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理研、iPS細胞由来の網膜組織移植により視機能回復を確認

理研、iPS細胞由来の網膜組織移植により視機能回復を確認

ByMedtec Japan編集部

1月11日、理化学研究所(理研)とAMEDは、理研多細胞システム形成研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクトの万代道子副プロジェクトリーダーらの研究チームが、マウス網膜変性末期モデルを用いて、マウスiPS細胞由来の網膜組織を移植することにより、光に対する反応が回復することを確認したと発表した。

網膜は再生力が低く、障害を受けると自然な治癒は見込めない。成体幹細胞由来、ES細胞由来、iPS細胞由来の網膜組織を変性網膜に移植する試みが世界中で行われているが、視細胞をほぼ消失した末期の変性網膜において、移植された網膜組織が成熟して光に応答し、シナプス(神経細胞同士の情報伝達に関わる構造)が形成されることをはっきり確認した報告はなかった。

研究チームは2014年に、マウスのES細胞やiPS細胞から自己組織化により分化させた立体網膜組織が、移植先の網膜変性末期マウスの網膜にきれいに生着し、視細胞が高度に成熟した外節構造を持つ形態になることを報告した。

今回、遺伝的な標識法を用いて、網膜変性末期マウスの網膜細胞と移植片内の視細胞が接触したことを確認。また、新たに開発した視機能の評価方法により、移植後のマウスの行動パターンを解析したところ、光応答性に関わる行動パターンに変化がみられた。さらに、移植後の網膜の光応答を電気生理学的に記録すると、上流の脳につながる視神経細胞からも光応答がシナプスを介して得られることを確認した。これらの結果から、自己組織化により分化した網膜組織が実際に移植素材として有効であること、さらに開発した視機能の評価方法が従来の視機能検査法では確認が困難だった部分的な視野回復の変化を捉えるのに有効な手段であることが分かった。

本研究は、研究チームが目指している網膜色素変性患者に対するiPS細胞由来網膜組織の移植治療における裏付け実験として大きな意義があるという。

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