FDA-UDI規制をビジネスチャンスに :製品だけでなく製品データへの意識を

By: Medtec Japan編集部

米国FDAによるユニークデバイス識別子(Unique Device Identifier:UDI)規制によって、医療機器への新たなルール適用が段階的に進められている。埋め込み機器、生命維持装置・延命装置を除くクラスⅡ機器については、UDIラベル表示とデータベース(Global UDI Database:GUDID)登録の遵守日が2016年9月24日と定められており、同クラスの医療機器を米国で販売する日本のメーカーにとっては喫緊の課題となっている。

このような中、データプールソリューション分野のグローバルリーダーである1WorldSyncによる「医療機器 米国FDA-UDIデータベース登録 超実践セミナー」が10月7日に東京・秋葉原で開催された。UDI規制の概要からデータ登録のフロー、同社が提供する登録支援サービスが紹介され、多くの聴講者が集まった。


● UDI規制の背景(GS1体制とFDA

まず、一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)の黒澤康雄氏からFDA-UDI登録の背景とGS1標準の紹介が行われた。

GS1は流通システムの規格統一のための組織で、前身は1970年代に米国で流通業界のニーズから組織化され、商品コードの規格化を始めた。現在では世界150カ国以上、23業種、120万以上の企業・組織がGS1事業者コードを持ち、GS1標準システムを利用している。

FDAは2013年に医療機器に対する個別表示に関する新法令を制定し、GS1のルールに則ったUDIの製品へのラベリングとデータベース登録を段階的に義務づけた(下記表)(GS1はFDAの認可を受けた事業者コードの発行機関となっている)。

クラス分類 ラベル表示・グローバルUDIデータベース登録 遵守日

ダイレクトマーキング〔手術器具(金属製)類への永久表示〕

・クラスⅢ機器(クラスⅢの生命維持装置・延命装置も含む)

・米国公衆安全サービス法(PHS Act)で承認された機器
2014年9月24日

・クラスⅢの生命維持装置・延命装置は2015年9月24日までにUDIの永久表示が必要。

・上記以外のすべてのクラスⅢ機器は2016年9月24日までにUDIの永久表示が必要
埋め込み機器(クラスⅡ、Ⅰ、未分類機器を含む) 2015年10月24日 適用なし
生命維持装置・延命装置(クラスⅡ、Ⅰ、未分類装置) 2015年10月24日 2015年10月24日
クラスⅡ機器(埋め込み機器、生命維持装置・延命装置を除く) 2016年9月24日 2018年9月24日
クラスⅠ機器または未分類の機器(埋め込み機器、生命維持装置・延命装置を除く) 2018年9月24日 2020年9月24日

GS1による製品識別のコードがGTIN(global trade item number:製品識別番号)と呼ばれるものでFDA-UDIの製品コードにあたる。このGTINとGS1におけるAI(application identifier:アプリケーション識別子)である有効期限やバッチ/ロット番号(シリアル番号の場合もあり)を組み合わせるとFDA-UDIとなる。

さらに黒澤氏は注意点として、スタンドアローン・ソフトウェアやキット製品、ダイレクトマーキングが必要な機器、単回使用機器などの扱いについて解説した。

● FDA-UDI登録の積極的活用を(米国の状況から)

次に1WorldSync(米国)のシニア・グローバル・ディレクターのNick Manzo氏から、FDA-UDI登録をいかに活用しビジネス拡大に結びつけるかという観点から、GDSN(global data synchronization network)と米国の状況、同社が提供するデータソリューションの紹介があった。

GS1に基づいたデータの世界的なデータ同期ネットワークとレジストリがGDSNであり、これにより一般消費財から医薬品・医療機器まで、小売、外食、eコマース、ヘルスケアなど様々な産業の効率的で安全、確実な流通システムを支えている。

特に米国では、ヘルスケア分野の流通においてデータベースの活用が非常に進んでいる。病院からの医療機器の製品照会や見積依頼などは、共同購買組織(Group Purchasing Organization:GPO)を通じて製品データベースを利用して行われる。概算では1年間で約18兆円分の取引が米国の主要な5つのGPOを通じて行われている。

GDSNの仕組み

製品の統一的で適切なラベリングとデータベース登録はGPOからも求められるもので、GDSNは規制当局からの要請というよりGPOのニーズに対応し流通を促進するという側面が大きい。

1WorldSyncは、GDSN上での企業の製品データ登録サポート、製品データベース間の同期を行っている。FDA-UDI規制によって、医療機器メーカーはGPOに加えてFDAデータベース(GUDID)登録も義務づけられることになったが、同社の同期システムを利用することで、これら複数のデータベース対応を1回の登録で済ませることができる。

単に新たな規則への対応と考えるのではなく、顧客に対するサービス拡大、ビジネス拡大の機会としてGDSNデータ登録をとらえ、会社全体として製品自体と同様に製品データを重視し活用する意識が必要であるとManzo氏は強調した。

● GUDID登録の実際

次に1WorldSyncカスタマーオペレーション・マネジャーの川越理恵 氏から、GUDID登録に必要な情報と、データ収集・登録の実際のフローが紹介された。

GUDID登録に必要なデータは全62項目で、内訳は必須項目18、条件付き必須項目24、任意項目13、自動入力項目7であり、そのうち編集不可項目は15である。

まずデータ収集の段階で、各項目の入力に必要な情報が何か、情報を誰が持っているか、情報が足りない場合はどうするかを解決して整理しておく必要がある。

登録にはFDAに対して直接登録(WEBフォームから手入力とHL7 SPLのXMLフォーマットによる登録が可能)する方法と1WorldSyncのような代行機関を介して登録する方法がある。

同社では登録用のWEBフォームを用意する他にエクセルフォーマットも提供しているほか、同社の日本法人で日本語のサポートも利用できる。

加えて、同社で登録を行うとGUDID登録にとどまらない拡張性が得られる。同社のデータプールを介してGDSN、GPOや病院のデータベースなどへの同期が行われる。将来的に構想されているEUの規制に対しても対応予定である。情報の更新に対しても随時同期が行われるため、各データベースの更新が一度の更新手続きで完了する。

データの流れ:1WorldSync→GUDID(将来)

社内情報の整理と組織対応の事例

最後に1WorldSync(米国)のチーフ・コマーシャル・オフィサーのDaniel Wilkinson氏より、UDI規制対応の成功事例としてAbbott社の対応プロセスが紹介された。

Abbottでは2011年にGDSNを利用して小売向けに製品情報の配信を始めた。それ以前は部門・製品別、また地域ごとに製品情報の共有に様々なデータソリューションを利用していたが、それを一元化することが課題になった。

製品データの一元化のためのプロジェクトを開始すると、まずデータの取得、分析、維持管理、クレンジング、保存、配信、アーカイブ化というプロセスを立案した。そしてプロダクトラインごとにプロジェクト責任者(PM)、IT担当者、規制担当者を任命し、製品・地域によって顧客から求められる様々な製品データの要件を整理することに取り掛かった。集めたデータを分析し、LANSAや1WorldSyncのデータプールを利用して分析し整理したデータの集約、および、外部への配信を一元化した。

Abbottは2012年末には製品ごとにGDSNデータのロードを完了し、2013年にはGPOなどの顧客向けの情報発信開始、そしてクラスⅢ医療機器の登録期日の2014年9月24日までに登録を完了した。これによりFDAに対するコンプライアンスと顧客への情報配信を一元的に行うことに成功した。


規制への対応をビジネス拡大につなげるという考えは、米国ほど医療機器の流通システムにデータベースの活用が進んでいない日本では実感しにくい。しかし、今後グローバル化が促進することを考えれば、今回のUDI対応によって顧客への情報提供、流通の効率化が進むことが医療機器メーカーにとって有利に働く、というよりグローバルな競争のための要件になっていくことは確実であろう。

各社は登録に向けて担当者を決め、全社的に取り組む体制を作り、期日までに行うプロセスをスケジュールし計画的に対応することが求められる。

■ 1WorldSync Japan合同会社http://www.1worldsync.jp/

問い合せ先: info.jp@1worldsync.com

 

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