近赤外発光分子による高感度かつ迅速ながん検出手法を開発

ByMedtec Japan編集部

10月18日、東京工業大学は、同 生命理工学院生命理工学系の近藤科江教授と口丸高弘助教らが、腫瘍組織に存在する悪性化したがん細胞を非侵襲的に可視化することに成功したと発表した。

悪性がん細胞で活性化する低酸素誘導因子に応答して近赤外発光を生成するイメージングプローブ(特定の標的を可視化する材料)の開発によるもので、これを血中に投与するだけで、高感度かつ迅速に腫瘍組織の低酸素誘導因子を発光できた。

低酸素誘導因子は多くの腫瘍組織で活性化が認められ、薬剤抵抗性や転移といった悪性化に関わると報告されており、治療標的や診断マーカーとして有望な分子である。これまで、腫瘍組織における低酸素誘導因子の活性化を非侵襲的に可視化するためには、がん細胞やマウスに前もって遺伝子を導入する必要があり、その場観察は困難だった。

開発したイメージングプローブは、外部から生体に血中投与した後、低酸素誘導因子が活性化したがん細胞内に蓄積され、生体組織透過性の高い近赤外発光シグナルを生成することで悪性化したがん細胞を可視化する。

マウスを用いたがんの悪性化機構に関する研究を加速させるとともに、低酸素誘導因子が関わる多くの疾患研究に有用なツールになると期待される。研究成果は10月4日発行のオンラインジャーナルScientific Reportsに掲載された。

低酸素誘導因子が活性化した皮下腫瘍のイメージングの違い(左)と今回開発した近赤外生物発光画像(発光)と従来の蛍光画像(蛍光)の検出感度(特異的シグナル/非特異的シグナル)の比較(右)。
従来の蛍光画像では、腎臓より排せつされる蛍光色素からの非特異的なシグナルが強すぎて腫瘍からの特異的なイメージを得られない。
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