MEDTEC Online

QMS審査を1回で ─MDSAPの進捗─

QMS審査を1回で ─MDSAPの進捗─

ByMedtec Japan編集部

医療機器メーカーの品質管理システム(QMS)について、認定された調査機関が単一の調査を行い、複数国の規制当局が規定する要件への適合を証明できるようにする試みがMDSAP(医療機器単一審査プログラム)である。

国ごとに調査機関が認定され、異なる要件で実施されていた審査を1回で済ませることができるようになるため、複数国で販売を行う医療機器メーカーや規制当局にとって大きなメリットとなることが期待される。

2014年に米国、カナダ、オーストラリア、ブラジルの4カ国の参加でパイロットプログラムがスタートし、2015年6月に日本の厚生労働省も「国際薬事規制調和戦略」に基づきパイロットプログラムに正式参加した。

パイロットプログラムは2016年12月まで続き、2017年1月には正式プログラムが実施される見込みである。パイロットプログラム中のMDSAP調査報告書の受け入れについても各国規制当局が各々の見解を表明している。

今年6月に厚生労働省は、パイロットプログラムで実施される調査が日本のQMS規制に適合することが確認されたとして、MDSAP報告書を試行的に受け入れることを発表した。

MDSAPの最初の調査機関の1つと認定されたテュフズードアメリカと同グループのテュフズードジャパンの南野和也 氏に、MDSAPがもたらす実際上の変化やメリット、今後の展望などについて聞いた。

なお、テュフズードジャパンでは2015年12月、初めて日本人主任審査員によるMDSAPパイロットプログラムを完了し、MDSAP認証書を発行している(関連記事)。

QMDSAPによって、日本で製販業者・製造業者が受けるQMS調査はどのように変わるでしょうか?

一部例外はあるにしても、次のことが言えると思います。

  • 日本は(カナダのように)MDSAPへの全面的な移行を考えている訳ではありません。MDSAP報告書を提出するのは、ひとつの選択肢であり、その選択肢が増えたと考えるのが良いでしょう。従来どおりのQMS適合性調査を選択することも可能です。
  • PMDAがMDSAP報告書を受け入れるため、医療機器のクラスに関わらず、承認時及び定期適合性調査において、実地でのQMS適合性調査は回避できるようになります。
  • 登録認証機関もPMDAに倣ってMDSAP報告書を受け入れますので、認証品についても同様に、実地でのQMS適合性調査は回避できます。
  • 日本の法規制においては、新製品の承認・認証の申請がなければQMS適合性調査は5年に1回であるのに対し、MDSAPの審査は年1回必ず実施されます。同時にMDSAPの審査機関とは継続的な関係を持つことになります。
  • 年1回の定期的なMDSAP審査は、事前に日程と計画等の調整が行われるので、予定が立て易いです。
  • 複数の行政や認証機関による審査を年に何回も受審すると、それぞれに異なった審査手法や指摘事項に戸惑うこともありますが、そのようなことは回避できます。
  • 1回あたりの審査期間(人・日)は、会社規模にもよりますが、概して実地でのQMS適合性調査よりも長いです。

製販業者・製造業者には、販売先国の法規制や実地調査(審査)の頻度も考慮して、適切に対応いただくことが望ましいです。

Q:海外に輸出を行う医療機器メーカーにとってどのようなメリットがありますか?

審査は毎年定期的に実施されます。これは、医療機器メーカーにとって「計画的に審査を受けるための準備」が行えることを示しています。加えて複数の審査が1回で行われるため、その工数削減にもメリットがあります。また調査機関によっては、日本語で審査を受けることも可能となります。

Q:参加国の増加などMDSAPの今後の拡大の可能性についてはいかがでしょうか?

近々には、参加国の増加はないと考えています。ただ、日本の調査機関が増える可能性はあると思います。

Q:御社としてMDSAPの正式実施に向けてどのように準備を進めておられますか?

従前よりグローバルでQMS適合性調査を行っております弊社では、MDSAP審査においても同様にグローバル体制を実現すべく、下記の準備を行っております。

  • 各現地法人においての審査員の育成(全体教育及び資格認定のための教育)に努めています。
  • MDSAP認証に関する手順書の整備を行い、パイロットプログラムを運用しながら手順の改善に努めています。
  • 実際にMDSAPの運用に変更がある場合には、遅滞なく情報共有を行なっています。特に参加各国からの「運用の変更」に関する情報共有はとりわけ重要視しています。

その上で、日本オフィスでは、「日本人審査員が日本のお客様に日本語で審査する」ことに重点を置き、MDSAP審査サービスも他のサービス同様に満足いただけるよう「審査員資格の取得、審査手法の習熟」に努めております。

カテゴリー: