エレクトロニクスによる新しい絆創膏

温度センサーとLEDを利用する伸縮性、接着性が高い絆創膏が世界初の「スマート・バンドエイド」になるかもしれない。この新技術は装具やモバイルヘルスでも応用の可能性がある。

By: Kristopher Sturgis(オリジナルの英文記事はこちら

1920年のバンドエイドの発明以来、絆創膏にはほとんど変化がない。現在でも様々なバンドエイドがあり、感染を予防するために抗菌薬を含有するものがあるが、傷の治癒を積極的に導くものではなかった。

このような状況は、薬剤送達性能があり、生体の一定の変化に対応して薬剤を投与する新たな柔軟性のあるエレクトロニクス技術によって変わるかもしれない。この技術は、植込み型の血糖センサーなど他の分野でも潜在的に利用可能である。

下のビデオでは、伸縮性のあるハイドロゲルをポリマー部分の構造(赤色)に接着し、これにより電子部品を封入している。

「強固で生体適合性のあるハイドロゲル構造に薬剤送達路と貯留層を埋め込みました。これにより、オンデマンドかつ管理可能な方法で薬剤の放出が可能です」とMITの機械工学の准教授であり本技術の開発者であるXuanhe Zhao氏はいう。

ハイドロゲル構造は新設計であり、弾性の高い素材でガラスやシリコン、セラミックス、アルミニウム、チタンといった様々な素材に接着できる。

「一般的なハイドロゲルは脆く、伸縮性がなく、電子材料への接着性は低いです」とZhao氏。「私たちは最近、様々な電子材料への接着性が高い強固で伸縮性があり、生体適合性のあるハイドロゲルを開発しました。この新しい性能によって伸縮性のあるハイドロゲル製の電子回路と電子機器が可能になりました」。

Zhao氏とそのグループは当初、このようなハイドロゲルをソフトロボットへの応用を視野に開発したものだったが、ハイドロゲルに生体適合性があることから医療関連の応用分野を探ることになった。

ハイドロゲルは電子機器を体内に植込むためにも利用できる

「この絆創膏は、伸縮性があり強固であり、生体適合性のあるハイドロゲル構造内にセンサーとエレクトロニクスを統合した機器の一例です」とZhao氏はいう。「この新しいスマート・ハイドロゲル絆創膏は軟らかく、湿っており、伸縮性があります。さらに様々な場所の温度変化を感知し、それに応じて薬剤を送ることができます」。

Zhao氏によると、この技術が薬剤送達機器として人体に密着して使われる場合には、薬剤送達機器もまた伸縮性があり、人体への適合性が高い必要がある。研究グループでは、導体を構成するためチタン線とともにこの技術を埋め込むテストを行い、一定の導電率が維持できることを発見した。

次に、グループではハイドロゲルのシートにLEDを埋め込み、膝や肘のような変形が必要な部位で伸縮した場合でも発光が継続することを確認した。

最終のテストでは、等間隔に配置した温度センサーが微小な薬剤送達のための貯留層と連動するように「スマート創傷被覆材」を作製した。グループでは被覆材を身体の様々な部位に配置し、限界まで伸びた場合でも皮膚の温度感知が可能であり、センサーに応じて薬剤を放出できることを確認した。

現在、Zhao氏のグループでは、この技術の性能を向上させるだけでなく、身体の別の部位でも使えるように機器を改良することを計画している。

「共同研究では、私たちは脳に近い機械的、生理学的特性をもったハイドロゲル・ベースの神経プローブを設計しています」とZhao氏はいう。「しかし今は、伸縮性のあるハイドロゲル電子回路と電子機器の臨床応用に向けて努力しています。これによって、モバイルヘルスや様々な植込みセンサー、装具に至るまで幅広い領域でインパクトを与えることができるでしょう」。

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