独自の冷間引抜加工によるマグネシウム合金の応用

ByMedtec Japan編集部

株式会社マクルウ(本社:静岡県富士宮市)は、高強度マグネシウム合金チューブを採用した超軽量の四点杖「アルキメイト」(右写真)を開発し、国際福祉機器展(HCR201610/1214@東京ビッグサイト)静岡県産業振興財団ブースで発表した。

同社は独自の冷間引抜加工技術を核にマグネシウム加工技術、マグネシウム合金を活用した製品開発を進めている。特に、結晶構造(六方最密充填構造)のため不可能といわれていたマグネシウム合金パイプの冷間引抜加工を、熱処理、潤滑、工具設計等様々な生産条件を最適化することで実現。この技術は、自動車部品であるショックアブソーバーやガスダンパー等に用いられる引抜き鋼管技術の応用によるもので、旧来の技術を新素材へ転用した成果だ。

冷間引抜加工のメリット(寸法精度・引張り強さの向上、二次加工の精度向上と効率化、0.1mm刻みで寸法指定が可能)を生かし、マグネシウム合金の様々な用途への応用を提案している。また、溶接、曲げ、ヘラ絞りなど二次加工も含めた一貫加工体制により、短納期、小ロットに対応。さらにマグネシウム合金で培った技術を様々な素材へも展開可能という強みももつ。

「アルキメイト」の最大の特長は最軽量(2016年10月時点。マクルウ調べ)と強度である。同社リリースによる特長は以下の通り。

  1. 四点杖として初めて高強度マグネシウム合金チューブ・ダイカスト、及びそれらの接合技術を採用、362グラムで300キロの重さに耐える強度
  2. 独自技術により実現したスッキリとして軽やかなデザインと、 ブルー・マリーヌ色にパール感を加えた上品で落ち着いたカラーリング
  3. 国産の強みを活かした現場ニーズに応える設計思想と、それを実現した職人の技

福祉用具開発・販売事業を行うキヨタ株式会社との共同開発により、現場へのヒアリングを行い、試作と検証を繰り返すことで、レンタル業者での清拭・メンテナンス作業の簡便化などの様々なニーズに応える改善を施している。12月からキヨタ株式会社を通じて販売を開始する予定で、年間10,000本の販売を計画している。なお、本製品は平成28年度川崎市福祉製品開発支援補助金の助成により開発した。

マグネシウムは生体分解性を有することから、生体に植込む医療機器としての応用も期待されている。同社は今年8月に、生体分解性マグネシウム合金ステントを想定したマグネシウム合金チューブの冷間引抜き加工に成功した。

生体必須元素でありヒトの生理環境では腐食しやすい特徴のあるマグネシウムは、金属としての強度や弾性を有することから、生体分解性ステントに適した素材として研究が進んでいる。また、ステント素材であるチューブに求められる細管化、結晶粒微細化、高い寸法精度を実現するために、冷間引抜き加工技術の確立が求められている。

同社では、生体分解性ステントを想定した外径φ2mm・肉厚0.15mm・長さ1,000mm超のマグネシウム合金チューブの冷間引抜き加工に成功(静岡県産業振興財団「しずおか産学官連携研究開発助成事業」の助成を受け、山梨大学工学部吉原研究室との共同研究による)。本技術により、ステント用チューブに要求される仕様(細管化、結晶粒微細化、高い寸法精度)を、特別な設備や工法を用いることなく低コストで実現している。

マグネシウム合金は、ステントの他にもガイドワイヤーや手術用ステープル、ボルトなど体内で使われる医療機器として応用が期待される。同社ではマグネシウム合金の可能性を探るべく、大学や企業との共同研究・開発を進めている。

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