“21世紀の医療法”への懸念

一部の法学者や消費者擁護団体によると、米国“21世紀の医療法(the 21st Century Cures Act)”が起草された際のロビイストとFDAの連携は異例のものだったという。

By: Brian Buntz(オリジナルの英文記事はこちら

昨年(2015年)7月10日に下院で賛成344、反対77の圧倒的多数で可決した“21世紀の医療法(the 21st Century Cures Act)”について、早ければ本年(2016年)1月には上院での審議が始まる。

本法案の支持者はこれによって患者の新たな医療技術へのアクセスが大幅に改善されると主張している一方、全米医師連盟(National Physicians Alliance)、パブリック・シチズン(Public Citizen)、消費者同盟(Consumers Union)、コンシューマーリポーツ(Consumer Reports)の政策部門などの団体からの反発を招いている。

批判の多くは、法案起草時のFDAと業界団体のAdvaMedとの連携を疑問視している。情報公開法の要求を通じInsideHealthPolicyによって得られたFDAのメモによると、FDAとAdvaMedは「機器の規定に関する文案の多くで連携」を行ったという。

「FDAの幹部の多くが、医療機器業界を代表する主要な業界団体と手を結んで、業界の利益に有利となり、規制制度と医療機器の承認基準を弱める法案を起草しているのです」と、パブリック・シチズンのヘルス・リサーチ・グループのディレクターのMichael Carome氏は指摘している。

またその文書によると、AdvaMedの職員と、CDRH所長のJeffrey Shuren医師や長官代理のStephen Ostroff氏を含むFDAのスタッフを集めて、法案の文案について議論を行った8月7日の会議に、FDA長官候補のRobert Califf医師(現・副長官)も参加したと明らかにしている。

「FDAは業界を満足させ、彼らの利益を他の何よりも優先する立場に後退したように見えます」というCarome氏の言葉がBloomberg誌に引用されている。

さらにBloomberg誌は、FDAのウィーメンズ・ヘルスの副部門長で現在ジョージワシントン大の教授であるSusan Wood氏の次のような言葉を引用している。「FDAが外部の団体の助言を受けて法案を起草するということは異例であり、驚きです。FDAと関連業界に影響を及ぼす法案について、業界の代表を重視し、他の団体を議論の輪に加えていません」とWood氏は法案に反対している。

加えて、法案には注目すべき支持者がいる。PhRMA、BIO、AdvaMedといった業界団体の他に、米国心臓協会(AHA)や通信大手のVerizonといった医学界や関連組織が法案を支持している。

法案は、患者の新技術へのアクセスを速めるために設計され、多くの機器や医薬品の市場化への道筋を効率化すると同時にFDAやNIHへの資金提供を促進するものだ。また、法案によってFDAは従来の製品提出に代わって、論文発表やケース・スタディに基づいて製品の承認を検討できるようになる。「これは機器が市場に出て患者に使用された後にしかリアル・ワールドでのテストが行われないことを意味します」とコンシューマーリポーツは指摘する。

患者側の支持者の一部は、医療機器の変更が安全であると認定する資格を第三者機関に与える条項にためらいを表明している。Bloomberg誌では、ペースメーカの設計変更が安全であるかをFDAではなく第三者の会社が判断する事例を挙げている。

しかしながら、このアプローチに前例がないわけではない。これは欧州の規制枠組と同様であり、公認の団体によって設計変更のモニターだけでなく医療機器の販売承認も行われる。

さらに法案では、医療機器や医薬品の認可(クリアランス)の基準として、小規模な予備的臨床研究や「臨床経験」を使えるようにすることが提案されている。

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