3Dプリンター用「形状記憶ポリマー」発売

By: Medtec Japan編集部

キョーラク株式会社(本社:大阪市)と株式会社SMPテクノロジーズ(所在地:渋谷区)は、両社が共同開発した人体に優しく医療・教育分野で使用可能な形状記憶フィラメントを、6月29日よりキョーラクの3Dプリンターマテリアルブランド「フィラメント工房(R)」より発売した。

3Dプリンターでは、FDM(熱溶解積層)方式のものが本体価格が最も安く、操作や造形物の熱処理が簡単なことから、教育現場や医療現場への導入に向けて注目されている。しかし、使用できる材料は硬い樹脂がほとんどで、肌に触れる造形物には適さず、また造形後に形を変えることができないために3Dデータを精度良く作成するスキルが求められるなどのハードルがあった。

フィラメント工房(R)の「SMP55」は、温めることで軟化して容易に形状を変形できるとともに、変形後に再び温めることで元形状に回帰する性質をもつ。材質は生体適合性があり、「メガネ」「ギプス」「注射針」「下着」など直接肌に触れる製品に多く採用されている。

SMPフィラメントを3Dプリンターで使用することで下記の性質を発揮する。

  1. 3Dプリンターで造形された形状を記憶する【元形状】
  2. お湯などでガラス転移点以上に温めると、やわらかくなって形を変えることができる(冷やすとそのまま固定)【変形】
  3. もう一度お湯で温めることで、造形された元の形状に戻る【変形】→【元形状】

今回発売するSMP55はガラス転移点55℃で、お湯またはドライヤーによる加熱で軟化と共に形状記憶特性を発現する。

SMPフィラメントを用いれば、3Dプリント後の形状をカスタマイズして個人個人にフィットさせることや、3Dデータが作れなくても1つのデータから複数の形状を作り出すことが可能になる。

この特徴によって将来的に病院・介護施設や学校などの教育現場などに3Dプリンターの導入が進んだ際、3Dデータ作成技術のない担当者や生徒が3Dプリンターを扱うハードルを下げ、3Dプリント文化の普及にも繋がると期待できる。

また、これまで3Dスキャンなどからオーダーメイド品を作っていた義手・義足などへの活用をはじめ、医療分野での使用も期待される。慶應義塾大学では、すでに医療・看護・介護の現場での実用化に向けた検討がはじまっている。

● 医療応用の一例:シートギプス

個々人に合わせ、その場で調節し、身体にフィットさせることができるギプス。シート形状での出力後、再形成できるSMPの利点を活かしたコンセプトモデル。

協力:「FAB×看護」 http://www.fabnurse.org/
慶應義塾大学環境情報学部 田中 浩也研究室
慶應義塾大学看護医療学部 宮川 祥子研究室

● 形状記憶フィラメント『SMP55』詳細

製品名:SMP55
素材:形状記憶ポリウレタン
サイズ:100m(300g)
価格:¥6,600(税込/送料・手数料込)
販売ルート:各3DプリンターメーカーHP、SMPテクノロジーズHP、キョーラクHP
Amazon.co.jp: https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01G4OQXII
造形条件:SMPは3Dプリンターでの使用に最適な特徴を持っており、一般的なFDMタイプの3Dプリンターで使用可能。

  • 造形温度はPLAと同程度の約200℃
  • 層の融着が非常に強力
  • 収縮はほとんどない(PLA同等)
  • 造形時に臭いが発生しない
  • 造形面のヒートベッドは不必要。ガラス、マスキングテープ、ビルドタックに良好に定着
  • 射出成形や押出成型可能な材料なので、3Dプリントで性能を確認してから、本格的な量産にスムーズに進むことが可能

● ​SMP55 紹介動画

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