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異業種のための医療機器ビジネス入門

異業種のための医療機器ビジネス入門

By:Medtec Japan編集部

公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所では、医療機器業界を取り巻く課題について分析検討を行い様々な提言を行っているが、事業化支援を目的とするセミナーも開催している。9月15日には「異業種のための医療機器ビジネス入門セミナー」と題して、新たな業界参入を目指す企業向けに、市場の概要やビジネスの仕組み、規制の概要などについて講演が行われた。

医療・ヘルスケア領域でのビジネスの仕組み

まず、同研究所調査研究室室長・主任研究員の鈴木孝司氏が、新規参入にあたって理解しておくべきビジネスの仕組みについて解説した。

法規制の観点から見た「医療機器」の範囲

病院などの医療機関で使用されるもの全てが医薬品医療機器法に定める医療機器というわけではなく、医療・ヘルスケア産業全体から見れば法規制を受けるものは一部分に過ぎず、法規制範囲外でのビジネスチャンスが多岐にわたっていることを紹介した(図1)。法規制を受ける医療機器でのビジネスを考える場合、規制に関する十分な理解が不可欠なことは言うまでもないが、法規制外のビジネスに取り組む場合も、意図せず法規制の範囲内に踏み込んでしまうことを予防するためには、法規制についての基礎知識を有しておくことが重要であると強調した。

図1 法規制を受ける医療機器の範囲
(医療機器センター 鈴木孝司氏のスライドを元に作成)

保険制度と価格

今回のセミナーでは、国内の医療機器ビジネスでは日本の保険制度を常に念頭に置いておかなければならないという点について詳しく説明があった。医療行為に対して定められている価格(診療報酬点数表における、いわゆる技術料)に医療機器の費用が含まれるケースや、その医療機器を用いることによって診療報酬が加算されるケース、個別の保険償還価格が設定されているケース(特定保険医療材料)について紹介し、医療機器の保険収載には様々な形態があることを説明した。またそれ以外のケースとして、保険が適用にならない自由診療で用いられる医療機器や、体温計・血圧計などの患者個々人が直接購入する医療機器もある。

多角的なコスト評価から製品開発を

今後の医療の方向性として、鈴木氏は2015年に厚労省より発表された「保健医療2035」を紹介。よりコストに見合った効果があるかを把握するため、医療技術評価の試行が始まる段階にあり、「より良い医療をより安く」という方向性が打ち出された。今後の医療機器開発では、コスト(人的、時間的、金銭的な各種コスト)と効果(治療成績のみならず、医師の疲労軽減や病院経営の経営効率化等の広い意味での付加価値)を多角的に評価し、開発する機器がどのようなメリットをもたらすかを熟慮の上、製品化を進めるべきと締めくくった。

医療機器規制の概要

次に、同研究所事業化支援室室長・主任研究員の橋本季子氏が医療機器規制の概要について解説した。

医療機器の法律(医薬品医療機器法)上の定義は「人若しくは動物」を対象とし、「疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること」、あるいは「身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすこと」を目的とする「機械器具」とされている。また、リスクに応じてクラス分類(Ⅰ~Ⅳ)が決められている。医療機器ではない機器を開発したからといって法規制が関係ないわけではなく、医療上の効果等を標榜すると医薬品医療機器法違反となる可能性があるため、ホームページも含めた広告・プロモーションには注意が必要である。

製品への法規制

医療機器は市販前に品目ごとに承認等が必要だが、必要な手続きと申請先は以下および図2の通りでおおむねクラス分類ごとに分かれている。

  • クラスⅠ:大臣届出〔医薬品医療機器総合機構(PMDA)〕
  • クラスⅣ:大臣承認(PMDAで承認審査)
  • クラスⅡ、Ⅲ(一部)のうち、後発医療機器で、機器の評価法(認証基準※)が定まっているもの:民間の認証機関での認証
  • クラスⅡ、Ⅲのうち、評価法が定まっておらず新規性の高い機器:大臣承認(PMDAで承認審査)
図2 クラス分類と承認・認証等の申請先の関係
(医療機器センター 橋本季子氏のスライドを元に作成)

また、PMDAによる承認審査では医療機器の新規性がポイントとなる。使用目的や効果、性能、構造等の観点から「新医療機器等」、「改良医療機器」、「後発医療機器」の3つに分類でき、既存の医療機器との違いが大きいほど承認のハードルは高くなる。後発医療機器では非臨床試験により既存品との同等性を示すことで承認されるのに対し、改良点が大きい場合には改良点に関する評価が必要になる。

既承認品との差異から製品コンセプトを

橋本氏は開発段階から法規制を見据えることの重要性を強調する。出口でどう売りたいか(開発コンセプト)によって、法規制で求められる有効性・安全性の評価やハードルの高さが変わるからである。

既承認品の検索や既承認品の情報を得る方法としては、メーカーのウェブサイトを確認したり添付文書を入手したりする方法があるが、医療機器センターが提供する「JAAME Search」も検索ツールとして便利だ。医療機器の承認情報や最新の行政通知を閲覧できるほか、医療機器に関する膨大なデータベースを利用し、類似品などを検索できる。料金は年間122,760円で無料トライアル(1週間)も実施している。

このようなツールを利用して、開発段階から具体的な製品イメージを明確にしておくことが重要とまとめた。

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