MEDTEC Online

最新機器による白内障手術

最新機器による白内障手術

ByMedtec Japan編集部

レーザーとガイド機能により高精度な手術を可能にする白内障手術用レーザー装置は、医師の技術に依存していた白内障治療を変え、世界的に普及しつつある。同装置で世界的なシェアを誇るアルコンでは、眼疾患とその治療法の啓発にも努めており、2016年11月8日には白内障とその治療法をめぐる状況や最新の機器についてプレスセミナーを開催。記者は同社のウェットラボでトレーニングモデルを用いた白内障手術を体験した。


白内障は眼球の水晶体が濁り、かすんで見えるようになる病気である。水晶体内の蛋白変性に伴い、不溶性蛋白が増加することによるもので、原因は加齢がほとんど。80代での罹患率はほぼ100%と言われている。徐々に進行するため、かなり進行するまで患者本人が気づかない場合が多い。

白内障は世界における失明原因の約半数を占めているとされ、2,000万人が白内障が原因で失明すると報告されている。治療には濁った水晶体を摘出し、人工の眼内レンズを挿入する手術が行われる。白内障手術は日本でもっとも多く行われている外科手術だ。

現在では短時間(手術時間は10分程度)で日帰り手術が可能だが、熟練と高い技術を要する。日本では優秀な眼科医が多く年間約140万件行われている。

「白内障とその最新手術」と題した東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子氏の講演では、手術の実際についてビデオ付きで解説があった。その後、記者たちもトレーニングモデルで手術を体験した(下写真)。 

ブタの目を用いたトレーニングモデル(左)、角膜切開時の顕微鏡画像(中央)、切開を行う記者(右)

手元を拡大する手術顕微鏡をのぞきながら、角膜切開(角膜に小さな穴をあける)、前嚢切開(水晶体前嚢に円形の穴をあける)を行い、水晶体を破砕して超音波吸引装置で吸引、その後、水晶体嚢内に人工の眼内レンズを特殊な機器(関連記事)で挿入する。

手術顕微鏡をのぞきながら手を動かし、円を描いて削りとるように前嚢切開する作業など、素人にはかなり難易度が高い。医師にとっても、水晶体の吸引器を足で操作しながら微細な作業を行うため熟練を要し、習得までに時間がかかる。

アルコンの最新白内障手術用レーザー装置「LenSx®」(右写真)は、医師の手で手術器具により行っていた角膜切開、前嚢切開、水晶体分割(破砕と吸引前の分割処理)のプロセスをフェムト秒レーザーで自動化して行う。高解像度OCT(光干渉断層計)で眼球を3Dデジタル画像化し位置決めを行うため、切開部分や分割位置を精緻に設定できる。

例えば前嚢切開では、これまで医師が手術顕微鏡を見ながらなるべくきれいな円形になるように削りとっていたが、LenSxを使うと、OCT画像をもとに患者ごとに切開する正円を設定しその通りにレーザーで切開を行える。角膜切開でも、切開幅や切開する長さ、角度などを設定でき、その通りに切開することが可能になる。

従来の手術は、医師が顕微鏡を見ながら眼内の状態を医師の経験で推定して行っていたが、LenSxを用いると術者の経験に頼らず正確な位置で切開ができる。医師の手では不可能だった切開形状も可能になる。従来の手術では、患者が術後の「見え方」に納得しないケースもあるが、LenSxのような装置を使った高精度の手術により、このような課題を解決し、術後の様々な負担を軽減できるのではないかと期待されている。

LenSxは国内初承認の白内障手術用レーザー装置として2014年10月に発売。本装置を使った白内障手術は保険未収載のため保険外診療となるが、国内で徐々に実績を増やしている。世界では欧米や中東、アジアを中心に1,000台以上導入され100万件を超える手術が行われている。

1月3日は「瞳(ひとみ)の日」。アルコンでは、疾患への意識を高めるとともに、「見える」ことに対する患者の期待に応える最新機器があることを知ってほしいと考えている。

カテゴリー: