2016年上半期の欧米の規制動向ハイライト

2016年上半期のFDAや各国規制当局の動きは活発だった。主だった動きについてまとめた。

ByMarie Thibault(オリジナルの英文記事はこちら

今年6月初旬までの時点で、FDAの医療機器・放射線保健センター(CDRH)は、13のドラフト・ガイダンスと9の最終版ガイダンスを発表したが、それらは市販後の医療機器のサイバーセキュリティや、積層造形された機器に関する留意点などを含む様々なトピックをカバーするものだった。これらの公式の文書に加えてFDAでは、ブログ(FDA Voice)を通じて新たなイニシアチブについて発信している。

2つの大きな規制面での動きは、規制当局というより、患者側の運動をきっかけとしたものだった。さらに、米国以外でも多くの規制面での充実が見られた。

以下に押さえておくべき重要な規制面でのニュースを振り返ってみよう。

「エマージング・シグナル」をFDAが提言

この発表は実際には昨年(2015年)12月31日に出たものだが、FDAがある医療機器とその有害事象に関する患者側の運動に対する当局としての対応を示したものだった。この提言によって、FDAは「情報が十分に分析、立証、確認されない場合、また当局が特定の推奨をもたない場合でも」市販後の医療機器について警告を公表することが可能になる。これによって、有害事象の報告義務の遵守が改善され、患者と医師はより多くの情報をもとに治療上の決定を行えるようになると期待される。

2つの医療機器の製造販売停止を提言

30年以上前に補綴用毛髪繊維がFDAに製造販売停止された唯一の医療機器になって以来、FDAは今年前半に2つの機器の製造販売停止を提案した。1つは、ほぼ20年近くFDAが目を付けてきたパウダー付き医療用手袋だ。パウダー付き医療用手袋には、呼吸器のアレルギー反応、重症の気道炎症や創の炎症、術後の組織癒着といった傷害のリスクがある。また4月には、FDAは攻撃的行動や自傷行動の治療に使われる電気刺激機器(ESD)を製造販売停止することを提案した。この機器は、マサチューセッツ州カントンにある特別支援学校、Judge Rotenberg Educational Centerだけで製造・使用されているが、FDAによると、PTSD、疼痛、火傷、組織傷害、(機能不全の場合に)予測できないショックといったリスクがあると考えられる。

製造販売停止といえば…

永久避妊機器であるEssureを販売停止にすべきという患者からの運動があったが、FDAはEssureの外箱に印刷すべき警告文の詳細に関するドラフト・ガイダンスを発表した。外箱の警告文に加えて、重篤な副作用と不妊処置の前に患者と医師が話し合っておくべきトピックのチェックリストを記載する。販売元のBayerは、安全で有効なEssureの使用をサポートするためにFDAと連携すると述べている。

FDAによるコンビネーション製品に対する規制の変化

4月にFDAは、コンビネーション製品とそのクラス分け、クロスラベリングに関する決定を行うコンビネーション製品政策審議会(Combination Products Policy Council)を設立した。この前には、製品ごとに要件とスケジュールを満たさなければならないという複雑さのため批判されていたコンビネーション製品の承認プロセスを改善しようという動きがあった。2015年秋には、FDAはこのプロセスを調査し、部署間で異なる承認・トラッキングシステム、リソースの不足、部署間のコミュニケーションの改善といった課題があることを確認した。FDAによれば、問題を見つけ最適なプロセスを作成するために、リーン管理プロセスを使っているという。

欧州ではIVDおよび医療機器のルールを変更

5月下旬、EUはIVDと医療機器に対する規制の変更に関して合意に達した。Emergo Groupの専門家によると、これらの変更には、欧州で営業を行う製造業者はリスクマネジメントのシステムを要件とすること、同等製品に基づくエビデンスの許容範囲は狭くなること、notified bodyはパートナーから管理役に変わること、製品ラベルに固有機器識別(unique device identification:UDI)コードが必要なことなどが含まれる。これらの新しいルールは2019年後半か2020年前半に施行されると予想される。

医療機器の3Dプリンティングについてのドラフト・ガイダンスを発表

医療機器業界でも3Dプリンティングが普及してきたため、FDAは機器の積層成形(additive manufacturing:AM)に関するドラフト・ガイダンスを発表した。これは、設計や製造上考慮すべき点に加えて、検証段階における考慮点についてもカバーしており、当局の3Dプリンティングについての見方を機器メーカーにわかりやすく伝えている。しかし、Hogan Lovell社の専門家はMD+DI誌で、「製造プロセスと規制との間のどこに線を引くか、ポイント・オブ・ケアの製造に関する考慮、多様なシナリオで誰を完成品の『製造者』と考えるべきかといった多くの重要な質問に対して明確な答えをもたらすまでには至っていない」と書いている(関連記事関連記事)。

米国医療機器評価制度に向けて

今年初め、計画委員会の報告書で米国医療機器評価制度(National Medical Device Evaluation System:NMDES)を制定するための調整機関および暫定の事業部長を6カ月以内に決めることが報告された。今後、運営委員会と専門委員会の1年以内の設置、機器評価の情報センターの2年後の始動、安全性監視と有効性エビデンス構築に向けてのプロジェクトの3年以内の完了、その他のプロジェクトの5年以内の完了が予定されている。

カテゴリー: