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“IoMT”で新しい医療を:IoMT学会レポート(1)

“IoMT”で新しい医療を:IoMT学会レポート(1)

ByMedtec Japan編集部

医療分野に特化したIoT研究を推進するために10月に設立された「IoMT学会」(関連記事)は、12月10日(土)に第1回学術総会として「IoMTサミット」を開催した(@ベルサール八重洲)。多くの医師、研究者、企業関係者がつめかけ、研究成果や開発製品の発表と、活発なディスカッション、ネットワーキングが行われた。IoTの医療応用の実際を知ることができるのに加え、新たな医療・ヘルスケアを考えるきっかけにもなる刺激に満ちた会となった。各セッションについて概要をレポートする。


セッション1 遠隔医療

幕開けのセッションでは、同学会理事で一般社団法人在宅健康管理を推進する会代表医師の柳川貴雄氏を座長に、日本でも具体化しはじめた遠隔医療について発表が行われた。

まず柳川氏より社会的背景と遠隔医療サービスの概要が紹介された。2025年には国民の3人に1人が65歳以上という超高齢化社会となり、認知症患者が700万人以上(国民の5人に1人)になるといわれている。高齢者の入居施設の不足や一人暮らし高齢者の問題、財政の圧迫が課題とされている。

このような背景から遠隔医療の活用に期待が集まっており、2015年8月の厚生労働省医政局長事務連絡によって、直接の対面診療と適切に組み合わせるという条件でいわゆる遠隔診療の“解禁”が示された。

これをきっかけに、遠隔診療、遠隔診断、遠隔見守りという3種の遠隔医療サービスがはじまっている。柳川氏の在宅健康管理を推進する会が提供する「見守りブレイン」は日本初の医師による遠隔見守りサービスで、ウェアラブル心電計(イメージワン社製duranta)と家庭用血圧計を活用し緊急時・急変時の対応を可能にしている。また、日本救命救急士協会と民間救急車と連携し、日本初の民間救急車による駆けつけサービスを提供している。

次に、東大病院の互助組織から出発した医師ネットワークをもとに医師の人材サービスを行うMRT株式会社の馬場稔正氏より患者向けに遠隔医療と遠隔健康相談を提供する「ポケットドクター」、株式会社エクスメディオの物部真一郎氏より専門医と非専門医をつなぐ遠隔医療相談のアプリ「ヒフミル」「クスリバ」が紹介された。

最後に、一般社団法人日本遠隔医療学会で遠隔診療モデル研究分科会会長をつとめる京都府立医科大学眼科の加藤浩晃氏より現状と展望がまとめられた。今後遠隔診療を推進していくためには、遠隔診療を保険制度の中に位置づけていく必要があるが、そのためには(1)制度の理解(遠隔診療に関する法律や診療報酬など)、(2)体制の確立(どんな疾患や人にニーズがあるかなど)、(3)エビデンスの創出が課題となる。医療現場として(1)(2)に、厚生労働省に対して(2)(3)に取り組んでいく必要があるという。さらに、各種遠隔診療サービスの現状と体制の確立のための論点について解説があった。

セッションを通じて、臨床試験によるエビデンスづくりと制度上の課題、様々なセンシング、通信を行うウェアラブル機器、人工知能(AI)など今後活用できそうな技術への期待が示された。

セッション2 ResearchKitを用いた臨床研究

次に、同学会代表理事の猪俣武範氏(順天堂大学眼科)を座長に2015年3月にAppleより発表された医学研究向けのソフトウェアフレームワークであるResearchKitを用いて行われる臨床研究についてのセッションがあった。発表されたのは、ロコモティブシンドローム研究用アプリ「ロコモニター」(順大 吉村祐輔氏)、メタボリックシンドローム研究用アプリ「メタボウォッチ」(早大 川上泰雄氏)、ドライアイ研究用アプリ「ドライアイリズム」(順大 猪俣武範氏)、インフルエンザ研究用アプリ「インフルレポート」(順大 藤林和俊氏)。各発表でアプリ開発の背景と経緯、研究への参加状況、見えてきた課題、今後の展望などが紹介された。

発表後にはパネルディスカッションも行われ、ResearchKitの画期的なメリットとして、App Storeでアプリを公開しiPhoneユーザを対象に参加者を集めるため、これまでの臨床研究と比較して参加者集めが格段にスムーズである点を発表者は口をそろえて指摘した。アプリを使うと、自分の状態を知ることができる、アドバイスを得られるなど参加者がメリットを感じる機能を入れやすいという。

その他、開発コストや期間(おおよそ半年)、開発ベンダー(現状で大手の参入がない)などについても議論され、今後の課題として、得られたデータの信憑性や精度の検証、参加者へのインセンティブ、ユーザビリティと機能のバランスの評価などがあげられた。また、ResearchKitではユーザからのフィードバックを得やすく、次なる開発のアイディアが得られるメリットもあるとの指摘もあった。

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