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力触覚を伝え、記録、編集するリアルハプティクス技術

ByMEDTEC Japan編集部

慶應義塾大学ハプティクス研究センターでは、所長の大西公平氏(理工学部教授)を中心に人間の触覚の再現とそれを実現するロボットや機器の開発を目指している。CEATEC 2016(10/4~7@幕張メッセ)では展示した「ハプティック義手」でCEATEC Award 審査委員特別賞を受賞した。

 
  デモ体感できるハプティック義手 ハプティック義手で紙パックを掴んでストローを挿しても中身はこぼれない(展示されていたビデオより)

ハプティック義手(上図)は触ったり掴んだりする感覚を、義手の操作に使うフットペダルに伝達する。風船を使ったデモでは、フニャフニャの風船やパンパンに張った風船の触覚、義手が風船を掴みそこねて指が風船の表面を滑る感覚などをペダルを通じて足で感じることができる。電動モーターとそれを制御する最新の小型チップにより高精度の力触覚伝送機能や把持適応性能を実現した。

自動車用IoTハンドルのデモ(右写真)では砂利の路面上でジャリジャリと向きを変える車輪の感覚をハンドルに伝える。ハンドルとステアリングが直結されていたため路面情報を手元で感じることができた昔の自動車の感覚を、リアルハプティクスによって復活させている。

 

また、汎用上肢のデモ(左写真)では位置に加え触覚や力、速度を含む人間の行為を再実行する様子を展示。行為を記録し編集を行うことで、重いものや硬いものを掴む時は力を強く、柔らかいものや脆いものを掴む時は力を緩くしながら形が異なる様々なものを運ぶことが可能になる。これを応用すれば人間の行為をデータ化して保存、編集、再実行が可能になり、人手に頼っていた作業の多くを自動化したり、行為を規格化したりすることが可能になる。

同センターでは、ハプティクス技術によって人間の行為が時間や空間を超える世界を“Internet of Actions(IoA)”と提唱。これを実現する機能を超小型モジュール化することに成功しており、すでに企業との研究開発も具体化している。また、以前より触覚を再現できる手術用ロボットを目指した研究も行っている。微細な感覚の伝達については、例えば掴んだミジンコの動きを拡大して感じることができるという。医療用途では手術以外でも触診など医師の感覚に頼っていた行為を自動化できる可能性もある。ハプティック義手のような福祉分野も含め様々な応用が進むことが期待される。

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