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ドローンやクラウドが描く救急医療の近未来:EDAC

ドローンやクラウドが描く救急医療の近未来:EDAC

By: Medtec Japan編集部

1月17日、一般社団法人 救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(EDAC)の設立が発表された。EDACはドローンやIoT、クラウド、通信技術などを活用して救急・災害医療の変革を目指す。代表理事の小澤貴裕氏(国際医療福祉専門学校専任教員・救急救命士)に設立経緯や今後の目標などを聞いた。

同法人は、救急医療、ドローン開発、クラウド技術、行政などの立場から6人が発起人となって2015年9月にスタートしたProject Hecatoncheir(ヘカトンケイル)の活動をより強化すべく法人化したもの。医療、産業、行政といった異業種間の壁を取り払う連携の場を提供し研究開発の加速を目指す。

小澤氏は救急救命士として消防署での勤務経験を経て、国際医療福祉専門学校に赴任後、2013年頃から全学生用にiPad導入するなど教育のICT化に取り組んできた。モバイル機器やクラウドの活用で救急・災害医療も変えられないかと様々な立場の人々とネットワークを広げてきた。

2011年4月佐賀県で全救急車にiPad導入するなどのICT活用(99さがネット)を進めていた円城寺雄介氏に刺激を受け、連絡を取り合うことに。さらにSNSを通じてネットワークが広がり、ドローン開発者やICT技術者にもつながった。

上述のProject Hecatoncheirを設立し、「都市の神経系」を打ち出したドローンやクラウド、ICTの医療への活用構想によって、2015年11月には「攻殻機動隊Realize Project」神戸大会で優勝した※。「現状の都市のインフラは血管系ですが、私たちの理想は都市の神経系です」と小澤氏。(※ Project Hecatoncheirは2016年2月11日開催の攻殻機動隊Realize Project The Awardにも出場。)

心肺停止を例にとると、救急隊の到着が1分遅れるごとに救命率は10%低下するといわれている。救命率の改善は消防機関がいかに迅速かつ効率的に患者を覚知し救命処置につなげるかにかかっている。

モデルケースとしてAEDのない場所にドローンでAEDを届けることを想定して、市販ドローンを改造した(右上写真)。ただ、日本国内で使用されているAEDの重量のためドローンは大型になり、飛行時の安全性や航続距離の問題が出てきた。

「このケースではドローンよりAED側の問題で、外国で使われている軽量のAEDが使えれば解決します。国産で1kg程度のAEDが出てくればありがたいですが…。実際やってみて見えてくる問題も多いです」と小澤氏はいう。

実証実験で使用されたドローン

2015年12月には、アナフィラキシーショックの患者にエピペンを届けるケースを想定し、EDAC共同設立者の大畑貴弘氏が代表取締役をつとめるリアルグローブ社のクラウド制御システム「SUGOS」を利用して、東京大学からインターネット経由でドローンの操縦を行い、千葉市内の国際医療福祉専門学校で処置訓練を行う実証実験に成功した。

また、共同設立者の岡田竹弘氏(株式会社魔法の大鍋)が開発した小型ドローンでは短距離の災害現場や屋内の危険な場所の映像を得られる(下写真)。

ドローンの飛行や通信に関する法規制は整備されつつあり対応は必要である。まずは実現しやすいものとして、救急現場にいち早くドローンが飛び、俯瞰映像をセンターに届けたり、映像を見た医師や救急救命士が現場の人に指示したりするようにすることが目標という。

俯瞰映像だけでも救急医療にとってはメリットが大きい。小澤氏によれば、今後映像を傷病者のスマホやウェアラブル機器と連動できれば、傷病者の位置情報とバイタルを把握でき、救急隊の編成やトリアージなどを今より迅速に行える可能性がある。

最近、Facebookを通じて海外メーカーとの連携もはじまった。的外れな開発を行わないために、医療や救急現場のニーズと技術をマッチさせる場が必要と小澤氏はEDAC設立の狙いを強調する。異職種間の壁を取り払い、救急・災害医療に貢献する技術と知識の結集を目指す。

グラス型ウェアラブル端末を用いたドローンの操縦イメージ。ドローンからの映像を見られる操作用グラスとコントローラを持つ記者。ドローンを持っていただいているのが小澤代表
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