MEDTEC Online

新しい植込み機器にはどのようなポリマーが適切か?

新しい植込み機器にはどのようなポリマーが適切か?

植込み機器に適切な材料を選ぶという難しいテーマについて考察してみた。

ByLen Czuba(オリジナルの英文記事はこちら

製品開発チームにとって、ヒトの体内に長期間植込む医療機器に使用できる材料を選ぶこと以上に複雑な問題はないと、私は考えている。

植込み可能な材料を集めたデータベースはあるだろうか?身近な業者に会いに行って、植込み機器に応用できる材料を推奨できるかを頼めるだろうか?通常、このような問いの答えは“No”である。スーパーマーケットにある商品のように、様々な植込み可能材料を並べたデータベースは存在しないし、あるとしても正確ではないだろう。

医療機器に使用される多くの材料においては、最終用途のアプリケーションが材料選択を決定する。鋳造部品であれ、押出チューブであれ、ワイヤフレームやフィラメントのコーティングに用いるポリマーであれ、材料を加工する方法が非常に重要である。工程のそれぞれが材料に何らかの影響を及ぼすため、材料選択にとっての要素となる。最終製品と、それがどのように使用されるかは、製品の要件を決定し、最終的にはその製品を構成する材料の選択を決定する。多くの製品の可能性があり、それに伴って様々な材料特性の要件が導かれる。

以下の製品が考えられる:

  • 人工心臓弁
  • 血管グラフト
  • ヘルニアの修復用メッシュ
  • ワイヤーリードのコーティングを含むペースメーカ部品
  • 骨ネジ、ピン、プレート
  • 人工関節(腰、膝、肩)
  • 縫合糸、組織アンカー、生体吸収性接着剤

製品ごとに異なる要件

血流および脈管構造内に植込まれる製品は、水性環境、血中脂質、酵素、植込まれた製品を異物と認識しがちな多くの血中の因子を含む循環血のすべての要素と絶えず接触することに耐性をもつ必要があるだろう。

組織に植込まれた機器は、血管に曝露し囲まれるが、血流内の材料と同じ課題があるわけではない。だが、それらも組織内では異物として認識されるため、通常の身体の反応によって悪影響を受けてはならない。骨や関節の表面に使用される医療機器にとっては、使用される材料は、関節置換術で使用される可動面にように、インプラントにかかる機械的な力に耐えうるものでなくてはならない。インプラントの表面から磨耗片が出れば、生体はそれらを除去しようとする反応を起こすだろう。

生体吸収性の製品の開発が増えるにつれ、生体吸収性ポリマーによる植込み機器の分野は爆発的に成長している。縫合糸、組織アンカーやクリップ、骨ネジ、生体吸収性電子部品、ステントといった植込み医療機器は生体内に目的をもって留置される。治療やその目的が達せられると、植込まれた材料はゆっくりと植込まれた部位および体内から除去される。消化されるものもあれば、肝臓や腎臓の機能により排泄されたり、代謝されたりするものもある。

製品の機能が材料選択を決める

完全な製品の「要件定義」あるいは製品がどのように製造され使用されるかという理解を得ることは、植込み可能な材料を選択しようとする前に必須である。要件定義には、材料の加工と組立、最終製品における材料の滅菌といったポイントを含める必要がある。製品がどのように使用され、そのような機能をもつかといった点に基づいて、材料選択の工程で要件を考慮しなければならない。

製品と構成材料の要件への完全な理解に基づいて、材料選択を行うことができる。しかし、選択される材料は、それが使用される特定の用途に適合するかを徹底的に検証する必要があることを忘れてはならない。すべての製品、究極的にはすべての材料がその用途に対する適性を検証される必要がある。類似の医療製品を構成するために、どのような材料が使用されているかを知ることはしばしば有益である。すでに安全で効果的であることが示されている材料を選択できれば、検証・評価のプロセスを簡素化できるからである。

「植込み可能」の指定を達成する

おぼえておくべきことは、材料はすべての製品・材料の要件に適合し、FDAによって使用が認可されてはじめて、植込み可能な材料になるということだ。「植込み可能」の指定は、特定の製品とその意図される用途に限定される。適切な試験を行わずに、ある材料の他の「使用承認」を、他の用途での材料の使用への許可と考えることは認められない。もちろん、想定している用途と同様の方法で製造され使用されることが認められるなら、その材料は試験データに驚くことなく新製品の要件に適合する可能性が高い。未知あるいは疑問のあるデータや、がっかりする、期待外れの生物試験結果となる懸念は少ない。

最終的には、FDAは医療機器業界のチェックポイントでありゲートキーパーである。米国では、すべての医療製品、特に植込み製品は注意深い試験結果のレビューが行われ、使用が認められることが示されなくてはならない。

試験とは下記の基本的な分野で行われる必要がある。

  • 物理/機能
  • 化学
  • 生物学

それぞれの分野で試験が行われる程度は、製品の意図される用途によって決定される。受託試験施設は業界の専門家と同様に、規制当局のレビューに備えて完全な試験プランを策定することを支援してくれる。

サプライヤーとの関係性の重要性

植込み製品が認可を受けると(実際は認可を受ける前である場合が多いが)、材料のサプライヤーは、その材料がどのように使用されるかについてユーザーとの合意書を要求するだろう。サプライヤーは自社の材料について、植込み機器での使用に関する訴訟から保護される法的な取り決めを要求するのが一般的な慣習である。植込み型医療機器の開発ステージの早期において、材料の特性について注意深く評価を行うことは重要である。材料の特性や仕様における典型的なバリエーションは何か?そして、どのようなバリエーションが意図する用途で許容されるか?

後に続くはずの付加的な特性要件の追加を要求する新製品に特有の特性要件はあるだろうか?そうだとすれば、これは最終的に合意される材料仕様に追加されるべきである。

さらに、材料サプライヤーとユーザーを確立された材料の仕様に法的に制限することを定める合意も存在する。植込み型医療機器が使用される間、サプライヤーが合意された仕様への適合を主張すれば、サプライヤーは市販された機器に関するいかなる問題にも責任があることにはならない。通常材料サプライヤーから要求される免責合意とは別に、米国で1998年に成立した生体材料利用保証法(Biomaterial Access Assurance Act:BAAA)も、市販後に製品に故障や欠陥が見つかった場合の訴訟からサプライヤーを保護するものである。

私見ではあるが、BAAAの保護があるとしても、材料メーカーの協力を得る最善の方法は、医療機器メーカーが意図する医療機器の使用における材料の許容される評価結果を完全にパッケージ化して示すことである。製造、組立、使用それぞれの方法を理解する上で、サプライヤーはパートナーとなるべきだ。サプライヤーは許容可能性を示すために行われた評価を理解し、規制当局への申請、レビュー、認可プロセスにおいて、医療機器メーカーとオープンなコミュニケーションを行うべきである。これによりサプライヤーも、新たな植込み型医療機器の材料を供給する決定に満足できるだろう。

著者紹介:Len Czuba is the president of Czuba Enterprises, a Chicago-based medical device product development consultancy.

カテゴリー: