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磁気粘性流体を用いる歩行補助装具

磁気粘性流体を用いる歩行補助装具

ByMedtec Japan編集部

7月7日、株式会社栗本鐵工所(本社:大阪市)は、橋本義肢製作株式会社(本社:岡山市)と共同で、磁気粘性流体(SoftMRF)を用いた歩行補助装具向けのデバイスを開発し、福祉分野で初めて実用化したと発表した。

SoftMRFデバイスを搭載したMR-AFO

SoftMRFは、ナノサイズの鉄微粒子を油等の溶媒中に分散させた流体で磁場印加の有無により粘性が大きく変化する機能性流体の1つで、鉄粒子の沈降性、再分散性に優れ、回転デバイスに封入すれば滑らかで安定したトルクが得られるのが特長。この特長を活かせる応用展開を模索した結果、ハプティクスデバイス分野において橋本義肢製作株式会社とSoftMRFを使った歩行補助装具向けデバイスの実用化に向けた共同研究に取り組んできた。この度、耐久試験をはじめとする各種試験に合格し、日本リハビリテーション医学会(6月9日~11日)にて、新しい下肢装具足継手(MR-AFO)として発表された。

SoftMRF(左)に磁場を加え変化させた状態(右)

MR-AFOは脳卒中等で片マヒになった人の足の動きを補助する機構がついた歩行装具。足関節周囲の筋肉は、歩行中のほとんどの時間、ブレーキとして関節運動を制動する方向に作用していることに着目。足関節部にSoftMRFを封入したデバイスを搭載することで、使用者の歩行時における足関節角度、足底の接地状況を示す信号に即応し、SoftMRFデバイスが、装具関節部に最適な抵抗を瞬時に実現し様々な歩行状況に応じたアシストを実現することができる。

油圧ダンパーやモーター等のアクチュエーターと比べ、磁気粘性流体を使ったデバイスは粘性(抵抗)変化が素早い点で優れている。課題とされていた耐久性については、従来のマイクロサイズの鉄粒子を分散させた磁気粘性流体と比較してSoftMRFはデバイスへの摩耗が少なく、2倍以上寿命が延びるという結果が得られた。

栗本鐵工所では、今回の成果を足がかりにSoftMRFのさらなる適用範囲の拡大を図り、人と機械を優しくつなぐ新しいヒューマン・インターフェースを提供する事業として確立していきたいとしている。


:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称し、ここでは磁気粘性流体を使って主に力覚を人工的に与えられるヒューマンインターフェイスデバイスを指す。

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