも即時的な影響を含め業界特有の影響を受けることになる。知っておくべきことをまとめた。

ByBrian Scogland(オリジナルの英文記事はこちら

昨年(2016年)12月に「21世紀の治療法」が成立して以降、様々な検討や調査が行われている。同法によって科学振興に63億ドルの予算が付され、患者や医療業界全般への影響について綿密に検討が行われている。医療機器メーカーは同法から特有の影響を受けることになる。

私はいくつかのグローバルの機器メーカーと連携し、当社では同法の長期的な影響について、さらに以下の点を含む考慮事項をどのように導くべく戦略的に連携すべきかを調査している。

● ブレイクスルー機器の認可・承認

新法では、認可あるいは承認された代替品が現状で販売されていない場合は、FDAが迅速なプロセスを作成することを要求している。この新しい要求は現状の迅速プログラム(Expedited Access Pathway)と比べてかなり広範なものとなるように意図されている。メーカーはFDAがこの新しい経路の申請を60日以内で決定することを期待でき、このプロセスを明確化するために1年以内に新しいガイダンス文書の作成が要求されている。

● 負担を最小化する審査

承認プロセスの改善に伴い、FDAは、安全性と有効性についての実質的等価性と合理的保証を示すためにもっとも負担の少ない方法と考える現状の法的要件に基づいてスタッフをトレーニングすることも求められるだろう。説明責任も同法に組み込まれているため、FDAは監査と成果に関する報告によってトレーニングの有効性を測定することも求められる。

● コンビネーション製品における革新

同法の多くの部分は、コンビネーション製品の認可と承認に関する業界の現状のペイン・ポイントを明らかにするために導入されている。主要作用機序(Primary Mode of Action:PMOA)を明らかにするための努力が行われており、特にFDAはコンビネーション製品が人体に化学的作用をもつというだけでPMOAが薬品/生物学的であると決定してはならないとされている。スポンサーはPMOAの決定についてFDAの根拠を求め、不賛成やアピールを登録することができる。同法はミーティングリクエストを条項に入れており、ミーティングは75日以内にFDAによって認められなければならない。

業界ではこの点とコンビネーション製品の市販前審査に関する点を明確化することを長く求めてきた。当社ではコンビネーション製品に関する明確化によって利益を受けるグローバルな医療機器メーカーをサポートしている。

● 人道的機器免除(Humanitarian Device ExemptionHDE

同法は現状のHDEプログラムの要件についても変更を加えており、この指定の条件を4,000名から8,000名に拡大している。この点でもこの変更が「もたらしそうなメリット」に関してFDAに18カ月以内に新しいガイダンス文書を出すことが求められている。

● 再利用可能な機器の洗浄データとバリデーション

再利用可能な機器を用いた医師からのネガティブなニュースが続いているため連邦議会はこの点にも取り組んでいる。同法は再利用機器の製造業者に、明確な使用指示書(IFU)と洗浄についてのバリデーションデータを含む501(k)申請を提出することを求めている。またFDAはこの新たな規制の対象となる再利用可能な機器タイプのリストを公開する予定である。

● ヘルス関連ソフトウェア規制の明確化

規制緩和に向けて同法では、今後「機器」とはならない5種類の医療機器ソフトウェアのタイプを特定している。これにより、これら5種類のソフトウェアのメーカーはFDAの規制対象から除外されることになる。

  1. ヘルスケア施設の管理支援(検査室のワークフローを含む)
  2. 疾患状態の診断、治癒、緩和、予防、治療とは無関係に、健康的なライフスタイルを維持するためのソフトウェア
  3. 患者情報を転送、保存、変換、表示するための電子カルテ関連ソフトウェア(情報の「解釈や分析」を含まない)
  4. 検査データや機器データを転送、保存、変換、表示するためのソフトウェア
  5. 意思決定支援目的のもの

この区分の業界への直接的インパクトは大きく、私たちのクライアントには製品が規制から除外となるメーカーもいる。メーカーはどの程度影響を受けるかを評価すべきであり、対応も慎重に行う必要がある。例えば、これによりFDAが要求する品質管理体制が必要なくなるかもしれないが、長期的な成長や新しい事業を確かなものにするために既存の品質管理体制を維持したいと思うかもしれない。

● クラスIおよびクラスIIの分類パネル

スポンサーの規制上の負担を軽減し続けるために、同法ではFDAに、市販前申請(510(k))を必要としないクラスⅠとクラスⅡの追加すべき機器を特定するように要求している。これに対してFDAは今年3月13日に、510(k)を必要としないクラスⅡ機器のドラフト・リストを公開している。FDAはコメントを受け付けており最終版の発行の前にリストを修正すべきかを検討する。さらに、FDAは分類パネルを維持しなくてはならず、5年ごとに再分類リストをアップデートすることが要求される。

● 施設内倫理委員会(IRB

以前、多施設の臨床試験では施設ごとに倫理委員会(IRB)での審査が求められた。同法は1つのIRBが試験全体を監督することを求めている。これにより、スポンサーはより大きな柔軟性をもつことができ、複雑な多施設治験の管理をより効率的に行えるようになる。

今後の展望

FDAは既に上記の課題のいくつかに取り掛かっているが、現政権のもとでどこまで達成できるかは不透明である。連邦職員の90日間の雇用凍結と、“Two for One”のトランプ大統領令(訳注:新たな規制を導入する際2つの既存の規制を廃止するというルール)によって、21世紀の治療法の影響力は停滞しており、FDAに萎縮効果をもたらしているのは明らかである。同法が医療機器メーカーにどこまで影響を及ぼし、結果として業界にどのような変化が起こるかは非常に興味深い。

著者紹介:Brian Scogland is a senior consultant at Halloran Consulting Group, a national life sciences consultancy. He has more than 10 years of experience in regulatory affairs and quality system development. He can be reached at bscogland@hallorancg.com

→ 海外の法規制の最新動向セミナーはこちらから
〔4月21日(金) Medtec Japanセミナー〕

[Top image courtesy of SKEEZE/PIXABAY]

カテゴリー: