ルネサス、血糖値計向けにバイオセンシングフロントエンドを内蔵したマイコンを発売

By:Medtec Japan編集部

10月5日、ルネサス エレクトロニクス株式会社は、バイオケミカルセンサを用いた血糖値計、乳酸値計、コレステロール計などヘルスケア関連をはじめとする電池駆動センシング機器に最適な16ビットLCDマイコン「RL78/L1Aグループ」を6品種開発し、量産出荷を開始したと発表した。同時に、製品機能を即時評価可能なプロモーションボード(Renesas Promotion Board:RPB)も発売開始するという。

新製品は、バイオセンシング用のアナログフロントエンド回路の内蔵により従来は個別に測定が必要であった血糖値やヘモグロビン値をひとつの測定機器で実現することや、アナログ機能の高精度化による機器の性能向上、電池の長時間動作などを提案する。

これにより最終製品のユーザは持ち運びやすい小型軽量な製品を、電池交換の手間を減らして使用することができるため、新製品は糖尿病などの疾病管理に貢献すると考えられる。

新製品は、(1)これまで一般的ではなかった、アナログフロントエンド(注1)内部にアナログスイッチを内蔵しているため測定対象に応じて最適な回路に切り替えることで、例えば血液からヘモグロビンと血糖値を交互に測定するヘルスケア機器の開発が可能、(2)リファレンスソフトウェアの提供によりD/Aコンバータ、オペアンプ、A/Dコンバータ、基準電圧回路などの内蔵アナログフロントエンド機能を使った精度向上が簡単になるためアナログ精度の向上に貢献、(3)アナログフロントエンドの様々な回路上の工夫により動作電圧の大幅な低電圧化を可能とし血糖値計などの主要な機能である測定経路を、システムの電池寿命ぎりぎりまで正常動作させることが可能なため機器の長寿命化に貢献、といった特長を有する。

新製品は、パッケージの端子数が80ピンおよび100ピン、内蔵フラッシュメモリ容量が48KBから128KBの計6品種。サンプル価格は、端子数が100ピンでメモリ容量が128KBの製品が300円/個(税別)。

糖尿病の疾患コントロールには1日複数回の血糖値測定が推奨されており、持ち運び可能な小型血糖値計が普及している。また、血糖値計のトレンドとして複数項目を1つのシステムで測定することからシステム構成が複雑になり、測定精度の向上や電池の長時間動作が課題となっている。

今回の新製品は、アナログスイッチ内蔵による測定対象切り替えのフレキシビリティ向上、リファレンスソフトウェアの提供によるアナログ精度の向上、消費電力低減による電池の長時間動作に貢献することで、これらの課題の解決を目指すという。

ルネサスは、新製品の機能を評価可能なRPBの発売に加え、血糖値計での使用を想定したリファレンスソフトウェアについてアプリケーションノートおよびサンプルプログラムを2016年末にリリース予定だという。

ヘルスケア分野においては、様々な生体信号を測定する上で、アナログ機能の高性能化と、マイコンにおける生体信号のデジタル処理性能の向上が重要だ。

ルネサスは新製品を、ヘルスケア分野向けアナログ機能強化マイコンの第一弾と位置づけ、アナログ機能の精度、性能、使い勝手に着目、強化し開発した。今後も継続してアナログ機能を強化したマイコンの開発・拡販を計画しており、ヘルスケア機器による疾病予防、予後管理の一般普及と医療コスト削減可能な社会の実現に貢献していくという。

新製品の特長の詳細

(1)アナログスイッチ内蔵により測定対象の切り替えを容易化することで測定のフレキシビリティ向上

アナログフロントエンド内部にこれまで一般的でなかったアナログスイッチを搭載。内蔵D/Aコンバータと組み合わせることにより、測定する対象が切り替わった場合でも、外部回路を含めて測定回路をソフトウェアで切り替えが可能。例えば血糖値計などのアプリケーションでは血中成分の違いに応じた測定精度の調整が課題となっており、ヘモグロビンなどの血中成分と測定対象の血糖値を交互に測定するなど柔軟な測定方法を実現できる。

(2)リファレンスソフトウェアの提供によりアナログ精度向上に貢献

リファレンスソフトウェアの提供により、D/Aコンバータ、オペアンプ、A/Dコンバータ、基準電圧回路などの内蔵アナログフロントエンド機能を使った精度向上が容易。デバイスの精度向上に加えてソフトウェアでのさらなる精度安定化が可能となるため、ユーザが開発するシステムのアナログ精度の向上に貢献する。

(3)アナログ機能の低電圧化により機器の長寿命化に貢献

アナログフロントエンドの様々な回路上の工夫により、電源電圧の大幅な低電圧化を可能とし血糖値計などの主要な機能である測定経路を、システムの電池寿命ぎりぎりまで正常動作させることが可能。従来アナログ回路の動作だけは2.4Vまでで停止していたところ2.0Vまで使い切ることができるため機器の長寿命化に貢献する。


注1:センサなどのアナログ信号を検出する部品と、マイコンなどを接続する部品で、センサなどから入力されたアナログ信号をマイコンで処理できるように、増幅・ノイズ除去などの調整を担う。

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