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センサによる手術・診断機器の革新

センサによる手術・診断機器の革新

Briteseed社の研究開発担当副社長のHariharan Subramanian氏がセンサ技術の進歩と、それによる次世代手術ツールと診断機器の開発について語った。

BriteseedのSafeSnipsは、リアルタイムの情報を外科医に伝えるため、ダイセクターやエネルギーデバイスのあご部分に低価格の光学センサを取り入れている

ByKristopher Sturgis(オリジナルの英文記事はこちら

次世代の医療機器開発の話になると、私たちはしばしばまったく新しい創造によるイノベーションを想像しがちである。しかし、研究者や開発者は最近、すでに利用しているツールを進化させるために、既存の技術を高めるという方法を模索しはじめている。

これが2つの新興企業、Nanocytomics社とBriteseed社の発想であり、これによって診断と手術の効率を改善するために、既存の診断法と手術ツールに使用できる新たなセンサ技術の開発を進めている。

新たな診断技術によってがん生存率を大幅に改善することを目指すNanocytomicsのCTOであるHariharan Subramanian氏は、Briteseedの研究開発担当副社長も兼ねている。Briteseedは人々の医療経験を改善するためのイノベーティブな技術を育てることを使命とする。Subramanian氏は新たな技術を開発するためのカギは、新たなイノベーションを実践場面での応用に変換(translate)させる方法を見つけることだという。

「私たちは世界を変える可能性をもつ技術を多く持っています」と彼はいう。「問題なのは、それらの多くがあまりに非実践的か高価すぎるために、めったに実践の場に変換されないことです」。

Subramanian氏は、Nanocytomicsと連携し、ナノスケールレベルで細胞変化を検知し、計測することで、症状が出ない非常に早期段階でがん患者を診断することができる新しい診断方法の開発を目指している。

「多くのがん患者では、症状のない正常の状態から急速に症状があらわれ、数カ月から1年以内に亡くなってしまうといったことがよくあります。症状がない状態で進行していくのです。なぜこのようなことが起こるかを考えなくてはなりません」。

このような患者を救うには早期発見しかないとSubramanian氏。Nanocytomicsでは、現在まででもっとも効率的なスクリーニング・ツールの1つであった子宮頸部細胞診にならって研究のモデル化を進めている。1950年代に子宮頸がんは米国で女性がもっとも多く罹患するがんだったが、子宮頸部細胞診検査が2段階のスクリーニングプロセスの第一のステップとなり、このがんによる死亡率を90%以上も減少させた。

「私たちは『なぜ子宮頸部細胞診のような検査を他の種類のがんにも適用できないのだろう?』と考えました。問題は、他のすべての種類のがんに使えるような簡単な技術を思いつかないことです。そこで私たちは、ナノスケールの構造に伝導性の高い技術を開発しました」。

その結果、部分波分光法(partial wave spectroscopic:PWS)ナノ細胞イメージングとして知られる独自技術を利用したスクリーニングツールが生まれた。PWSに基づく検査は、特に肺がんや大腸がん、その他の固形がんに高リスクで無症状の患者のリスク評価と早期発見に有用である。Subramanian氏は、この新しい技術にとってカギとなるのは、がんが大きくなる前に細胞レベルでの変化や変異を特定することだという。

「がんについて私たちは、がんの成長に都合のよい環境になる前に体内で絶えず起こっている変異を見つけようとしています。新しいイノベーションによって私たちはプライマリケアの医師による低侵襲技術を開発することができます。例えば、子宮頸部細胞診のように、患者の口腔内の細胞を採取することで肺がんの診断に役立てることができるかもしれません。また、大腸がんに関しても、直腸の細胞を採取することで診断に役立てることができるかもしれません。つまり、この技術によってがんによる死亡率を抑えることができるのです。子宮頸部細胞診と同じようにがんの発症率を90%以上減らせることができるかもしれません」。

彼らの技術はがんのスクリーニングだけのためのものではない。今年Briteseedは“Safesnips”として知られる新しい手術機器の開発を発表した。新しい低価格の光学センサがダイセクターやパワーデバイスのあご部分に組み込まれ、外科手術中にリアルタイムの情報を提供する。このセンサは、切除部位の血管の所在と直径を示し、誤って血管を切ろうとすると外科医に警告を行う。この特長は、微細で低侵襲の手術を行おうとする外科医にとって非常に重要であることが分かっている。

「このようなセンサ技術は低侵襲手術の将来にとって非常に重要です。ますます多くの企業が低侵襲手術やロボット手術に向けて注力しつつあります」。

BriteseedとNanocytomicsの両社とも、できる限り次世代技術への移行を円滑かつ簡便に進めるために、新しい診断法や機器技術の開発に際して外科医や内科医との連携を重要視している。Subramanian氏はこのような連携によって、患者のケアを改善するための市場化を迅速に行えると考えている。

「あらゆる段階において、私たちは機器に変更を行うかを検討するべく外科医からフィードバックを得るために、彼らとの連携につとめています。私たちは、外科医が現在使っているものと大きな変更が生じないように、既存の手術機器に簡単に組み込める技術を目指しています。また、同様にできるだけ簡単に組み込めるようにカスタム製造ができる機器を開発するために、開発企業や連携先と議論を進めています」。

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