MEDTEC Online

医療機器開発における高品質システム環境への取り組み

医療機器開発における高品質システム環境への取り組み

By: Medtec Japan編集部

医療機器開発に最適なシステム環境とは何か?また、それをどのようなプロセスで社内導入すればよいだろうか?開発にスピードと効率が求められる一方、規制面でもきめ細かな対応が求められ、状況は複雑化している。電気設計システムを例にフクダ電子株式会社の取り組みと経緯を紹介する。

品質のために手戻りのない設計を

フクダ電子では、予防・検査から治療、経過観察・リハビリ、在宅治療まで一貫した医療環境を提供するための各種医療機器を開発・販売している。医療機器開発は、特に製品の安全性・品質の確保と、そのための評価・検証のプロセスが規制上も厳密に要求されるため、評価・検証時間の短縮は難しい。したがって、設計や試作段階でいかに手戻りをなくして効率化するかがスムーズな製品化のカギを握る。

新たなシステムの導入を検討

同社では効率化のために設計プロセスの外部委託が進んだ時期もあったが、部署やプロジェクトごとに委託先が分散しがちで、社内で築き上げられた設計仕様が守られないのではないかとの懸念が生じた。

設計部門では、基本的な仕様の統一と正確な部品情報の管理は同社の財産と考え、30年来使用されてきた電気CADシステムを変更し、安全かつ高品質な製品開発を効率よく行うことを目指すことになった。

設計者自身の意思統一を

新システム導入を目指して、設計部門では長期的なコスト削減を論拠に経営層に諮ったが、システム変更は多忙な設計者に負担をかけるため、コスト削減より設計者全員の意思統一が最も重要だと再検討を促された。

そこで設計部門全員参加のワーキンググループを作り、会議を毎週のように行うことで設計者自身の意見集約と意思統一を目指すことになった。

その際には自社の立ち位置を知る環境ベンチマークが非常に役立ったという。その分析によると、フクダ電子では安全性や品質を重視し、納期やコストへの意識の高い設計が行われているが、検証段階に注力するあまり、設計段階ではその取り組みが十分でない傾向が明らかになった。

ワーキンググループでの議論とこのような分析により同社における課題は、ツールによる設計作業の自動化と情報の集約であると整理された。

その上でKT法を用いて設計者全員の意思統一を行い、株式会社 図研の設計システムの採用を決定した。

図研のシステムの採用理由は、ツールの充実、操作性のよさ、国内外でトップシェアを保持し将来的に安定した運用ができること、図研の旧システムを使用していたため移行によるリスクが避けられる点であった。なにより、図研のシステムを使ってみて面白そうという設計者自身の感覚が決め手になったという。

設計に集中でき、検証が容易なシステムを実現

図研のPLMツールであるDS-2は、製品・プロジェクト単位での設計プロセス管理を容易にする。回路図と連動した最新の部品情報によって整合性を確保、QCDを意識した設計を早期から可能にし、手戻りの未然防止につながる。また、設計の流用元・流用先の関連が記録されるため設計変更時の影響範囲のトレーサビリティも確保できる。

このような設計プロセスや履歴の一元管理によって、監査や承認準備にかかる手間の大幅な削減が可能となるばかりでなく、社内の設計成果物を資産として活用することにもつながる。

また、医療機器開発では検証や認証のプロセスが重要になるが、図研のCR-8000を用いると設計データをダイレクトに検証に利用できる。回路チェックやディレーティング検証出力、アナログシミュレーションを操作性よく行うことで、EMC試験前での検証の効率を上げることができた。

さらに、CR-8000/Design Forceによる設計データは3D出力が可能で、MCADデータとの連携による干渉チェックが容易である。例えば患者の傍で使用されるベッドサイドモニタは騒音や排気を発生するような設計はできないため、発熱と干渉を熟慮した設計が必要になるが、このようなエレメカ連携により高精度の検証が可能になった。

ボトムアップでよりよいシステム環境を

フクダ電子では設計者自身のボトムアップにより、将来にわたって社内資産とすべき設計情報を確保・運用できるシステムを実現できた。このことは、製造業においてより良いモノづくり環境を実現するためには、開発に携わる設計者や技術者自身が必要性を感じ、モチベーションを高く持ってシステム環境づくりに取り組むことが重要であることを如実に示している。

フクダ電子では、今後も検証環境の拡充やより一層の設計効率化、ナレッジの蓄積と活用のためのシステム環境づくりに取り組むという。

※ 本記事は、株式会社 図研主催の「ZUKEN Innovation World」(10月15日横浜)での講演内容をもとに作成しました。

カテゴリー: