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Theranosの逆境から学ぶこと

Theranosの逆境から学ぶこと

Theranosは自社製品についてあまりに秘密主義をとっていたことを非難された。今になって創業者のElizabeth Holmes氏は自社のデータについてよりオープンになることを誓っている。同社をめぐる最近の議論の多くは避けることのできた規制面での失敗に関連している。以下にどのようにしたら同様の誤りを防げるかをまとめた。

By: Qmed Staff(オリジナルの英文記事はこちら

ほんの数週間前、Theranosは医療技術分野で、またシリコンバレーのスタートアップでもっともhotな企業だった。しかし今となってはWall Street Journalをはじめとするメディアによって、同社の沈黙が疑問視され、同社が検査機関としての認証を裏付ける検定で不正を行ったのではないかと非難されるようになった。CEOでもあるHolmes氏はFortune誌に同社の技術は「完全に」FDA審査を通過するだろうと語っているものの(下記動画参照)、問題の多くは回避できるものだった。2つの483文書では、不適切な苦情処理から未認可の医療機器の問題に至るまで多くの問題がリストアップされている。

初期段階で規制専門家の力を借りる

「単純でもっとも重要な点は、Theranosが開発初期段階で経験豊富なコンサルタントを雇ったり、コンプライアンスを強化する品質管理ソフトを導入したりすれば、多くの問題を避けられたということです」とFastQSの創業者であるAlvin Tai氏は指摘する。

データの公開に対して積極的に

同社が受けたForm 483についてTai氏は次のように述べる。「公平にいって、483文書を受けることは特に新しい医療機器メーカーにとっては異例のことです。しかし、Theranosは自社の取り組みについてあまりに情報公開に消極的で秘密主義であったために不必要に注目を集めてしまっていたと私は思います」。

FDAに質問することを躊躇しない

483文書のある査察結果でのFDAの指摘は同社が認可なくクラスⅡの医療機器を販売しているというものだった。従来FDAでは施設開発検査(laboratory developed test:LDT)を規制していなかったためこの問題はグレイだが、このような製品を開発するメーカーは警戒すべきだった。「FDAはLDTに対する規制を裁量として行う権限があるため、LDTを開発する企業は注意すべきです」とTai氏はいう。「FDAはリスクが十分に高いと考えられる技術に対して規制を行う可能性があるということです。特に新しい技術に関しては、規制面でFDAに照会しフィードバックを求めるべきです」。新しい企業ではFDAに連絡することを躊躇する傾向もあるが、FDAは「おおむね反応がよく、適切な助言をしてくれる」(Tai氏)。

とにかく文書化を

「Theranosは正しく適切なことをしていたが、自社の行動についての文書化を怠っただけなのかもしれません」とTai氏は指摘する。「FDAの見方では、文書化されていなければそれはなかったことになるのです。Theranosで何が起こっていたかは内部の情報がなければわかりませんが」。

自社の品質管理システム(QMS)に十分に投資すること

Theranosは知的財産を申請し多くのベンチャーキャピタルから4億ドルもの投資を引き出させた一方で、品質システム規制に関して十分な時間を費やさなかったのは明らかだ。経済的報酬にまず注力しなければならない新しい企業にとってよくある問題である。「しかし、苦情処理や是正手段、サプライヤー管理などを含む品質システム規制へのコンプライアンスを軽視することは、多くのスタートアップ企業にとって長期的な経済的損失をもたらす可能性があります」とTai氏はいう。

技術には大胆に、苦情処理システムについては保守的に

最近まで、Theranosは臨床検査業界に影響を与える可能性のあるシリコンバレーのスタートアップのケーススタディと見られてきた。同社は著名なシリコンバレーの投資家から資金を得たが、特にそれが百億ドルに達することを考えれば、ヘルスケア技術企業では非常に特異なケースとなった。

振り返ってみると、同社が適切な苦情処理システムの準備により多くの資金を投入すればよかったかもしれない。「スタートアップ企業にとって苦情処理に関する規制は複雑で、様々に解釈されてしまうことがあります」とTai氏は指摘する。ヘルスケア関連のスタートアップ企業では一般消費者向け産業を参考にする傾向があるが、医療機器における苦情処理はもっと基準化されている。「訓練された苦情専門家の特任チームやすべての苦情についてのレビュー文書、文書化された調査といったFDAが査察中に常に要求する特定の事柄があります」(Tai氏)。

ニーズに合致したCAPAシステムを

すべてに適合的なCAPA(是正・予防措置)システムはないため、医療機器メーカーは自社のシステムが自社の成熟度を反映していることを確認すべきである。「あまりに複雑なシステムでは社員への負担が大きくなり手続きへのノンコンプライアンスにつながりますが、未熟なシステムでは規制要件に合いません。CAPAシステムは会社とともに成長する必要があります」(Tai氏)。

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