MEDTEC Online

大腸がん肝転移に対する画像診断の国際共同研究を開始

大腸がん肝転移に対する画像診断の国際共同研究を開始

ByMedtec Japan編集部

2月1日、国立研究開発法人国立がん研究センター(中央区)は、欧州でのがんの多施設共同臨床研究を主導するEORTCと共同で、大腸がんの肝転移病変に対する画像診断の国際共同研究「DREAM study」を開始すると発表した。

本研究は、国立がん研究センターが中央支援機関を担う日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)とEORTCとの初の国際共同臨床研究で、欧州から16施設、日本から12施設、米国から2施設が参加する。3年間で計400名を登録、評価を行い、5年後の2022年に研究結果を公表することを目指す。

大腸がんはがんの中で、日本では最も罹患数が多く欧州では2番目に多い。外科的切除と、病期によって化学療法を組み合わせた治療が標準治療として行われている。転移頻度が最も高い臓器は肝臓で、初診時の大腸がん患者の約10~25%に転移がみられる。肝転移病変に対しては、外科的切除が根治が期待できる唯一の治療法だが、肝臓の手術は難しく、切除不能な場合も多いため、切除が成功する可能性を高めるために化学療法や分子標的治療薬など腫瘍を縮小させるための治療が先に行われる。

肝転移病変に対して化学療法や分子標的治療を行った後は、CTやMRIなどの画像診断で治療効果を判定する。この際、画像上は肝転移病変が消失したように見えても、本当に病変が完全になくなっているかが確実でないという問題がある。切除後の病理標本で腫瘍細胞が残っていたり、切除せずに経過をみると消失したと考えられた場所から再発したりすることがある。このため、画像上消失したとしても切除可能であれば切除するという方針が採られてきた。

画像診断により肝転移病変が真に消失したかを診断できれば、現在の標準治療である外科的切除を省略し、外科的切除に伴う患者への負担や侵襲を小さくできる可能性がある。

DREAM studyの目的は、化学療法後に画像上消失したと診断される大腸がんの肝転移病変を対象に、数種類のMRIとCTを用いて、腫瘍細胞遺残の有無を予測可能かどうか評価すること。これにより正しい予測方法が確立できれば、無用な外科的切除をなくし、低侵襲治療につながると期待される。

DREAM studyの概要

DREAM studyの対象は、CTおよびMRI(DW-MRI、T1/T2強調MRI、造影MRI)により切除不能または境界型切除不能大腸がん肝転移と診断された患者。まず化学療法を行うが、登録時点で化学療法の開始/継続が必要か、あるいは既に終了しているかどうかで、2通りの登録方法がある。

一次登録時点で大腸がん肝転移に対する化学療法の開始/継続が必要な場合は、登録後に化学療法が開始/継続される。CT、MRIの診断の情報を元に、Multidisciplinary team(MDT)で外科的切除可能と判断されると、二次登録適格例となる。登録時点で既に化学療法が終了していて、外科的切除可能と判断された患者は、一次登録と二次登録が同時に実施される。化学療法などの情報は登録後に後ろ向きに集められる(下図の左側矢印)。

次に外科的手術を受けた全患者の中から、CTとMRI(DW-MRI、T1/T2強調MRI、造影MRI)の全ての画像で消失が確認されたcDLM(confirmed disappearing liver metastases)の情報を収集する。cDLMが外科的に切除された場合は病理学的な遺残腫瘍細胞の有無を評価し、cDLMが外科的に切除されず経過観察となった場合は術後の再発の有無を画像検査で評価する。術前にcDLMと診断された病変の中で、病理学的に遺残腫瘍細胞のない病変あるいは術後2年間再発のない病変の割合をprimary endpointとして評価する。

DREAM studyの臨床データはVista TrialsというWeb患者登録システムを通じて全てEORTCデータセンターに集められる。JCOGデータセンターは日本の各参加施設の倫理審査委員会の承認状況の把握と、データ入力についての督促、DREAM studyに関する質問の対応などの調整業務を行い、その結果を定期的にEORTCデータセンターに報告する。

(国立がん研究センターのリリースより)
Conversion therapy: 手術で切除できないがんを化学療法で小さくして根治切除を目指す治療法 
cDLM (confirmed disappearing liver metastases):画像上消失した肝転移病変 
MDT (multidisciplinary team):腫瘍内科医、肝臓専門外科医、大腸専門外科医、消化器専門の画像診断医から成る多職種医療チーム
カテゴリー: