激化する人工膵臓開発競争

ヴァージニア大学の支援と米国立衛生研究所(NIH)の資金提供を受けた新しい臨床試験では、3つの医療機器関連企業の先進技術を組み合わせている。

ByMaureen Kingsley(オリジナルの英文記事はこちら

今年末にスタートすると期待されている臨床試験International Diabetes Closed-Loop Trial(IDCLT)では、完全人工膵臓の上市を通じて1型糖尿病治療の進歩を目指すTandem Diabetes Care社、Dexcom社、TypeZero Technologies社の技術が組み合わされている。

ヴァージニア大学の支援とNIHの資金提供を受けるこの臨床試験では14~75歳の1型糖尿病患者240名を対象とする。

発表によると、IDCLTは「ヴァージニア大学が主導し米国の7施設、欧州の3施設が参加するクローズド・ループ、コントロール・トゥ・レンジ・システムのピボタル試験」であると、ヴァージニア大学糖尿病技術センター所長で治験責任医師であるBoris Kovatchev氏は述べている。

試験される技術には、Tandem Diabetes Careのインスリンポンプ(t:slim G4)、Dexcomの持続血糖値計(G5センサ)、そして、TypeZero Technologiesが開発したクローズド・ループ・アルゴリズム(inControl)が含まれる。

これらの血糖値モニター、インスリンポンプ、ソフトウェアを組み合わせたシステムにより、高血糖や低血糖を予測し、予測に基づいて毎日のインスリン投与を調整する。基礎インスリンの調整に加えて、TypeZeroのinControlソフトウェアはボーラスインスリンの補正を自動化する。ユーザーは食事の際にボーラスインスリンを手動で投与するが、これは最近FDAに承認されたメドトロニックのMiniMed 670Gインスリンポンプと同じである。

Tandem Diabetes CareとDexcomは、2017年にはinControlのアルゴリズムをタッチスクリーンのインターフェースとし、DexcomのG6センサを組み込んだt:slim X2ポンプを臨床試験に加えることを予定している(Tandem Diabetes Careは米国で唯一、タッチスクリーン式のインスリンポンプを製造している)。3社はIDCLTのデータをもとに共同で設計を行うことで、Tandem Diabetes Careによる規制当局への申請に活用することを目指している。

「この臨床試験での3社の技術統合によって、人工膵臓の研究開発はさらに進化することでしょう」とKovatchev氏。

Tandem Diabetes CareのCEO、Kim Blickenstaff氏は、「世界クラスの自動インスリン投与システムは使いやすく、もっとも正確な持続血糖測定(CGM)データに基づき、信頼できるアルゴリズムを用いる必要があります」と述べる。

クローズド・ループで完全自動化された人工膵臓をめぐる開発競争には多くの会社が参戦している。例えば最近Qmedでは、BDと国際若年性糖尿病研究財団(JDRF)が共同で、現在開発されているインスリン注入装置で可能な3日間を超えて効果を持続する、連続装用型のインスリン注入装置の開発を目指すことを報じた。9月にはアボットの持続血糖測定装置であるFreestyle Libre ProとメドトロニックのインスリンポンプMiniMed 670GがFDAの承認を取得している(関連記事)。また、2014年にはジョンソン・エンド・ジョンソンの子会社であるAnimas Corp.がインスリンポンプと持続血糖測定システムであるAnimas VibeのFDA承認を取得している。

さらに、イーライリリーの資金援助を受け、ボストン大学の教授が立ち上げたスタートアップ、Beta Bionics社は“iLet”と呼ばれる人工膵臓を開発し、2017年前半に最初のヒトでの臨床試験を開始予定である。

カテゴリー: