MEDTEC Online

メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー 2016

メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー 2016

「メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー 2016」はエドワーズライフサイエンスが受賞した(関連記事)が、同じく輝かしい1年を過ごしたファイナリストたちの顔ぶれを見てみよう。

ByMD+DI and Qmed Staff(オリジナルの英文記事はこちら

敗者復活者から新参者、常連まで「メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー 2016」のファイナリストたちは現在の医療機器業界でもっとも注目を浴びているプレーヤーたちである。これらの会社は、今後数年にわたって確実に業界に影響を与える革新的な技術とビジネスモデルで医療・ヘルスケアを変革していくだろう。

1.23andMe

2015年、23andMeは家庭用遺伝子検査の販売を再開した

一般向けの手ごろな遺伝子検査は、医療機器業界で復権の兆しがみられたものの1つだ。2013年、23andMeは、同社の検査が「254の病気・病態についてのヘルス・レポート」を提供するとして販売することは、自身の利益にならない医学的決定を人々に行わせる可能性があるというFDAからの警告書に直面した。その結果、このシリコンバレーの企業は先祖検査(“ancestry test”)のみに検査を縮小した。

CEOのAnne Wojcicki氏はFDAとともに解決を目指すことを優先したのだ。「私たちは一から焦点を合わせ直さなければなりませんでしたし、ふさわしい人材を雇う必要がありました。まったく意思疎通ができていなかったのです。正しい方法を行っていることを確認する必要がありました」と彼女は2015年Bloomberg誌に語っている。

同社は今度はFDAとの連携のもと、時間をかけて健康に関する一般向け遺伝子検査を再開できることになった。例えば、同社の199ドルの健康および先祖検査では、ユーザーは嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、遺伝性難聴に関連する遺伝子をもっているかを調べることができる。

2.ボストン・サイエンティフィック

2016年、ボストン・サイエンティフィックのWatchman左心耳閉鎖機器に関して、保険償還上の有望なニュースがあった

2016年2月、CMS(メディケア・メディケイド・サービス・センター)が抗凝固薬のワルファリンを服用できない患者への保険適用を制限するという2015年の提案を撤回した時に、ボストン・サイエンティフィックのWatchman左心耳閉鎖機器が市場にもたらした急激な変化は、最終的に鎮静化した。この決定は、この機器が世界で5億ドルの市場を新たに作り出すと予測した同社の経営層によって歓迎された。

この勝利に続いて、ボストン・サイエンティフィックの機器にはFDAの承認が相次いた。2月にはもっとも期待された機器である四極左室リードAcuity X4、4月には条件付きでMRI可能なペーシング・システムImageReady、8月には条件付きでMRI可能な皮下植込み型除細動器(S-ICD)Emblemが承認された。また、生体吸収性ポリマー製の薬剤溶出性ステントSynergyが大きく売り上げを伸ばし、同社とメイヨークリニックとの提携が継続され、EndoChoiceホールディングスの買収が決まった。アナリストによるとEndoChoiceの買収によって同社の内視鏡事業の成長が期待されるという。

これらに加えて、開発中のリードレス・ペースメーカEmpowerへの高まる期待、次世代経カテーテル大動脈弁Lotus EdgeのCEマーク取得、2020年までの「戦略的成長イニシアチブ」による1.5億ドル規模のリストラ計画など、ボストン・サイエンティフィックの将来は継続して明るいように見える。

3.Carbon

CarbonのCLIPプロセスは従来よりはるかに速く3Dプリントができる

従来の3Dプリンタが何時間もかかって材料を積み重ねるのに対して、数分で液体のプールからポリマー製の物体が浮かび上がってくる。これが、超高性能ウレタンを使用する連続液界面製造(CLIP)の魅力的な工程である。

この技術は、映画「ターミネーター2」で次世代T-1000ターミネーターが材料のかたまりの中から立ち上がってくるシーンにインスパイヤされている。

Googleは2015年、カリフォルニア州レッドウッドシティを拠点とし、CLIPを製品化したCarbonに1億ドルを投資した。ジョンソン・エンド・ジョンソンは既に同社と医療機器におけるパートナーシップを結んでいる。同社では2016年4月に初の商用CLIPプリンタであるM1を発表した。

同社の広報担当者によると、CLIPはまだ医療機器の製造に採用されていないが、多くの医療関連パートナーや顧客と連携を行っているという。

4.CVRx

CVRxのBarostim Neoはペースメーカの技術を用いて高血圧と心不全の治療を目指す

ミネアポリスを拠点とするCVRxの技術は、心臓以外の部位にペースメーカの技術が使用されたもう1つのよい例である。これは、発作や肥満、疼痛などの病気を治療するために電気刺激を用いるという、医療機器業界で非常に拡大が期待される分野である。

同社の植込み型Barostim Neoシステムは、頚動脈および頚動脈洞にある圧受容器と呼ばれる血圧センサを標的としている。同社によると、身体の圧反射を電気的に刺激することで、「身体に本来備わっている血流制御システムを刺激し」、高血圧や心不全を治療するという。投資家たちもこの技術に注目しており、トムソンロイターのデータに基づくPricewaterhouseCoopersによるMoneyTree Reportによると、同社は今年ベンチャーキャピタルから9,300万ドルを調達した。

この機器はCEマークを取得済で欧州で販売されているが、米国では、FDAから迅速プログラム(Expedited Access Pathway)の指定を受けているものの、研究目的での使用に限られている。2016年6月に同社は、米国市場での承認の基礎となることを目指したピボタル臨床試験であるBaroreflex Activation Therapy for Heart Failure Pivotal Clinical Trialで、初めて2名の患者がBarostim Neoシステムで治療を受けたと発表した。

5.エドワーズライフサイエンス
(同社は“メドテック・カンパニー・オブ・ザ・イヤー 2016”に決定関連記事

エドワーズライフサイエンスはTMVRシステムを最初に上市するかもしれない

医療機器業界で常にトップ・ネームであるエドワーズライフサイエンスは2016年も堅調な業績をあげた。カリフォルニア州アーバインに本社を置く同社は、Sapien 3生体弁の手術リスク中等度患者に対する適用拡大でCEマークおよびFDA承認を取得し、経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)分野において勝利を重ねた。同社はこの技術の適用範囲を徐々に広げており、手術リスクの低い患者へのIDE(治験医療機器に対する一部規則の適用免除)試験が進行中であり、日本でもSapien 3の承認を取得した。

一方、同社の経カテーテル心臓弁の売上は、2016年上半期における前年比40%以上の増加を含む飛躍的な成長を続けている。株価もこの成功を反映し、2016年1月から約50%上昇した。

このような勝利によって、同社はTAVRでの優位を築いており、2021年には50億ドル以上に達すると見込まれるTAVR市場で大きなシェアを得るだろうと予想される。

この他に、同社は経カテーテル僧帽弁置換(TMVR)システムの上市に向けても先頭を走っている。TMVRの治療対象となる患者集団はTAVRよりも大きくなると考えられ、複数の企業が開発を進めている。エドワーズライフサイエンスは、TAVRと同様にTMVRでもトップに立つことを目指している。同社がTMVRを手がけるCardiAQ Valve Technologiesを買収した1年後の2016年7月に、会長兼CEOであるMichael Mussallem氏は、TMVRプラットフォームは強化されておりCEマーク取得のための臨床試験の準備ができていると語っている。まだこの臨床試験は開始されていないが、その動向は医師や顧客、競合他社の注目を集めている。

6.iRhythm Technologies

iRhythmのZio XTパッチは14日間の持続的心臓モニタリングを行う

サンフランシスコを拠点とするiRhythm Technologiesは、ウェアラブル機器とビッグデータを組み合わせた製品を開発している。

同社のFDAの認可を取得した胸部に装着するZio XTパッチは、わずらわしいホルターモニターとは異なり、不整脈を検知するために14日間連続(シャワーを浴びてもモニタリング可能)で患者の心調律を記録する。モニタリング期間の最後に、患者はiRhythmに機器を送り、それによってiRhythmは担当医が患者の病態を調べ、治療を推奨できるレポートを集めるための情報をまとめることができる。

また自ら「デジタル医療情報サービス企業」を標榜するiRhythmは、集めたECG(心電図)データ(1億時間超)を保管し、保険者が利用率・診断率を計算できる四半期ごとのレポートを提供している。

同社のデータによって他にもわかることがある。5月には、Zio XTパッチを装着した発作性心房細動患者から収集したデータを調べたところ、抗凝固薬を服用していない患者において、心房細動の負担が高まると虚血性脳卒中のリスクが高まることがわかった。また、Scripps Translational Science Instituteの研究者らは心房細動のリスクが高い無症候性の患者にZio XTパッチを使用すべきかを研究している。

7.Mazor Robotics

Mazor RoboticsはMazor X ロボット手術システムを販売開始予定

2016年、ロボットの分野は、多くの競合がマーケット・リーダーであるインテュイティブサージカルに対抗しようと盛んに参入し大流行となった。なかでもイスラエルを拠点とするMazor Roboticsの活躍が目立った。

同社は2000年代初めに脊椎手術のためのロボット・ガイダンスシステムSpineAssistを開発し、2011年には脊椎と脳の手術に使用できるRenaissance Guidanceシステムとして継続した。2016年6月には、以前のモデルよりデータ、分析、接続機能を高めたMazor X脊椎手術プラットフォームを発表した。

また、同社は5月にメドトロニックと2つの提携を結んだことでも注目を集めた。1つは、Mazor社製品の共同販促、共同開発、あるいは独占的販売に関するものであり、もう1つは、第1段階は1,190万ドルにのぼる3段階の株式投資に関するものだ。

Mazor Xは10月末に販売開始を予定しており、Wells FargoのアナリストのCraig Bijou氏は、同システムが今後、頚椎後方固定術や経皮的仙腸関節接合のような術式にも使えるようになると予測している。彼によると、メドトロニックは既に15のシステムをオーダーしており、Mazor Xと組み合わせて使用できるインプラントの開発でMazor社と提携する可能性があるという。

8.メドトロニック

メドトロニックのMicraは最初にFDA承認を取得した経カテーテル・ペースメーカだ

メドトロニックは今年、革新的製品がFDA承認を得たという点で大きな成果を出した。これは特に循環器と糖尿病分野に当てはまる。4月、メドトロニックはセント・ジュード・メディカルに先んじて米国でのリードレス・ペースメーカの承認を獲得した。同社のリードレス・ペースメーカのMicraは大きなビタミン剤程度の大きさで心臓内に植込まれる。これにより、心臓までリードを通す必要がなくなり、ペースメーカに関連する合併症と感染の原因がなくなる。またMicraの電池寿命は12年である。同社はMicra開発のために他の会社を合併しておらず、社内開発で製品化を行った

さらにメドトロニックは、糖尿病関連機器の“聖杯”である、定期的な血糖測定とインスリン調整を不要とする、ほぼ完全自動の“クローズド・ループ”インスリンポンプシステムに向けて前進した。9月には、世界初のハイブリッド・クローズド・ループ人工膵臓とうたったMiniMed 670GインスリンポンプのFDA承認を獲得した。これにより真のクローズド・ループ・システムに向けたメドトロニックによる6段階のプロセスの4段階目まで達成したことになる。同製品は5分ごとに血糖測定を行い、食後のインスリン投与はマニュアルで行う必要があるものの、自動でインスリン投与あるいは投与停止する。

9.Stryker

Strykerは人工関節置換術での一括支払いの処理を支援する分析プラットフォームを拡大している

ほぼすべての医療機器メーカーは今日、医療提供者はもはや飾りだけで真の付加価値のない技術を相手にしないという考えに口先だけで賛同している。しかし、Strykerはこのような考えを非常に重く受けとめている。

2011年に発売されたTriathlon以来、同社では新しい人工膝関節を発売していない。その代わりに、2年前にセメントレス置換を可能にする3Dプリンタによる脛骨基板を発売する、2017年に予定されているTriathlonを同社のMakoロボティクス・プラットフォームに統合に向けて取り組むといった、既存の製品に付加価値を加えていくことに集中している。

また、同社では今年、バリュー・ベースの治療に対するコミットメントを強化した。2月には院内感染を予防する製品のメーカーであるSage Productsを買収し、3月には手術後に手術用スポンジが患者の体内に残ることを防ぐためのSurgiCountプログラムが失敗した場合には医療提供者に返金保証を行うサービスを提供した。

Strykerは、4月に実施された“Comprehensive Care for Joint Replacement”モデルに顧客がどう取り組むかを支援するリーダー企業であり、術前・術後の支援を提供し、医療提供者が人工置換術に関わるトータル・コストの削減するのを支援するためにデータ分析プラットフォームを拡大している。

10.Verb Surgical

Verb Surgicalはロボット手術システムのプロトタイプの発表を計画している

ジョンソン・エンド・ジョンソンとGoogleの姉妹会社であるVerilyの戦略的パートナーシップであるVerb Surgicalは、Googleのデジタル技術をバックにもつ最新のロボティクスを通じて外科手術を民主化(democratize)することに挑んでいる。同社の関係者はこれを“デジタル手術”と呼ぶことを好んでおり、CEOのScott Huennekens氏はMD+DI誌で、メインフレーム・コンピュータに対するパーソナル・コンピュータのようなものを手術ロボティクスで達成したいと語っている。

Verb Surgicalが重視しているイノベーションの5つの分野は、ロボティクス、装置化、画像化、機械学習やシミュレーションと組み合わせたデータ分析、接続である。同社のロボティクスはユーザー・フレンドリーであるため、外科医は腕を動かすだけで自身でやる必要がある動作を続けることができる。手術の状況がよりわかりやすくなり、機械学習とデータ分析によって目で見ているものを解釈できるようになる。

様々な噂が飛び交っており、Huennekens氏は2016年、100名を超える外科医が同社を訪問したと話している。近いうちにロボティック・システムの完全動作型プロトタイプの完成を期待しているという。

カテゴリー: