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次世代のヘルスケア産業の創出:経産省からの提言

次世代のヘルスケア産業の創出:経産省からの提言

By: Medtec Japan編集部

国民医療費の高騰が問題になる一方で、ヘルスケア産業の成長が期待されている。そこに矛盾はないのか?また、どのような資源の配分が理想的なのか?

12月15日東京国際フォーラムで開催された厚生労働省主催の「データヘルス・予防サービス見本市2015」では、経済産業省の江崎禎英氏よりマクロ視点から「次世代のヘルスケア産業の創出~健康経営の視点から~」と題した提言が行われた。

人生の最後に多額の医療費

現在、国民医療費は40兆円超、介護保険給付費は約10兆円に上っており、これらを含む社会保障給付費は2014年には115兆円を上回る水準まで増加した。

興味深いのは医療費がどの年代で使われているかである。年齢階級別1人当たりの医療費をみると、70代以降に医療費が急増し、特に入院費が大きな割合を占める。日本国民の平均寿命と健康寿命の差は平均約10年といわれており、人生の最後に医療費の多くを入院で費やしている現状が浮き彫りになる。

医療費の3分の1は生活習慣病の治療

さらに、国民医療費のうち医科診療医療費の約3分の1は生活習慣病関連の支出である。例えば2型糖尿病では、健康診断で診断を受けてもその後の受診率は非常に低く、合併症が進行して透析を受けるようになれば、年間医療費500~600万を死ぬまで使い続けることになる。

このような中、生活習慣病の発症予防、重症化予防(運動・食事指導サービスなど)といった公的保険外サービスを拡充すれば年間4兆円の市場創出、1兆円の医療費削減効果があると試算されている。

地域活性化と生涯現役社会を

アンバランスな医療費の支出を見直し、国民の健康増進(健康寿命の延伸)と、地域に根差したヘルスケア産業の創出を同時に実現することを江崎氏は提言する。

そのためには、高齢でも労働形態を変えながら働ける「生涯現役社会」を前提とした柔軟性を持った社会経済システムへ再構築することが重要になる。求められるのは、フルタイムで働ける年齢層の効率性を追求し、そこで得られた富の一部を引退した高齢者の保護に費やすというモデルからの転換である。

実際、現役引退後も健康で働ける(にもかからず働いていない)層が多いことは明らかにされており、社会がこの層の捉え方を変えれば、医療費の破綻という問題も根本から見方を変えられる可能性がある。

ヘルスサービスへの投資を

上記のような観点から現役世代でヘルスケアへの取り組みを推進することが有効である。経産省と厚労省は一部上場企業から「健康経営銘柄」を選定し企業内での健康推進の取り組みを支援してきた。

また、現在保険者で進んでいる「データヘルス」(レセプト・健診データの利活用)をさらに推進し、平成28年度には「健康経営」に取り組む企業を中心に、本人同意の上でレセプト・健診・健康データの利活用を実証する「ヘルスケアデータコンソーシアム(仮称)」を設置する。

構想では、保険者に加えて医療機関の診療データを統合、またウェアラブル機器の普及とともに課題となっている機器間のデータ形式の統一を行い、匿名ではなくより個人を特定した指導を可能にする。

経産省では中小企業向けへの支援スキームも策定をはじめており、企業のヘルスサービスへの投資を促進していく考えである。

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