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UDIの普及を視野に製品データ整備を

UDIの普及を視野に製品データ整備を

By: Medtec Japan編集部

GUDID登録の概要とロードマップ

クラスⅡ医療機器の多くのグローバルUDI(機器固有識別子)データベース(GUDID)登録期限が2016年9月に迫るなか(関連記事)、データプールソリューション事業のグローバルリーダーである1WorldSync(以下、1WS)による「医療機器、米国FDA-GUDID登録 長期的対応までを見据えた方法でしっかりやり切る!! クラスⅡ登録 瀬戸際対応セミナー」セミナーが4月13日に東京・銀座で開催された。


まず、1WS Japan代表執行役員社長の朴水石氏からGUDID登録の概要とロードマップについて説明があった。2013年9月にFDAより、米国内で販売・流通を行う医療機器について機器固有識別子(unique device identification:UDI)の付与、登録に関する規制(UDI規制)が制定された。本規制の要点は以下の3点。

  1. 米国内で販売される医療機器にUDIを付番する
  2. 上記の医療機器に、UDIのラベルを付着させる
  3. 上記の医療機器についてのUDIおよび関連するデータを揃え、FDAのデータベース(GUDID)に登録する

本規制は医療機器のクラスごとに登録期限が定められ、クラスⅡ医療機器の多く(埋め込み機器、生命維持装置・延命装置を除く)については2016年9月24日が登録期限となっている。全体のロードマップは1の通りで、今後クラスⅠ医療機器の多くは2018年9月に期限を迎える。

図1 2020年までのロードマップ

UDI規制の背景と登録方法

UDI規制が実施された目的は、すべての医療機器に固有のIDを付与することによりトラッキングを可能にすることでリコールプロセスを改善すること、リコールプロセスの改善などを通じた患者の安全確保、グローバルで同じIDを使用することによるオープンなメディカルシステムの構築、安全で持続的なサプライチェーンの構築、偽造品の防止といったことがあげられる。

UDIは、DI(device identifier)とPI(product identifier)で構成され、DIは個別のデバイスのモデルやバージョンを識別するスタティック情報で日本の流通業界で広く利用されているGTINはこれに当たる。PIはロット番号やバッチナンバー、シリアルナンバー、生産日などのダイナミック情報である。データベース登録はDIのみであり、ラベリングにはDIとPIの両者が必要になる。

データベースへの登録方法としては、以下の3つの手段がある。

  1. FDAのGUDIDのWeb画面からの直接登録
  2. FDAの指定規格によるシステム連携(HL7 SPL形式でのデータ提出)
  3. サードパーティのサービスを利用(1WSのようなGS1 GDSN経由、あるいはその他のFDA承認のサードパーティシステム経由)

欧州などに広がるUDI

今後注目されるのは米国以外の動向だ。既に2016年中に欧州委員会より「医療機器UDI指令」が発令される予定であり、EU各国ではデータベース登録が進むことが予想される。

米国では病院の共同購買組織(group purchasing organization:GPO)でGUDIDに基づいた製品データベース化と見積や発注、購入などが行われている。さらに、英国の健康保険制度を担い病院を取り仕切っている国民保健サービス(National Health Service:NHS)でもGUDIDの利用の方向が示されている。

このようにデータ活用の動きは世界中でUDIを基準に普及していくと考えられ、今回のUDI登録をFDAへの規制対応とのみ考えるのではなく、次のステップへの展開を視野に入れておく必要がある。様々なデータベースに同期しやすいGS1 GDSNを活用できる1WSのようなサードパーティのデータサービスを利用するメリットは大きい。

データ登録の実務フロー

次に、1WS Japanのマネジャー・カスタマーオペレーションの川越理恵氏より、1WSのデータ登録サービスを利用した場合を中心にデータ登録の実際について解説があった。

まず、実務フローとしては以下のような項目が考えられる。

  1. ガイダンス等の確認
  2. FDA認定のUDI発行機関の選択(GS1・HIBICC・ICCBBA)
  3. UDIのアサインと維持、ラベリング手順の確立
  4. 記録の管理についての手順の確立
  5. GUDIDに登録するデータの収集
  6. GUDIDアカウントの構造理解
  7. DUNS番号の取得
  8. GUDID申請オプションの決定

注意すべきはFDAにGUDIDの登録アカウント申請から発行までに数週間かかかる点。このような点を注意して実務フローをスケジューリングし、それに合わせて組織対応フローも確立する必要がある(2)。

図2 想定されるGUDID登録に関わる業務フロー

1WSを利用する場合の登録の実際

上述のように登録方法には、FDAのWEBサイトや指定のシステム連携を行う方法と1WSのようなサードパーティのサービスを利用する方法がある。川越氏はGUDID直接登録と比較して1WSを利用するメリットを1のように説明する。最大のメリットは、登録用データ形式としてエクセルを利用できる点。

表1 登録方法比較

  GUDID直接 1WorldSync
データ登録画面 Web Web
登録用データ形式 HL7 SPL
Webフォーム(1アイテムずつ)

エクセル
XML(システム連携)
Webフォーム(1アイテムずつ)

サポート言語 英語 日本語・英語
サポート連絡先 米国 日本・米国・ヨーロッパ
サポート連絡手段 お問い合わせフォーム 電話、メール
トレーニング 英語での録画ビデオトレーニング 日本語での対面トレーニング
英語でのオンライントレーニング
将来の規制対応 FDA UDI登録のみ 複数の国の規制に対応予定
一度に登録できるアイテム数 1 エクセルで複数アイテム登録可能
システム連携 連携先(EU規制等)が増えるたびに連携コストが発生 一度連携すれば将来そのまま利用可能

登録方法は、1WSが用意したエクセルのフォームに入力後、ファイルをWEBのインターフェース上でアップロードする。FDAのフォーマットでは一度に1アイテムしか登録できないのに対して、複数アイテムを一度に登録可能。フォーマットが異なるものだったり、入力漏れがあったりするとアップロード時にエラーとなるバリデーション機能も特長だ。

また、1WS Japanのカスタマーサービスにより日本語でのサポート、対面トレーニングを受けられる。

さらに、1WSを利用することで製品データはGS1ベースのグローバルなデータプールに登録されるため、FDA対応にとどまらず将来的なEUでの対応や、その他のデータベースへもシステム連携もスムーズとなる(3)。

 
図3 1WorldSyncを利用した場合のデータフローー

日本企業におけるクラスⅡ登録完了までのプロジェクト運営

次に、実際に1WSを利用してクラスⅡ登録を行っている日本の医療機器メーカーの担当者を迎え、1WS Japanビジネスディベロップメント 久恒整 氏を聞き手に、実際の登録完了までのプロジェクト運営や取組が紹介された。

時間軸としては、登録完了まで2年程度を想定し、規制内容の把握、概要の理解と課題出しに当てるフェーズと実際のデータ整理や登録作業に入るフェーズとの2段階をイメージし、社内でやること/社外に委託することを区別しながら進めた。

体制と運営としては、プロジェクトリーダーのもとに週1回の会議を持ち、課題と対策を整理。複数の派生プロジェクトを設けながら、データ登録とラベリング、社内の帳票との調整などを進めた。

実際の苦労として、FDAガイダンスの理解に時間がかかること、社内で情報を共有し、理解を共有させる苦労があげられた。登録が必要なデータがないこともあった。部署間で意識を統一して、連携を確立することが重要と再確認された。

1WS Japanのデータ登録サービスを利用しての感想は、薬事コンサルでも必ずしもGS1コードなどの知識はないため、相談できる相手が増えることがありがたいということ。複数の製品を組み立て1つの製品とする場合に数量をどのように考えるかなど、実際的な疑問を相談できるのが助けになったとの感想だった。

米国、グローバルの状況から

最後に、1WS Inc.(米国)のNick Manzo氏より米国のGPOや流通の現状、世界の動向も含めた今後の方向性が紹介された。一般消費財の商品情報データプール事業も手掛ける1WSでは、医療機器についてもGPOや病院から求められる製品データをGS1のグローバル・レジストリであるGSDNに基づいて提供している。

米国では医療機器を含む病院で使用する商品の流通は多くの場合、全米で約600存在するGPOを通じて行われ、購買にかかわるコストを抑え、効率性を高めている。米国の病院の96~98%が少なくとも1つのGPOに所属し、75~77%がGPOを通じて購買を行っている。

このような状況から、UDI規制は単に規制当局への対応と考えるのではなく、コマーシャルパートナーへの対応と考えるべきである。製品情報を整理し登録することで、病院、GPO、その他のデータベースに利用可能性の高いデータを提供できる。

また、UDIをきっかけに顧客や販売パートナーがさらに多くのデータを求めるようになっているが、それはできるだけ購買にかかわるコストを抑制し、利用者である患者への透明性を高めるという目的がある。

世界的にみても、英国NHSではGS1を採用し、取引パートナーにGDSNの利用を必須化する方針が既に打ち出されている。また、アジア、中東、欧州でも同様の動きがみられる。

Manzo氏はAMAZONを利用して自分が商品を買うケースを想定してほしいという。UDIのカテゴリーのみを考えるのではなく、商品を利用する医療機関、さらには患者を視野に入れて製品情報を考える必要があり、実際の製品と同じように、負担ではなく活用すべき資産として製品データを活用すべきと締めくくった。


米国では、近年の医療機器の再利用が原因の感染問題による損失コストを分析し、患者の安全確保とコスト削減を目的に米国保健福祉省Centers for Medicare and Medicaid Services(CMS)に対して、保険の申請書にもUDIの記入を求める動きもある(関連記事)。今後も米国を中心にUDIを活用する動きは拡大し、世界的に普及していくことが予想される。Manzo氏が強調するように、製品そのものと同様に製品データを重要な資産と考える意識が求められる。

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