バイオMEMSとがん研究で日仏が連携

By: Medtec Japan編集部

東京大学生産技術研究所とフランス国立科学研究センター(CNRS)、リール大学、オスカー・ランベール・センターは2014年6月から、バイオMEMS(微小電子機械システム)のがん研究・治療への応用を目指すSMMIL-E(スマイリー)プロジェクトを始動している。

基礎技術となるバイオMEMSを東京大学が提供し、その応用としてがんの基礎・臨床研究の場をフランス側が提供する。

今回フランス側の中心人物であるEric Lartigau教授らが来日し、東京大学のDominique Collard教授、松永行子講師とともに同プロジェクトの概要や意義、展望について紹介した。

がん研究の拠点としてのリール地方

フランス北部のリール地方ではリール大学、オスカー・ランベール・センターを中心とする8施設によるがん研究コンソーシアム、Onco-Lilleを展開している。研究プログラムを(1)がん細胞の治療抵抗性に関する研究、(2)がん細胞の休眠メカニズムの解明に焦点を絞り、それをサポートするプラットフォームとして(1)生物学、(2)イメージング、(3)動物モデル、(4)研究方法論を設けている。Lartigau氏によると東京大学生産技術研究所との連携が5つ目の研究プラットフォームになる予定だという。

リール大学とオスカー・ランベール・センターは中心となる研究施設で、年間約2万人のがん患者(新患)を集め、政府から新薬の治験を優先的に行う許可を受けるなど、国内随一のがん研究の拠点となっている。

さらに近年、リールを含むノール=パ・ド・カレ地方では栄養・健康・長寿に特化した産学官クラスター(NHL Cluster)を形成、海外研究機関、企業の誘致を進めており、今後も医療技術・産業の集積が期待される。

バイオMEMSのがん研究への応用

SMMIL-Eプロジェクトで東京大学生産技術研究所が提供するバイオMEMSは以下の4つのレベルでのワークパッケージを設定し、Onco-Lille研究プログラムへの貢献を目指す。(1)DNAレベル:放射線治療に対する力学特性の変化を計測し治療反応性の評価などへ応用、(2)細胞レベル:マイクロ流路を用いてがん細胞をカプセル化しがん幹細胞の分析や診断などへ応用、(3)組織レベル:血管などを再現してがん細胞の転移機序の研究や薬剤評価へ応用、(4)組織修復:手術後の再生医療へ応用。

今後さらに必要となる技術分野としてCollard氏は、微量の血液での診断を可能にするマイクロ流体力学や、組織を大量に作製する組織工学をあげる。

東京大学生産技術研究所とCNRSは1995年以来MEMS技術に関する国際共同研究組織LIMMSを運営しており、2001年からバイオMEMS研究を開始した。2004年にはCNRSの正式な国際研究組織UMI(Unité Mixte Internationale)に昇格、2011年にはEUプロジェクト(EUJO-LIMMS)に採択されている。

今回のSMMIL-Eはこれまでの提携関係に基づくもので、東京大学生産技術研究所にとって初の海外研究拠点となる。「国際的な立ち位置を意識して、アウトプットを意識した研究ができる」(松永氏)チャンスで、さらなる提携強化によって研究開発の促進と臨床応用、産業応用を目指す。

プロジェクトのメンバーの集合写真

■ プロジェクト詳細(在日フランス大使館):

http://www.ambafrance-jp.org/article8356

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