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ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2016

ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2016

ByMedtec Japan編集部

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済は、iPS細胞などの活用によって創薬研究や再生医療が本格化し、拡大が期待されるティッシュエンジニアリング関連の国内市場を調査した。その結果を報告書「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2016」にまとめた。

この報告書では、再生医療等製品、細胞、セルカルチャーウェア/試薬、細胞培養施設/サービス、細胞培養/イメージング機器、人工生体材料用補填材の6カテゴリー40品目の市場を調査し、現状と将来性を分析した。

<調査結果の概要>

■ ティッシュエンジニアリング関連の国内市場

※ 四捨五入して億円単位にしている(出典:株式会社富士経済)

2015年のティッシュエンジニアリング関連市場は、大学・研究機関では研究予算の削減から一部で需要の縮小もみられたが、民間企業では細胞関連の研究が活発に行われており、前年からほぼ横ばいの714億円となった。

カテゴリー別では、再生医療等製品市場は、2014年11月に再生医療に関連した法律が施行され、従来よりも短い期間で再生医療等製品の市場投入が可能となったこともあり、2016年に細胞性医薬品、心筋シートの2市場が新たに立ち上がった。その他には、毛髪が2017年頃、食道上皮再生シートが2018年頃、培養角膜/網膜色素上皮が2019年頃に市場の立ち上がりが期待されており、ティッシュエンジニアリング関連市場の成長をけん引するとみられる。細胞市場とセルカルチャーウェア/試薬市場は、iPS細胞関連の研究が盛んなため、拡大基調を維持している。なお近年は、生体内により近い培養環境が可能となる三次元細胞培養器材が民間企業を中心に需要を拡大させており、セルカルチャーウェア/試薬市場の成長を下支えしている。細胞培養施設/サービス市場は、2014年11月施行の再生医療に関連した法律により多くの企業が細胞培養受託事業を開始し、2015年から新たに細胞培養受託市場が形成されている。単価の高い製品が多い細胞培養/イメージング機器市場は、大学・研究機関の研究予算削減が影響し、2年連続の縮小となった。ただし、予算の削減から更新時期が先延ばしとなっただけで、2016年以降は更新需要により回復に向かうと期待される。

2030年のティッシュエンジニアリング関連の市場は、1,421億円と予測したが、細胞治療の普及や創薬・スクリーニング用途での細胞利用の増加が進むと、2,200億円以上にまで拡大する可能性を秘めている。

<注目市場>

(出典:株式会社富士経済)

1.細胞性医薬品

細胞性医薬品は、健康なドナーから採取した細胞を培養して製造する医薬品であり、細胞自体が持つ性質を活用して治療を行う。これまで有効な治療法が確立していなかった難病に対する画期的な治療法になると注目が集まっている。ここでは、間葉系幹細胞を用いた細胞性医薬品を対象とした。

市場は2016年2月に他家由来の細胞性医薬品が発売され立ち上がった。この細胞性医薬品は、造血幹細胞移植後に起こる合併症である急性移植片対宿主病(急性GVHD)を対象としている。ほかにも脳梗塞、脳損傷、脊髄損傷、パーキンソン病、クローン病などの疾患を対象とした複数の細胞性医薬品が開発・治験中である。

2.iPS細胞/ES細胞

ここでは、市販されているヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞:induced pluripotent stem cells)とES細胞(胚性幹細胞:Embryonic stem cells)を対象とした。なお、iPS細胞とES細胞共に、未分化の細胞及び分化細胞(ヒトiPS細胞/ES細胞由来の細胞)を対象とし、公的機関が有償提供している細胞や、民間企業が行っている受託生産などのサービスについては対象外とした。

2015年の市場は、前年比23.1%増の3.2億円となった。iPS細胞は研究の活発化に伴って順調に市場拡大する一方、ES細胞はここ数年横ばいとなっている。現状では需要が大きいのはiPS細胞由来の心筋細胞や神経細胞であり、毒性試験や創薬・スクリーニングなどで採用されている。今後は肝細胞需要の増加が市場拡大への重要な要素となってくる。

3.三次元細胞培養器材

プレート上で細胞を単層で培養する二次元培養に対し、三次元培養は厚みを持たせ立体的な状態で培養する方法である。市場は三次元細胞培養用のシャーレ/プレート/フラスコ、ゲル、スキャホールドなどを対象とした。

2015年の市場は前年比9.4%増の5.8億円となった。三次元培養は生体内により近い環境を模した実験が可能なため注目されていることから、細胞培養関連の消耗品類を扱う企業の中には、三次元培養向けの新製品を展開するなど注力しているところもあり、2020年に市場は9.8億円、2030年には22.7億円が予測される。

三次元培養は民間企業中心に行われており、特に製薬企業では三次元培養した細胞で、肝炎や肝臓病、がんなどに関する研究が進められている。今後も創薬・スクリーニングでの採用増加が続くとみられる。一方、大学・研究機関では二次元培養でも研究に支障が無いケースが多く、今後も需要は限定的とみられる。

4.細胞培養受託

ここでは、製薬企業や大学・研究機関、医療機関から受託して細胞を加工する細胞培養サービスを対象とした。また、臨床研究や治療目的の細胞培養を対象とし、美容目的は対象外とした。これまでヒトに投与・移植するための細胞培養は医療機関内でしか認められていなかったが、2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって企業への外部委託が認められ、2015年より市場が立ち上がっている。

2015年の市場は、4.0億円となった。法律が施行されたばかりであることから、案件を受託したのは一部の企業に留まっている。

今後、案件受託に向けた営業活動が活発になるとみられ、市場は拡大が予想される。がん免疫細胞療法や臨床研究に使用される細胞の培養などから受託が進むとみられる。委託先の選定では、技術力、生産設備の充実度、再生医療関連での実績が求められるとみられる。

<調査対象>

再生医療等製品    
・培養軟骨    ・培養皮膚    ・細胞性医薬品
・心筋シート    ・毛髪    ・食道再生上皮シート
・培養角膜/網膜色素上皮        
細胞    
・ヒト細胞    ・iPS細胞/ES細胞    
セルカルチャーウェア/試薬        
・細胞培養用シャーレ    ・細胞培養用プレート    ・細胞培養用フラスコ
・細胞培養バッグ    ・細胞培養用培地    ・血清
・細胞培養用スキャホールド    ・トランスフェクション試薬    ・細胞凍結保存液
・細胞培養用ゲル        
細胞培養施設/サービス    
・細胞培養センター(CPC)    ・細胞培養受託    ・細胞/組織バンク
細胞培養/イメージング機器        
・遠心分離機    ・CO2インキュベータ    ・自動培養装置
・アイソレータ    ・安全キャビネット/クリーンベンチ    ・滅菌器
・凍結保存容器    ・超低温フリーザ    ・薬用冷蔵ショーケース/薬用保冷庫
・フローサイトメーター    ・細胞計数分析装置    ・セルイメージングシステム
・細胞観察用顕微鏡    ・破砕装置/ティッシュスライサー    ・超純水製造装置
・細胞搬送容器        
人工生体材料用補填材    
・骨補填材    ・皮膚補填材    

 【調査方法】
富士経済専門調査員による参入企業及び関連企業・団体などへのヒアリング及び関連文献調査、社内データベースを併用

【調査期間】
2016年6月~8月

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