MEDTEC Online

高精度の股関節置換術のための新システム

高精度の股関節置換術のための新システム

研究者と整形外科医、業界パートナーの共同開発によって、新たな測定技術と股関節インプラントが開発された。これにより手術後に整形外科医が患者の脚長を元の状態に調整することが可能になる。

By: Michael Lang

ドイツだけで毎年20万人以上の患者が人工股関節を移植する。現状では手術前の患者の脚長を正確に測定し、それに基づいてインプラントを調整することは難しい。そのため術後に脚長が短くなったり長くなったりすることがあり、患者に靴の中敷きが必要になることがある。このような状況が変わろうとしている。

フラウンホーファー工作機械・成形技術研究所IWUの研究者は、共同パートナー(ライプチヒ大学病院整形・外傷・形成外科、応用科学大学ツヴィッカウ校研究・移転センター、AQ Implants、MSB-Orthopädie-Technik)とともに、より高精度に脚長を測定する新しい技術を開発した。

「我々の目標は脚長を変えない股関節置換術です」とプロジェクトリーダーであるIWUのRonny Grunert医師はいう。測定の原理はコンパスと同等である。患者を水平位に保ち2つのLEDを含む小さなプラスチックの装置を脛(すね)に装着する。患者を水平位から垂直位に動かし、患者の側面1.5mほどに置かれたカメラで2つのLED光の軌道を記録する。股関節がコンパスの針、LEDが鉛筆に対応する。

脚長測定システム(提供:Fraunhofer IWU)

この装置を装着したまま手術し、手術前後に測定を行う。脚長が短いか長い場合には、コンパスの針と鉛筆の距離やLEDの軌跡が変化するはずである。ソフトウェアによって変化を計算し、医師は手術室で人工股関節の調整を行う。

「新しいシステムによって脚長の概算での誤差を2cmから1cmに減らすことができます」とGrunert氏は説明する。プロトタイプはライプチヒ大学病院で試験が成功し、研究者らは誤差を数mmにすべく改良中である。

さらに、研究者らは個々の患者用に調整可能なインプラント、つまり既製品ではないモジュラーシステムを開発した。医師は股関節ステムやネックといった部品を選び、インプラントをテストするためにネジで部品を組み立てることができる。測定によって脚長が正しくないと分かれば、部品を交換して調整を行う。「この人工股関節は従来のものより調整可能なだけでなく強度も強く、壊れにくくなっています」とGrunert氏はいう。

現状の方法では、医師は既に組み立て済みのステムとネックをハンマーで接続しているため、接続部の円錐状の締め付けリングにはストレスがかかる。それに対して、モジュラー式の接続部は円錐状の締め付けリングではないため、機械的により安定しているという。

目下、本システムはさらなる改良中で2年以内に臨床試験の開始が予定されている。研究は多くの整形外科医や病院、企業の注目を集めており、「人工関節」連携ネットワークとしてドイツ連邦経済技術省(BMWi)の支援を受けている。「人工関節」連携ネットワークでは22の関連団体が参加し、その他にもこの領域で多くのプロジェクトを開始している。

カテゴリー: