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“IoMT”で新しい医療を:IoMT学会レポート(2)

“IoMT”で新しい医療を:IoMT学会レポート(2)

ランチョンセミナー ヘルスケアとクラウドファンディング

ランチョンセミナーでは日本で初めてクラウドファンディングを開始し、国内最大(プロジェクト数、累計支援額、月額支援額、累計支援者数)のクラウドファンディングサービスを提供しているREADYFOR株式会社の米良はるか氏が「ヘルスケアとクラウドファンディング」と題して講演。“All or Nothing”(目標額到達がプロジェクト開始の条件)、“購入型”という特徴に加え、担当キュレーターによる的確なサポートという同社のメリットが紹介された。米良氏は、これまでの経験からもヘルスケアとクラウドファンディングは親和性が高いと感じており、今後もヘルスケア分野に注目していきたいと語った。

特別講演 予防医学が見つめる未来

特別講演では「予防医学が見つめる未来」と題して、予防医学研究者で株式会社キャンサースキャンの石川善樹氏が登壇。今後の医療や関連製品・サービス開発の切り口として、コストを横軸、付加価値を縦軸に考える視点を提案した。理想的なのは、従来の方法に比べてコストを下げられ、付加価値が高いものだが、1つの例として服薬アドヒアランスに関する開発をあげた。軽妙な語り口で、先行知見を駆使して開発アイディアを考える筋道を示した。

セッション3 民間企業から見たIoMTの可能性

次に、同学会理事の柳内啓司氏を座長に、医療・ヘルスケア用のIoTを目指した企業の取り組みについて発表があった。

JINSメガネを提供する株式会社ジェイアイエヌの井上一鷹氏は、自分をみるためのアイウェア、JINS MEMEを紹介。メガネに内蔵するセンサとスマホなどのアプリを連携させて、集中度などをモニターできる。今後医療・ヘルスケア分野での連携を深めたいという。

株式会社キュア・アップの佐竹晃太氏はソフトウェア自体に治療効果をもたせ医師が処方する治療アプリ(ニコチン依存症治療用が臨床試験中)、サイマックス株式会社の鶴岡マリア氏はトイレに後付けできる尿検査装置、AMI株式会社の小川晋平氏は循環器内科医としての経験から開発をはじめた遠隔診療用聴診器を紹介し、それぞれの製品化に向けた取り組みや展望を発表した。

セッション4 医療における人工知能の未来/ビッグデータ

次に、猪俣氏を座長に人工知能やビッグデータの医療応用の可能性についてセッションがあった。

日本IBMの岸本琢磨氏はビッグデータやディープラーニングといった技術で実現したコグニティブ・コンピューティング・システム“Watson”の事業モデルを紹介。医療分野については、診断へのアドバイス、研究文献の分析、保険適用承認審査の自動化、視覚障がい者向けのコグニティブアシスタント(会話をしながら生活支援)の事例が紹介された。

株式会社エルピクセルの島原祐基氏は脳動脈瘤の検出などAI画像診断支援の取り組み、アンター株式会社の中山俊氏はWatsonにもつながる医師同士の疑問解決アプリ、株式会社情報医療の草間亮一氏はAIを使ってデータから治療継続率を予測するサービス(製薬・医療機器メーカー、保険組合向け)や、遠隔診療に対応する医療スタッフAIについて発表した。


最後に「IoMT学会のミッションと今後の展望」として猪俣氏が総括。医療とインターネットがモノをつなげるIoTを組み合わせることで、「ダーウィンやアインシュタインが成しとげたような、天地をひっくり返すくらいの科学の進歩に近づいている」「医療の本質が変わってくる」という言葉は、実際の医療現場にありながら開発を行っているだけにリアリティが感じられた。

IoMT学会の使命は、人類の健康増進への貢献を目的に医療分野に特化したIoT研究を医師/研究者/企業らが連携して行うためのプラットフォームとなること。今後IoTを生かした医療機器やサービスの研究を進め、分科会を設けて研究開発の迅速化を目指し、認定制度、ジャーナル、専門医制度、臨床研究サポートも視野に入れる。

来年6月には企業やVCを集めた「第1回IoMT学会ピッチコンテスト」、12月には「第2回IoMTサミット」を予定しており、活動を加速していく。本分野で研究や開発を行いたい個人、企業の参加を募集している。

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