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スリープウェルの睡眠評価システム:イノベーション大賞一次審査通過

スリープウェルの睡眠評価システム:イノベーション大賞一次審査通過

大学発のシーズを、その発明者ではない医療機器への新規参入者がベンチャーを起こして実用化にこぎ着けた貴重な成功例として評価された。

 
【製品概要】「スリープスコープ」を利用した睡眠評価システム

スリープウェル株式会社が開発した「スリープスコープ」は、1chの小型脳波計で医療機器認証をクリアした製品。脳波は、非常に微弱な信号 (μV単位)のため、(心電計(mV単位)と比較すると1/1000)、信号処理過程での増幅度が高く、医療機器の認証基準においては、ノイズへの要求レベルが高く(心電計25μV/p-p→脳波計3μV/p-p)、開発難易度が高い。それに加え、小型で基盤エリアが限られているため、ノイズを低減させる部品配置を担保するスペースがほとんどないことから、小型脳波計開発は困難を極める。

スリープウェル睡眠評価システムは、この小型脳波計「スリープスコープ」を用いて計測した睡眠脳波を分析して、睡眠の質やリズムを正確・客観的に評価できる仕組みである。このシステムでは、睡眠の精密検査であるPSG検査結果と比べて、高い一致率の解析結果(PSGとの判定一致率86.89%±4.42)が得られ、信頼性が担保されている。

また、睡眠段階ごとに混入する特徴波形により、精神疾患の有無、およびその重篤度を客観的に判断するする。具体的には、ノンレム睡眠時にα帯域の紡錘波が群発し、レム睡眠時にβ帯域の高周波が健常者よりも高振幅かつ高頻度で出現する事を見出した。その数値を基準にして、精神疾患を診断する方法を確立した。

【開発の経緯】

2007-2009年に科学技術振興機構(JST)独創的シーズ展開事業において、大阪バイオサイエンス研究所の睡眠基礎研究成果を基にした、「睡眠脳波計測と睡眠評価技術の確立及び評価システムの構築」事業を実施。2010年4月に上記事業の成果を基に、スリープウェルを設立し、睡眠の質を客観的に評価する事業を開始した。睡眠脳波を計測するなかで、精神疾患患者(主に気分障害)の脳波が健常者と異なることに着目し、研究開発を進めてきた。2011-2013年、これまで、問診しか存在しなかった気分障害の診断方法において、特許申請。日米で成立。世界中で求められていた客観的なバイオマーカーを確立することを目的に医療機器脳波計および解析システムの開発を進めた。

2013年2月:開発した小型脳波計が薬事認証され、医療機関での本格的な利用が始まった。

現在のところ「うつ病」など気分障害の生物学的実態は明らかにされておらず、エビデンスに基づいた生物学的指標は確立されていない。そのため、診断は症候学に依拠せざるを得ない状態であり、医師による問診から得られた情報をもとに気分障害を診断している。その結果、適切な診断や治療の開始が遅れ、自殺、長期休務、あるいは難治化に至る症例が少なくない。加えて、診断や評価の客観性(信頼性・再現性)に乏しく、妥当性(特定の病態群の抽出)が十分でないため、臨床試験における対象選択や症状評価に困難を来たす原因となってきた。そのため、気分障害に代表される精神疾患の診断・評価に有用な指標の開発が待望されている。客観的で再現性のある病態評価は、患者のみならず中枢薬開発にも光を与える。

2014年8月に、日本臨床精神神経薬理学会 トランスレーショナルリサーチ委員会の研究テーマに採択され、今後の多施設臨床試験実施の足がかりとなり、2015年2月には、睡眠脳波解析プログラムの薬事認証申請した。

【企業概要】

スリープウェル株式会社は、医療用の小型睡眠脳波計による睡眠計測-解析システム、および精神疾患診断システムを提供している。同社の開発したシステムにより、自宅で睡眠状況を簡易に計測し、睡眠に関する判定結果を個人に適切に伝えることが可能だ。また、睡眠脳波からうつ病を診断するシステムを開発し、主観的な評価(問診)しかなかった精神疾患診断に客観指標を提供することが可能となる。現在、病院などで行なわれる睡眠計測では、大掛かりな装置を使い、脳波・眼球・筋電・呼吸・いびきなど多数の電極を装着して、多くの種類の生体信号を計測しなければならない。しかし、同社が開発した小型脳波計「スリープスコープ」(認証番号:225ADBZX00020000、日本で初めて規制当局より認証された小型1ch脳波計)と睡眠評価システムは、簡便に人間の脳波を計測して、睡眠の質やリズムを正確・客観的に評価できる仕組みである。睡眠の精密検査である終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と比較して、高い一致率の解析結果が得られ、信頼性が担保されている。また、睡眠脳波からうつ病に代表される気分障害を診断する手法を確立し、特許登録を終えたところであり、国立大学病院との共同研究および学会主導の臨床研究も開始している。

第二次審査は、MEDTEC JAPAN 2015開催初日(4月22日水曜日)に、MEDTEC会場で一次審査を通過した各企業が約10分間のプレゼンテーションをおこない、その場で審査員が審査を行い、午後4時頃に結果発表・表彰式を行う予定となっている。


スリープウェル株式会社

sleepwell.co.jp

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