新しいISO 13485のために知っておくべきこと

ISO 13485:2016への改訂は大きなインパクトを持っている。医療機器製造業者が知っておくべきことをまとめた。

ByBart Reitter(オリジナルの英文記事はこちら

3月に国際標準化機構(ISO)が、医療機器の品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 13485を改訂した。現在多くの製造業者ではその内容を吟味し、前版のISO 13485:2003との比較対照を行っている。向こう3年の間に、新しい規格に従って自社のシステムをアップデートする準備をする必要があるからだ。

なぜISO 13485が改訂されたのか?世界中で医療機器産業が成長し、新たな技術が生まれ、サプライチェーンもますます複雑化している。そのため、国際的な規制主体は医療機器の安全性と有効性に対する視点をさらに先鋭化している。

多くの規制機関は自らのスキームにISO 13485を取り入れているため、ISO 13485改訂のインパクトは甚大なものになる。これは業界の変化を反映し、単に機器の設計製造を超えた影響力をもつ。改訂された規格では、市販後モニタリングや製品の廃棄を含む、サプライチェーンと製品のライフサイクル全体にわたってのリスク管理と品質が重要視されている。ISO 13485:2016は5つの大分類に整理され、それぞれ以下の医療機器分野の変化に対応している:

  • 品質管理システム(QMS)
  • 管理責任
  • リソース管理
  • 製品化
  • 測定、分析、改善

新規格の広範さはその導入部分からも感じられる。それによると、この規格は「設計・開発、製造、保管、流通、設置、保守、最終的な撤去、廃棄といった医療機器のライフサイクル上の1つ以上のステージに関わる組織」に使用されると示されている。

活発な国際環境に適応し、規制当局が抱いている機器の品質や性能への懸念を軽減するために、医療機器の製造業者、サービス提供業者、サプライチェーンに関わる業者は自社の品質管理システムを見直している。では、ISO 13485:2016でのいくつかの変更点と製造業者に対する示唆を見てみよう。

ISO 13485:2016における新たな規定

規制面

業界の専門家も規制当局も同様に、世界各国、また様々な法域(jurisdiction)間のQMSソリューションを調整しようという意図をもって規格の改訂に貢献している。多くの国でISO 13485が利用され、そうでない国でもISO 13485に適合するように自国の規制を調整している。調和を目指すより大きな取組は、現在IMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム)によってパイロット中のMDSAP(医療機器単一審査プログラム)であり、これにより製造業者は多くの国・地域でのQMS要件を満たすために1つの審査を受ければ済むようになる。これは審査ごとに複数の規制当局の基準を満たさなければならないという製造業者の負担を軽減するものだ。

ISO 13485:2003では医療機器製造業者が規格に準じたQMSを確立することが求められた。ISO 13485:2016では特定の法域を明示することなく、組織は規制上の要件に関係する際の役割と、その活動に適用される規制を明確化し、組織のQMSに規制を組み込まなくてはならないと規定されている。さらに、企業は自社のQMSが製品の安全性と性能に与えるインパクトを測るために、自社のQMSの有効性を示し、リスクに基づいたアプローチを活用しなくてはならない。また、リスクの観点は設計段階のみではなく、製品のライフサイクル全体に適用されなくてはならない。

コンピューター・システムの検証

その他のアップデートは、コンピューター・システムの検証の適用可能性について扱っている。ISO 13485の2003年版では「製造とサービス提供」のためのソフトウェア検証に特化しているが、新しい規格では特にQMSの一部として使用されるソフトウェアに対する要件を定めている。これによって規格が定める範囲は、製造とサービスを越え品質管理に及んでいるため、組織によってはこれが難題になるかもしれない。さらに、新規格では検証過程にリスクの適用を追加しており、検証や再検証を「ソフトウェアの使用に関わるリスクに比例する」と定めている。

サプライヤー管理

新規格のカバーする範囲の広さによって、サプライヤーやアウトソーシングはより一層監視を受けることになる。ISO 13485:2016はサプライヤーの選択基準をより強調している。2003年版はサプライヤー基準の確立を求めていたが、更新された規格ではサプライヤーの能力とそれによって機器の品質がどのように影響を受けるかに焦点が当てられている。その他では、リスク管理がより広範囲に適用されており、機器のリスク分類とそれが適用される規制の要件を満たせるかどうかに応じてサプライヤーの能力も考慮されている。要件が満たされない場合に取られる措置に加えて、再検証の基準も設けられている。

生産管理

ISO 13485:2016では、機器生産に対してより大きなコントロールをもたらすために、以前の規格より詳細に多くの変化について規定している。これらの変化は、製品の清潔さ、保守活動の記録、製品品質にソフトウェアを使用することに関するリスクに比例するソフトウェア検証に関連している。セクション7.5.8では特に個別機器識別子(UDI)の要件を指示しており、製品識別と製造中の状態についての文書化された手続きが含まれている。

ISO 13485:2016の利点

医療機器の安全性と性能に置かれた重要性に関してISO 13485:2016を採用することには多くの利点がある。個々の医療機器がライフサイクル上のどこにあるかに関わらず、新しい規格は製造業者にとって以下の点で助けになる:

  • 規制上の要件へのコンプライアンスを示す
  • 国際的に調和したQMSプラクティスの確立を保証する
  • サプライチェーン全般にわたって効率的にリスク管理する
  • 製造上の方法と効率性を改善する
  • 競争上の優位性を獲得する

効果的なQMSのインパクトや品質へのアプローチはしばしば見過ごされている。品質が重荷と考えられることは非常に多い。しかし、品質を重視する組織は、低コスト、少ないリコール、全般的な生産性の向上といったメリットを受けられることが多い。品質を重視することによって、コンプライアンスを達成し、業務を改善し、最終的に競争上の優位性をもたらすことができる。

結論

ISO 13485:2016が発行され、新たな規定によって製造とサプライチェーンの品質と統合性を保証でき、リスクを減らし、より厳格化した規制面でのハードルに対応することができる。医療機器の製造業者は、新たな規格について詳細にわたって目を通し、それがどのような利点をもたらすかを調べることが勧められる。業務やコスト面での利点の他、製品の品質を保証できる能力、最終的にはそれを使用する患者の安全性といった利点を得ることができるはずだ。

著者紹介:Bart Reitter氏は製造業のERPソフトウェアを扱うQAD, Inc.(カリフォルニア州サンタ・バーバラ)のライフサイエンス・ディレクター

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