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トランプと医療機器

トランプと医療機器

ドナルド・トランプ氏の米国大統領選出が医療機器業界に何をもたらすかについて、アナリストたちの分析を紹介する。

ByChris Newmarker(オリジナルの英文記事はこちら

米国大統領選挙(関連記事)後の混乱が落ち着いてきた。来年1月のトランプ氏の大統領正式就任に先立って、彼の政治的立場から多くのことが動きはじめている。しかし、トランプ氏が医療機器業界に何をもたらすかという点では、ようやくおぼろげながら先行きが見えてきた段階である。医療機器業界人が念頭に置いておくべき5つのことをアナリストたちが指摘している。

1.医療機器税の撤廃

トランプ政権と共和党優位の議会では、業界で評判の悪かった2.3%の医療機器税は完全に廃止されるかもしれない。

2015年12月にすでに議会は、支出削減と減税政策の取引によりオバマ大統領と妥協し、医療機器税を2年間保留することを決定した。業界はこの税を「ジョブ・キラー」(失業者を増やす要因)と呼んでいるが、S&P Global Ratingsのアナリストによると医療機器税を撤廃しても影響は大きくないという。「この税は医療機器メーカーの売上の2.3%を課すものですが、これは米国内のバリューチェーンでの売上についてのみ課される(例えば、知的財産や製造工程が海外にある製品の場合は売上の一部が課税対象となる)ため、私たちの試算ではグローバルな医療機器メーカーにとっては売上の1%程度の課税になるだろうと見ています」。

2.「オバマケア」の撤廃

トランプ氏はこの点では非常に明確だ。彼は大統領に就任次第、議会でオバマケアを廃止させ、別の制度に置き換えようと望んでいる。しかし、「トランプケア」は、医療費負担適正化法(オバマケア)の内容を部分的に引き継ぐかもしれない。例えば彼は既往歴のある人も保険金の給付対象にしようとしている。また、彼は若年の成人が親の健康保険の給付対象にとどまれるようにした条項を残そうとしている。

アナリストによると状況は医療機器業界にとって複雑だという。「オバマケア廃止のシナリオでは待機的手術は減少するので、整形外科・脊椎関連の企業にはマイナスの影響があります」とRBC Capital Market社のGlenn Novarro氏は予想している。

S&P Global Ratingsによると、米国の医療費全体は持続不可能なレベルに達しているため、オバマケアで戦略の変更があるとしても、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)におけるバリューベースの償還システムへの移行が後退することは期待できないという。

同社のアナリストは「医療機器メーカーはますます、自社の製品やサービスから得られる結果に結びついた償還に関係する契約を結ぶようになるでしょう」と述べている。

3.規制緩和

Wells Fargo社のシニア・アナリストであるLarry Biegelsen氏によると、トランプ氏が伝統的な共和党論者をFDAやHHS(米保健社会福祉省)、CMSの長官に任命するなら、それは業界にとってグッドニュースだという。

伝統的な共和党論者は産業への規制を減少させるものだが、ただし、「不確実ですが、トランプ氏はHHS、CMS、FDAの方針を予測できない方向へ導くようなリーダーを任命するかもしれない」とBiegelsen氏はいう。

Becker’s Hospital Review誌の11月中旬号ではHHS長官候補について予測を行っている。そこには、ルイジアナ州知事のBobby Jindal氏、フロリダ州知事のRick Scott氏、前下院議長のNewt Gingrich氏の名前があがっている。

S&P Global Ratingsによると、トランプ氏が大統領になれば、FDAの対応や承認プロセスを迅速化しようという努力が議会を通過する可能性は高まるだろう。

4.海外キャッシュの取戻し

米国では39.1%という高い法人税が課せられるため、米国を本社に置く医療機器メーカーや製薬メーカーの多くでは、現金を部分的に海外に留め置いている。トランプ氏は、恒久的な法人税率の軽減であれ、ある種の一時的な“repatriation tax holiday”(海外資金の国内移転に際しての税優遇措置)であれ、米国企業が利益を国外から国内へ戻すコストを軽減する税制改革を主張している。

S&P Global Ratingsによれば、これらの制度が実現すれば、米国の大手医療機器メーカーは大規模なキャッシュ移転を行えるだろう。

5.貿易政策の影響

トランプ氏の貿易政策は、医療機器業界にとってマイナスの可能性がある。選挙期間中、彼の発言は真の保護貿易主義者の立場を示していた。

「ほとんどすべての医療機器メーカーはコストを抑制するため、米国外の製造業者に頼っています(メキシコはその中でも最近の新興国です)。製造工程を米国に戻そうというプレッシャーは医療機器メーカーにとって大きな負担になる可能性があります」とS&P Global Ratingsのアナリストは述べている。

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