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TheranosのFDA問題による損失

TheranosのFDA問題による損失

Theranosは規制関連のトラブルで100万ドル以上の損失をしたとある専門家は分析している。同社の歩みを振り返っておこう。

By: Qmed Staff(オリジナルの英文記事はこちら

血液検査会社のTheranosは、14項目の指摘を含む2つのFDAのForm 483の査察結果への対応のためにかなりの金額を費やすことになるだろう。「この対応のために100万ドルはかかると思います」とJon Speer氏(Creo Qualityの創業者およびgreenlight.guruの共同創業者)はいう。「このように注目されたためにTheranosは医療機器企業のサポートで実績のあるHogan LovellsやKing & Spaldingのような法律事務所にコンサルタントを依頼している可能性があります」。

Hogan LovellsにTheranosの問題でコメントを求めたところ、利益相反を理由に拒否されたことからもこの可能性は高い。

「これはTheranosにとってFDAによる頭痛のはじまりに過ぎません」Speer氏は続ける。「FDAはエスカレーション・アプローチをとっています。483のレポートは査察結果ですが、これを受けてさらに警告書(warning letter)を出すかどうかをFDAの監査部では検討しています。私はそうなる可能性が高いと思います。Theranosがこの動きに対抗するのは当然で、大きな法律事務所に依頼している可能性が高いのです」。

Speer氏が指摘するのは、483文書に概説された点のいくつかに重要な問題がある点である。あるコメントでは「機器がその仕様に合致しないという苦情に対するレビュー、評価、調査の不履行」が指摘されている。

規制コンサルタントでVascula Science(ボストン)の社長であるMichael Drues氏はForm 483に記載されている問題を大きく2つに分ける。「1つ目の問題は文書化と品質の問題です。これらの問題は非常に基礎的で、すべて規制のイロハであり、起こるべき問題ではありません」と彼はいう。「2つ目はTheranosが許可なくクラスⅡ機器を製品化しようとしていたかという全般的な問題です。これはTheranosの製品が施設開発検査(laboratory developed test:LDT)というグレイゾーンに入るだけに、単純な問題ではありません」。

「クラス分類を決めることは必ずしも白黒つけられる問題ではありません。Theranosがその適用がクラスⅡになる機器を製品化していました。ここには曖昧な点が少なからずあります」とSpeer氏もいう。

一方でTheranosの創業者兼CEOのElizabeth Holmesは、同社の検査についてFDAの認可(clearance)を得ようとしていることを繰り返し強調してきた。Theranosは同社のウエブサイトで以下のように強調している。「Theranosは臨床検査室安全法(Clinical Laboratory Improvement Amendments:CLIA)認証の検査機関であり、すべての施設開発検査(LDT)についてFDAの認可と承認(approval)を積極的に得ようとしている最初かつ唯一の機関です」。

最近のWired誌でもWall Street Journalによる一連のネガティブな記事に続いて訴訟が起こるのではないかと危惧している。TheranosはWall Street Journalを名誉棄損で訴える可能性があると、著名な弁護士でありTheranosの役員に新たに迎えられたDavid Boies氏は認める。「これが続くのであれば名誉棄損で訴える可能性を除外しません」。

Boies氏は、Bush対ゴア事件やNapster、Michael Moore、NFL、ソニーピクチャーズなど注目の訴訟を担当してきた。他にもカリフォルニア州の住民投票(Proposition 8)の撤廃、1990年代後半のBill Gates訴訟で活躍し、Vanity Fair誌は彼を「マイクロソフトを食った男」と呼び、Fortune誌は彼を「コーポレイトアメリカのナンバー1のボディガード」と呼んでいる。

Wiredの取材を受けた他の弁護士はTheranosも逆に消費者や投資者代表、あるいは政府から共同訴訟を起こされる可能性があると指摘する。

以下に2014年から現在までのTheranosに関する情報を整理した(注:一部を除き英文記事)。

  • 2014年2月:Theranos CEOのElizabeth Holmesは沈黙を破りWiredの取材を受ける(2月18日発表)。未来的な血液検査会社では1滴の血液で「フルレンジ」の検査を受けられ、そのために何かが進行中であることを示唆。
  • 2014年11月:ドラッグストアチェーンのWalgreenは、Theranosと提携しフェニックスとパロアルト地域の店舗でオンサイトの検査を開始し、全米に拡大する計画もあると発表。
  • 2015年2月:JAMA誌が「にせ科学」を指摘する記事でTheranosに言及し、科学に必要なピアレビューを欠いていると同社を批判。
  • 2015年夏:Theranosの検査がアリゾナ州とカリフォルニア州のパロアルトの約40のWalgreen店舗で採用される。同社の価値は数十億ドルと言われHolmes氏は起業家セレブに。
  • 2015年7月2日:Theranosは1~2滴の血液で単純ヘルペス1ウイルスを検出できる検査システムに関して最初のFDA認可を取得。この手続きは必須ではないが、指先の血液検査という同社の売り文句に重みを与えることになった。
  • 2015年7月23日:Joe Biden副大統領はカリフォルニア州ニューアークの同社の製造施設を訪れ、未来的な血液検査会社として同社を個人的に支持すると言明
  • 2015年10月15日:Wall Street Journal誌は、数ヵ月の調査といくつかのソースからの取材に基づき、Theranosは自社の技術能力を不正確に伝えていると指摘する約3,000語の記事を掲載。Theranosはすぐに同誌や他のメディアからの攻撃に対する本格的な防御モードに入った。Wall Street Journalはその第2報で、Theranosの指先の血液検査というトレードマークを疑問視し、Theranosは1つ以外の検査を停止したと報じた。Theranosへの批判的記事は10月いっぱい続いた。
  • 2015年10月26日:Wall Street JournalはWalgreenがTheranosの血液検査技術を精査し直し、より多くの店舗で拡大していく計画はないと発表。
  • 2015年10月27日FDAの査察はTheranos社の採血管(nanotainer)を「未認可(uncleared)の医療機器」とし、FDA基準とプロトコルへの一連のノンコンプライアンスを指摘。

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