米国で医療機器を最初に承認を ―FDAの目標―

FDAの医療機器・放射線保健センター(CDRH)は、米国では他の国よりも早く、患者が安全で効果的な医療機器を利用できるようにしたいとのビジョンを持っている。

By: Brian Buntz(オリジナルの英文記事はこちら

「私たちは新しい技術をできるだけ早く患者に届けたいと思っています。世界初ということがその指標になります」とCDRH所長のJeffrey Shuren氏はいう。

最近サンフランシスコで行われた経カテーテル心血管治療学会でShuren氏は、FDAは医療機器の安全性と有効性を保証するためにこれまでと同様の基準を用いるが、医療機器のエコシステムを改善しようと努力していると強調した。

「これは欧州やその他の国々との競争ではありません」とShuren氏はいう。「でもよい技術があればそれを一番最初に使えるようにしたい」。

FDAの規制基準が世界で最も厳格であることを考えると、これはかなり野心的な目標にみえる。FDAで承認を得るために医療機器メーカーはそれに見合うエビデンスを示す必要があり、そのためのコストと時間が要求される。

かなり多くの医療機器開発業者が米国を離れるか、あるいは米国を最初の商品化の対象とは考えなくなった。「私たちが目指すのは、現状の安全性と有効性の基準を変更することなく時間と費用を削減して製品化できるようにし、イノベーターが米国市場に好意的になってくれるようにすることです」とShuren氏は語る。

20142015年の進歩

Shuren氏によると、規制に関わる費用と時間の主要因を特定し、それらの解決に向けて動き出した2014年から2015年にかけて、FDAは顕著な進歩を遂げたという。例えば、CDRHは業界と連携し臨床試験をより安価に効率的に実行できるものにしようと、臨床データ集計のある部分を市販後に移行させる取り組みを行った。業界のニーズをより理解するようになれば、当局はよりよい規制上の決定を行い、市場化までのスリム化された道筋を企業が描けるようになるだろう。

また、FDAではIDE(治験用医療機器の一部規則の適用免除)を取得した機器に関する臨床試験の承認において一定の進歩があった。これにより米国内で行われるフィージビリティスタディが増加した。「早く試験を行うことができると分かれば、商品化が早くなり、臨床医も早く経験を積むことができます」とShuren氏。2015年1~9月までにFDAはこうした初期のスタディを50%増加させた。「それだけでなく承認件数も急増したのです」とShuren氏は加える。

FDAでは臨床試験をより効率的に運営できるようにすると同時に、臨床試験の質も高めようとしている。「当局で求めていない多くの情報を集めている臨床試験が非常に多いのです。保険会社のための情報もありますが、多くの情報がCDRHにとっても保険会社にとっても必要ではありません。それによって複雑性が増し、時間がかかる結果になっています」とShuren氏は指摘する。

さらに、FDAは臨床試験の規模を小さくするためにモデリングを行おうとしている。「どのような結果を想定するかをモデル化でき、それをFDAで認証できれば、臨床試験を開始しモデルに合致したところで終了させることができます。長期間の試験は必要なくなります」とShuren氏はいう。「現在、模擬的な申請を行いFDAでレビューを行っているところです」。

こうしたFDAの進歩の多くは医療機器イノベーションコンソーシアムという組織の取り組みに遡る。これは医療機器の規制に関する最初の半官半民の科学的連携である。「これは技術を作り出す科学ではなく、何をすべきかを理解するための科学でした」とShuren氏は振り返る。コンソーシアムでは、より迅速で安全、効率的な規制プロセスを導き出すツールの開発を支援した。

加えて、CDRHでは多くの医療機器のクラスによる規制上の負担も減らす取り組みを行っている。「1つの取り組みはPMAの対象となるハイリスク機器についてレビューを行うというものです。今日の科学的知見に照らして市販前から市販後に移行してもよいデータがあるかどうか、あるいはクラスを下げることができるかを検討します」とShuren氏は説明する。

これまでのところ、レビューを受けた機器タイプのうち約30%がクラス下げ可能であるとされた。これは機器メーカーの負担減につながる。「私たちは120の機器タイプについて、クラスⅡからクラスⅠにクラス下げしました」とShuren氏。

またShuren氏はブレイクスルー医療機器に対する迅速プログラム(Expedited Access Pathway Program)を挙げる。これまでにFDAはこのプログラムへの19の申請を受け付けている。

将来に目を向けて

FDAの次なる構想は顧客との関わりである。顧客とは業界と患者であるが、特に患者との関わりの強化を目指している。「私たちの取り組みの焦点は患者です。私たちの基本的使命は患者の健康とQOLを改善することなのです」とShuren氏はいう。「患者が何を選ぶか、コストの範囲内で受け入れられるベネフィットとリスクは何かを私たちは理解しようとしています。患者に尋ねるだけではなく、科学的に理解しなければなりません。実際このような取り組みとして、医療機器による肥満治療の実現を2007年以来支援しています」。

また、当局は患者自身がレポートする結果を承認の要素にすることを検討している。「私たちは患者との関わりについての諮問委員会を設立しました。当局へ勧奨を行う患者自身を委員に加えています」とShuren氏はいう。

さらに、当局は市販前調査について、近年行われた進歩をもとにさらなる刷新を図っている。「510(k)に関しては、私たちは決定までの平均時間を少し減少させることができました。私たちは適切な決定を行い、未処理案件は減ったと考えています」とShuren氏はいう。「PMAについては、私たちは平均処理時間を3分の1減少させました。PMAの承認について2015年は記録すべき年です。さらにde novo審査についても2年間処理を早めることができました」。

FDAの上層部は、全体的に医療制度を効率化することで当局にとっても利益になることを希望している。「私たちの医療制度には多くの非効率があり、医療制度上で日常的に生み出されているエビデンスを活用できていません。組織のタテ割りやデータの質や完全性に課題があります。電子カルテや登録、申請書類から効果的にデータを集約する必要があります。それによってエコシステムを変化させることができると思います」とShuren氏はいう。

Shuren氏はその計画上にある課題や不確定性を概説した。その上で彼はFDAに予算増をもたらす現在審議中の「21世紀の医療法」が施行されることを望んでいる。「予算が得られなければ、既に行っている事業から予算から捻出しなければなりません」。議会での予算通過もハードルだが、2017年に施行されるMedical Device User Fee Act IVに向けての業界との折衝というワイルドカードもある。

最後にShuren氏はCDRHとの連携を業界に呼びかけた。「私たちはパートナーですが、もっと多くの人の協力が必要です。私たちはいわば一蓮托生なのですから」。

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