縫合を自動で行う手術ロボット

なぜ“Smart Tissue Autonomous Robot(STAR)”が大きな進歩かというと、それが人の手による制御を伴わず、自動で縫合を行うからだ。

By: Nancy Crotti(オリジナルの英文記事はこちら

“Smart Tissue Autonomous Robot(STAR)”は臨床環境で自動的に手術を行うことが有望であることを示した(Image courtesy of Children’s National Health System)。

MITテクノロジー・レビューによると、研究者がロボットに人間の外科医より上手に繊細な手技を行うことを教えた。

“Smart Tissue Autonomous Robot(STAR)”は、最新の3D画像システムと「ミリメートル以下の正確さで糸を入れる力を感知する」ことにより、生きたブタの腸を針と糸で縫合を行った。この手術システムは、最新の外科技術を模倣するべくこのロボットを設計した開発者(ワシントンDCのChildren’s National Health System)の技術を上回った。この結果はScience Translational Medicine誌に発表された

ロボット手術は既に長年行われているが、今回の違いは手動の制御なしにロボット手術が自動で行われたことだ。研究者は、力を感知する縫合機器と、蛍光マーカーを用いて組織を詳細に画像化できる3D近赤外線カメラを含むいくつかの専用の仕様を産業用ロボットに加えた。成功事例に基づくコンピュータ・プログラムによって、軟組織を縫合して腸をつなぎ合わせるような複雑な手術タスクを行う計画が生成される。

研究チームでは、ロボットによる縫合と腹腔鏡手術で行われる人の手による縫合を比較した。比較したポイントは、縫合した腸が漏れ出す圧力、針の縫い直しが必要な失敗の数、完了までの時間、腸の吻合による内径の縮小であった。

自動の手術ロボットの分野では、Googleの親会社であるAlphabetの支援を受けるVerb Surgicalはこの2月にジョンソン・エンド・ジョンソンとの連携で、よりスマートなロボット外科医を開発することを発表した。AIや情報整理、画像処理の技術を用いて、Verb Surgicalでは最終的により正確でより低コストのロボットを開発する計画であると発表している。詳細については明らかにしていないが、同社のウエブサイトでは近い将来の手術ロボットは数年前には想像もできなかったものになるだろうと語っている。

Verb Surgicalのロボット技術は元々、インテュイティブ社のダビンチの前身の開発を支援し、Appleに採用されている音声認識技術、Siriを開発したSRI Internationalによってはじめられた。SRI Internationalではこの技術は「広範囲の手術で効率性の向上と結果の改善を可能にする」としている。

研究チームのリーダーである小児外科医であるPeter Kim氏によると、ロボットと技術を競ったChildren’s Nationalの結果から、すぐに外科医が職探しをはじめないといけないということにはならないという。ロボットが手術を行うにしても、人間の外科医が手術を見守り、予期できない出血がある場合など緊急時には対応しなければならない。しかし、ロボットとともに手術を行えば、患者への安全性が改善され、合併症は減少し、「大きなベネフィットになります」とKim氏。

手術ロボットシステムの研究者であるカリフォルニア大学バークレー校のロボット工学教授のKen Goldberg氏は今回の結果を重要な成果だと評価し、STARシステムの3D認識の技術が特に興味深いとコメントしている。

Goldberg氏らのチームでは、マニュアルでプログラムを行うというよりエキスパートの外科医から技術を習得するロボットについての研究を行っている。「エキスパートの技術をコピーすることが次のステップです」(Goldberg氏)。

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