アボットが大規模合併に乗り出した理由

アボットによるセント・ジュードの買収から、スケールを追求することがいかに医療機器のOEMを推進していることが分かる。

By: Arundhati Parmar(オリジナルの英文記事はこちら

現在の医療パラダイムでは、医療機器業界におけるサイズがもっとも重視されるようだ。

アボット・ラボラトリーズがセント・ジュード・メディカルを250億ドルで買収するという4月28日の発表で、このことが改めて確認された。

「病院の特定診療科でのスケールと関連度(relevance)を追求するために統合が続く潮流の一例に過ぎないと思います」というのは、医療機器部門が大手機器メーカーと連携しているL.E.K Consultingのマネジング・ディレクターであり共同経営者であるBob Lavoie氏。

アボットにとっては、今年の第4四半期に完了するというこの買収によって、病院の循環器科における影響力を強めることができる。

「特にアボット・バスキュラーは、従来のインターベンション分野を超えて、これまでセント・ジュードが得意としていたCRM(不整脈管理)や心臓外科、VADのような心不全関連治療、モニタリング・プラットフォームといった循環器全般に版図を拡大することができます」とLavoie氏はいう。

責任のあるケアを目指して病院は統合される方向にあるため、セント・ジュードも、この買収によって関連度を維持することができる。

「これによってセント・ジュードは、病院に対してスケール、アクセス、関連度を得ることができます。特にここ最近、病院の統合と業者の統合を病院が進めているという状況があります」とLavoie氏は付け加える。「神経修飾治療(neuromodulation)のようにセント・ジュードには成長が期待されるセグメントがあります。買収によって、アボットもこれらの分野に関与することができるでしょう」。

ウォール街のアナリストも、両社で製品群にオーバーラップが少ないと指摘し、スケールがテーマであることに同意する。

「製品の重複は非常に少ないため、これは複合販売(cross-selling)の機会になるのではないかとみられる」とBMO Capital MarketsのJoanne Wuensch氏は書いている。

今回の買収は大規模合併の潮流が続くことを示している一方で、大規模合併はそれぞれ性格が異なる。例えば、これまでで最大規模の合併であったメドトロニックによるCovidien買収(500億ドル)は、様々な診療科と地域を横断するスケールとポートフォリオの関連度の一例であった。

これはアボットが循環器関連の診療科での影響力強化をはかった今回のシナリオとは異なると、Lavoie氏は電話インタビューで答えている。

コンサルタントやアナリストが今回の取引をポジティブにとらえているが、注意すべき点もある。今回の買収はセント・ジュードをアボットに統合しただけではない。今年はじめにアボットは診断機器メーカーのAlereを60億ドルで買収している。

「両方の取引が前進した場合、それらは2つの非常に重要な取引であり、統合となります。2つの重要な統合によって、マーケットと商業上の焦点を維持できるかどうかは注目すべきです」とLavoie氏は指摘する。

アボットの最高経営責任者(CEO)はアナリストとの通話でこれらの懸念を問題にしなかったが、統合の話がそれで終わるわけではない。

「セント・ジュードの統合は2つの会社に関するものです」とL.E.K Consultingのマネジング・ディレクターであるKenneth Graves氏は電話インタビューで答えている。「昨年、セント・ジュードはThoratecを買収し、まだその取引は終わっていません。アボットは実質的に2社を統合することになるのです」。

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