医療機器用シリコーン素材のイノベーション

ByMedtec Japan編集部

ケイ素関連技術をベースにシリコンおよびシリコーン製品で50年の実績をもつ東レ・ダウコーニングでは2002年以来医療グレードのシリコーンゴム材料、シリコーンオイル、シリコーン粘着剤等を提供している。

これまで、シリコーンゴムはカテーテル部品(チューブ、コネクタ、バルブなど)、シリコーンオイルは注射筒、注射針やコンドームの潤滑剤、シリコーン粘着剤は創傷被覆材や人工肛門部品、患者モニタリング機器、人工補綴材、かつらなど皮膚へ粘着する機器や部品での実績がある下写真

医療グレードはGMP管理、クリーンルームといった品質管理体制で製造、生体適合性に関するISO 10993取得などで安全性・品質を高めたものだが、近年では市場のニーズを踏まえ、ハイスペックを追求するだけでなく、コストを重視したラインナップも拡充している。

液体シリコーンゴム材料では、最上位の医療グレードSilastic® BioMedical Grade シリーズはGMP管理の米工場で製造され、テクニカルファイルおよびFDAドラッグマスターファイル(DMF)に収載、USP(米国薬局方)クラスⅤおよびⅥ、ISO 10993(細胞毒性、30日間および90日間埋植、溶血、皮膚感作性)、変異原性、遺伝毒性といった試験の適合確認が済んでいる。

これに加え、GMP管理ながらISOの試験を少なくするなどしたDow Corning® C6 シリーズ、さらに廉価バージョンのDow Corning® QP1シリーズを用意した。

Dow Corning® QP1シリーズは、USPクラスⅤおよびⅥ、ISO 10993(細胞毒性、7日間埋植、皮膚刺激性、皮膚感作性)といったキーとなる試験をクリアし、植込みでの使用を想定し引き裂き強度を重視、短期間(29日以下)の植込みにも対応可能な材料だ。LSRでは低粘度で成形しやすく、物性を維持したQP1-2XXシリーズも追加している。これまでの工業用製品に近い価格を実現しており、新規導入や医療関連の既存製品では材料の切り替えを提案しているという。

シリコーン粘着剤では、様々な粘度、粘着強度の医療グレードを用意しているが、DMFに収載のあるMD7シリーズに加え、未収載の廉価バージョンとなるDow Corning® MG-2XXXシリーズを用意した。

なかでも有機溶剤ではなく揮発性のあるシリコーンオイルで希釈したMG-2401は粘度を低く設定しており、スプレーなど吹付で処理可能。同社のソフトスキン粘着剤と混ぜれば、有機溶剤を含まない安全な材料で粘着強度を高く加工することを可能とする。「貼り付け面積をなるべく小さくしたい、貼り付け時間をより長くしたい、貼ったまま入浴したいといったニーズに応える製品を実現できます」と営業部門営業1部ヘルスケア担当マネージャーの福間公明氏。

他にも、上記MG-2401を希釈しているシリコーン溶剤であるDow Corning® TI-1010は医療グレードながら工業用に近づけた廉価品として、粘着剤やゴムの希釈などでの使用を提案している。

さらに同社では、材料から患者に対する提案として、オストミー(人工肛門)ケアにフォーカスした取り組みを行っている。シリコーンレジンを主成分に配合した皮膚保護材では、皮膚保護機能(対時間、対洗浄)、粘着性、速乾性で従来タイプよりよい結果が得られた。また、同じく粘着剤除去剤では、ひやっとする感じを改善し、洗浄性、速乾性などの点で従来品よりよい結果が得られた。調製済製品としてメーカーに提案している。

「患者様の満足度があまり高くない分野で、なるべくイノベーティブなものをと市場調査を行った結果」(福間氏)だという。その他、近年ではウェアラブルな医療機器の開発が増えており、健常でない皮膚や粘膜と接触する場合には、安全性を確保するために医療グレードのものが求められているという。

品質管理、製品の安全性に加え、薬事面で顧客をサポートできる点も同社の大きな強みだ。成分開示や必要に応じて製造フローチャート、長期安定性のデータの開示、DMFなどの各種証明書の提示、薬事監査対応といった業界に通じたサポートができる。

同社ではヘルスケア分野では医薬品、医療機器、再生医療等製品それぞれに拡大を目指している。製薬分野で経皮吸収製剤でのシリコーン粘着剤の応用はもちろん、再生医療・細胞培養分野の機器・装置では酸素透過性が高いシリコーン材料に関心が高まっているという。今後、人間の身体に触れる介護・福祉ロボット、細胞に接するロボット、機械・器具などでも、安全で生体適合性の高いシリコーン材料の利用が増えると期待でき、材料面からの医療への貢献を広げていきたいと考えている。

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